音声で誘起される感情(快/不快)に伴う脳活動の計測

音声で誘起される感情(快/不快)に伴う脳活動の計測
健康科学分野 教授
横澤 宏一
研究成果のポイント
・これまで脈拍や発汗等の生理指標で計測されてきた「感情」を脳神経の活動として計測
・聞いている音の物理特性(音の大きさや周波数)に左右されない条件付け計測法を開発
・脳磁計を用いることにより、聴覚野から生ずる slow wave に着目して解析
研究成果の概要
無侵襲の脳機能計測法の近年の進歩に伴い、特定の脳部位の神経活動として感情を評価
することが可能になってきた。本研究では、活動している脳部位を正確に求めることがで
きる脳磁計を用いて、情動音(感情を誘起する音声)が誘起する脳神経活動を計測した。音声
それ自体も脳活動を誘起するので、感情に伴う脳活動をここから分離抽出しなければなら
ない。そこで短い(0.1 秒間)合図音の 2 秒後に、6 秒間の情動音を聞かせ、合図音の周波
数と情動価(快/中性/不快)を対応させることにした。これにより、被験者は合図音を聞い
ただけでその後に聞こえる情動価を予測できる。
合図音と情動音の間の 2 秒間は無音の時間帯であるが、聴覚皮質から生じる低周波の脳
活動(slow wave)は、次に聞こえる情動価によって大きさが異なり、中性音より感情音(快
または不快)の予測時に有意に大きく、また左脳優位であった。これらの結果は、聴覚皮
質の活動として感情を読み出し、定量化できる可能性を示すものである。
論文発表の概要
研究論文名:英語タイトル(日本語訳)
Activation of auditory cortex by anticipating and hearing emotional sounds: an MEG study
(情動音の予測と聴取による聴覚皮質の活動:脳磁場による研究)
著者:氏名(所属)
K. Yokosawa1,2, S. Pamilo1, L. Hirvenkari1, R. Hari1, and E. Pihko1 (1O.V. Lounasmaa Laboratory,
Aalto University, Finland, 2Faculty of Health Sciences, Hokkaido University, Japan)
公表雑誌:Plos one
公表日:2013 年 11 月 20 日
お問い合わせ先
所属・職・氏名:北海道大学大学院保健科学研究院・教授・横澤宏一(よこさわこういち)
TEL:011-706-2828
FAX:011-706-2828
E-mail:[email protected]