Alfven波によるループ加熱のMHDシミュレーション

太陽コロナ波動加熱勉強会
2004年2月23日
Alfvén波によるループ加熱の
MHDシミュレーション
The Nonlinear Alfven Wave Model
for Solar Coronal Heating and Nanoflares
Moriyasu, Kudoh, Yokoyama, and Shibata 2004,ApJ,601,L107
京大 理 附属天文台
森安 聡嗣
Introduction
Kudoh&Shibata(1999)
「スピキュールのtorsional Alfvén waveモデル」
光球面のランダムな運動が磁束管を捩じることで
torsional Alfvén wave が発生。
2
 V ph
  1 km/s ならば、
コロナ加熱に充分なフラックスが
Alfvén waveによって伝えられる。
さらに、torsional Alfvén waveの非線形効果により
shockが形成される
→ shock でコロナ加熱できるかも!
目的
浮上磁気ループの足下に torsional Alfvén wave を与え、
1万度のプラズマが100万度に達するか(コロナになるか)
を数値シミュレーションを使って確かめる。
計算は放射冷却、熱伝導も解く。
Q(T )  T 
T  4  104 K
R  Ne N p T 
光学的に薄いプラズマからの輻射
T  4  104 K
R  4.9 109 
彩層プラズマからの輻射を考える。経験的なモデル
1.5次元MHDシミュレーション
初期条件
T = 104 K : 一様
100000km
  (height )4
浮上磁気ループの
2次元数値シミュレーションより
photosphere
ランダム、非対称に捩じる
 V 2   1 km/s
(Shibata et al.1989)
足元のB ~ 103 gauss
頂上のB ~ 1 gauss
になるような断面積を与える
1.5次元MHD方程式
• Mass conservation


  vs 


 vs
  Bs
t
s
s  Bs 
• Momentum equation (s-component)
v2 r
vs
vs
1 P
1 B 
rB 
 vs

 gs 

t
s
 s
r s 4 r s
• Momentum equation (-component)
 rv 
t
 vs
 rv 
s

Bs 
rB   L(t , s) Alfvén wave をつくりだすトルク
4 s
• Induction equation(-component)
  B

t 
 rBs
v 
   B

  s 
 rB vs  r 
0

 s

• Energy equation
e
e
  vs  1  
1
5 2 T 

 
 vs
 (  1)eBs

T

R
 0

t
s
s  Bs   s 
s  
計算結果 (Alfvén wave の伝播)
典型的なケース
2
足下  V   2 km/s
計算結果 (加熱)
計算結果 (温度分布)
計算結果 (準定常状態)
約150分以降、準定常状態になった。
(大局的に力学平衡、熱平衡が成り立っている。)
1万度のプラズマを100万度まで加熱し、さらに定常コロナも得た。
定常後のループトップの物理量の平均値
T = 1.26×106 K
N = 3.70×108 /cm3
P = 9.93×10-2 dyn/cm2
この温度は、Rosner,Tucker,&Vaiana(1978)の
定常コロナループモデルで予想される、
T  1.4  106 K
とよく合っている。
→理論が要求する定常状態を再現
加熱メカニズム
Alfvén wave
非線形効果
縦波が生じる
頂上付近の圧力分布
shockの発生
Shock加熱
MHD shock
fast shock
Bbehind > Bahead
slow shock
Bbehind < Bahead
intermediate shock
fast shock
& slow shock
β<1のとき
fast wave :Va
slow wave :Cs
今のような weak shock
の場合だと、
fast shock ~ fast wave ~ Va
slow shock ~ slow wave ~ Cs
今回の実験では、
Va ~ 250 km/s
Cs ~ 120 km/s
estimate of heating rate
ループトップの圧力変化
shockが通過する毎に
増加する内部エネルギーを
足し合わせる
1
P
heating rate  
t   1
ただし、
P
 0.05
P
のshockを数える
heating rate
fast shockとslow shockの
寄与は全く同等である
比をとると
heating rate
彩層加熱
密度が高いので80%も消費
単位質量あたりに直すと
コロナの加熱が一番よい
エネルギーフラックスの時間平均
トルクの大きさを変えてみる
コロナの
平均温度
 V 2  > 1 km/s で
100万度が達成される
 V 2  < 1 km/s でも、
足下の回転速度の平均
数10万度で定常に。
↓
数10万度のコロナループの
存在が示唆される
計算結果を観測してみたら
Yohkoh/SXT
どちらもフレア様の増光
TRACE (171Å)
X-ray の結果は暗すぎて
実際の観測にはかからない
EUV の結果はまさに10万kmの
コロナループの観測と同じオーダー
1998/6/4
TRACE (171Å)
TRACE による観測
emerging flux region
今回のモデルは、
このようなemerging flux regionで
成長した10万kmのループと
同じ物理的性質をもつ。
あとはAlfvén waveの直接検出
将来の高性能観測機に期待
Solar-B (2005)
傍証として、
ループの正面と側面から見た
輝線の速度幅に差(20%程度)
があった。(Hara & Ichimoto 1999)
スピキュールに回転速度~50km/s
がとらえられた。(Cook 1991)
計算結果を観測してみたら
Yohkoh/SXT
どちらもフレア様の増光
TRACE (171Å)
X-ray の結果は暗すぎて
実際の観測にはかからない
EUV の結果はまさに10万kmの
コロナループの観測と同じオーダー
1998/6/4
TRACE (171Å)
フレアの統計
強度を16のビンに分け、それぞれの
強さについてフレアを数えた。
頻度分布は
power law を再現
↓
torsional Alfvén wave による
断続的な加熱のための増光を
マイクロフレア、ナノフレアとして
観測しているのかもしれない!
Index:-1.6 ~ -2
Yohkoh/SXTでループをみたら(みえたら)
パラメータサーベイ
1:100
1:500
1:750
1:1000
100000 km
50000km
50000 km
パラメータサーベイ
1:100
1:500
1:750
100000 km
50000 km
赤:定常
黒:不安定(構造が出来てつぶれて出来て‥)
※横軸近くにあるのは構造ができないケース
1:1000
まとめ
• 太陽光球面上のランダムな運動に由来するtorsional Alfvén
waveによりコロナが加熱される
• 加熱は shock heating (fast/slow)
• fast shock と slow shock の寄与は同じ
• 数10万度の定常ループも存在
• Shock による断続的な加熱であるため、
フレアのように観測されうる
• ナノフレアと区別できない
→Alfvén wave 加熱こそがナノフレアの実体であるかもしれない
• 粒子加速との関連? →Arzner & Vlahos 2004