研究対象者の健康被害への賠償・補償等の措置に関する手順書 平成 27 年9月9日 1 目的 本手順書は、静岡県工業技術研究所(以下、 「工業技術研究所」という。 )が実施するヒ トを対象とする研究において、研究対象者に生じた健康被害に対して、研究責任者及び工 業技術研究所が行う賠償・補償等の措置に係る手順その他必要な事項を定める。 2 定義 (1) 賠償 主に不法行為(故意・過失)又は債務不履行によって他人に損害を与えた場合に、 その損害を填補することをいう。 (2) 補償 一般に故意・過失や債務不履行がなくても、法規等に基づき、他人に発生した損害 を填補することをいう。実際に発生した損害をそのまま填補するのではなく、補償す る側が予め定められた基準に基づき填補するのが一般的であり、逸失利益や慰謝料は 通常、対象にはならない。 (3) 侵襲 研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問 等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。 ※ 特定の食品・栄養成分を摂取させる場合について、研究対象者とする集団にお いてその食経験が十分認められる範囲内であれば、「侵襲」を伴わないと判断す る。 ※ 自然排泄される尿・便・喀痰、唾液・汗等の分泌物、抜け落ちた毛髪・体毛を 採取する場合は、 「侵襲」を伴わないと判断する。 ※ 表面筋電図や心電図の測定、超音波画像の撮像などを行う場合については、長 時間に及ぶ行動の制約等によって研究対象者の身体及び精神に負担が生じなけ れば、 「侵襲」を伴わないと判断する。 (4) 介入 研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進に つながる行動及び傷病の予防等を含む。 )の有無又は程度を制御する行為をいう。 3 補償・賠償等の措置を行わなければならない研究 工業技術研究所において補償・賠償等を行わなければならない研究は、次のとおりとす る。ただし、これらに該当しない研究においても必要に応じた措置を行うことが推奨され る。 (1) 侵襲性を伴う研究 (2) 介入を伴う研究 4 研究対象者の健康被害への賠償・補償のために必要な措置 研究責任者及び工業技術研究所は、前記「3」に規定する研究に関連して研究対象者に 生じた健康被害に対して、賠償責任保険への加入等必要な措置を講ずる。また、研究倫理 審査委員会の指摘を受けた場合は、補償責任保険への加入等の措置も講じなければならな い。 5 研究対象者への説明 研究責任者及び工業技術研究所は、当該研究に関連して健康被害が発生した場合に研究 対象者が受けることができる賠償請求権の行使や補償等について、研究参加の同意を得る ための説明文書に記載し、必要に応じて賠償・補償制度の概要等を記載した文書を用いて 説明する。 6 医療機関情報の提供 研究責任者及び工業技術研究所は、健康被害に対して適切な治療を受けられる医療機関 の情報を研究対象者に提示する。また、当該情報については、研究計画書に記載しなけれ ばならない。 7 補償のルールと内容等 (1) 補償ルールは、以下のとおりとする。 ア 研究責任者及び工業技術研究所は、補償責任を自発的に果たすこととする。 イ 補償の対象となる期間は、同意取得後からとする。 (2) 補償の内容は、研究計画に応じて見積もられる補償責任保険による支払いとする。 なお、健常者を対象とする場合の 1 名あたりの支払い限度額は政府労災基準を、患 者を対象とする場合は医薬品副作用被害救済制度基準を参考に設定する。 8 資料等の保存 研究責任者が所属するかいは、静岡県文書管理規則(平成 13 年 03 月 30 日 規則第 25 号)及び静岡県文書管理規定(平成 13 年 03 月 31 日 訓令甲第 6 号)等に基づき、研究対 象者の健康被害に関連して発生した資料及び記録等を保存する。
© Copyright 2024 ExpyDoc