新潟県農林水産業研究成果集(平成26年度) 研 究 成 果 情 報 平成 26 年度 籾すり作業時の稲こうじ病粒の混入軽減対策 [要約]籾すり前の稲こうじ病粒混入量が増えるほど、精玄米への病粒の混入数が多くなる。ロ ール式籾すり機(揺動板式)は、インペラ式に比べ精玄米への病粒混入数が少ない。インペラ式 籾すり機で稲こうじ病粒を含む籾を処理する場合、必ず籾粗選機を併用する。 新潟県農業総合研究所作物研究センター 栽培科 連絡先 TEL 0258-35-0836 FAX 0258-35-0021 [背景・ねらい] 稲こうじ病による汚損が農産物検査で認められると規格外となる。県内では平成21年度に多発 生し、玄米への稲こうじ病粒の混入や玄米着色による規格外米が471t発生し大きな問題となった。 そこで、稲こうじ病による被害を回避するため、籾すり作業における玄米汚損の軽減法を明らか にする。 [内容] 1 籾すり前の稲こうじ病粒の混入量が多いほど、精玄米への病粒の混入数が多くなる(図1)。 病粒の混入量を減らすため、薬剤防除や籾粗選機による病粒の除去を行う。 2 ロール式籾すり機(揺動板式)は、インペラ式に比べ精玄米への病粒混入数が少ない。イン ペラ式籾すり機(揺動板式)は、ロール式に比べ病粒混入数が多く稲こうじ病粒を含む籾の籾 すりに適さない(図1)。やむを得ずインペラ式で籾すりする場合は、必ず籾粗選機を併用す る。 3 ロール式では病粒が小さく砕け、その大半が籾がらとともに排出される。インペラ式では、 砕けずに残った粒厚の大きい病粒が排出されずに籾すり機内を循環する。このため、機内を循 環する病粒が次第に増加し、籾すり作業の時間経過とともに精玄米に混入する病粒数も多くな る(図1、2、3)。 [導入効果] 1 籾すり方式の選択や籾粗選機の併用で、稲こうじ病による規格外米発生が軽減される。 2 籾すり機の購入時に籾すり方式選択の参考となる。 [導入対象] 稲こうじ病が発生した水稲の調製作業を行う生産者 [留意点] 薬剤防除や籾粗選機の効果は、平成 25 年度活用技術「稲こうじ病に対する薬剤および籾粗選 機の効果」を参照する。 1 2 3 インペラ式では作業を続けるにつれて病粒混入量は、さらに増加する可能性がある。 選別方式が万石式、回転式の籾すり機については未検討である。 4 稲こうじ病による玄米着色は、試験条件下では認められなかったが、籾すり方式による違い は不明である。 5 精玄米への墨黒穂病の胞子付着は、インペラ式籾すり機の使用でロール式の2~3割に軽減 するので、籾すり方式選択の参考とする。 新潟県農林水産業研究成果集(平成26年度) 混入病粒の累積数(個) [具体的データ] 60 50 微 少 中 多 インペラ式 40 ロール式 30 20 10 0 0 5 0 15 10 5 10 0 15 5 10 0 5 10 籾すり作業の経過時間(分) 図1 精玄米への病粒混入数の経時推移 注)微~多は籾すり前の籾1kg 中の病粒混入数、微:3.4 個、少:18.3 個、中:41.4 個、多:61.4 個。 60 50 40 30 20 10 0 1.7> 1.7 1.9 2.2 2.5 2.8 3.2 3.6 4.0 籾すり前 インペラ式 ロール式 4.5 粒数割合(%) 精玄米排出量、インペラ式:約 6.3kg/分、ロール式:約 5.5kg/分。 粒厚(mm) 図2 籾すり機内を循環中の病粒の粒厚分布 病粒重割合(%) 100 籾がらとともに排出 80 粗玄米とともに排出 60 しいな口から排出 40 機内で循環 20 0 微 少 中 インペラ式 多 微 少 中 多 ロール式 図3 籾すり機における病粒の挙動 注)籾すり開始 7~12 分後の状態。籾すり前の病粒の重量に対する割合。 [その他] 研究課題名:1 環境負荷低減のための水稲・大豆病害虫管理技術の開発 2 水稲・大豆の難防除病害虫の管理技術の開発 予 算 区 分:1、2 県単経常 研 究 期 間:1 平成 22~24 年度、2 平成 25~27 年度 発表論文等:なし
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