無 対 価 組 織 再 編 成 の ケ ー ス ス タ デ ィ

特集 100%グループ内再編での利用が広がる
会計・税務ケーススタディ 無対価の組織再編
(図表9) 適格無対価株式交換の税務
100%
① 100%兄弟間株式交換
(無対価)
■S1社
(株式交換完全親法人)
親法人
(P)
100%
株式交換
完全親法
人
(S1)
借方
株式交換完全子法人株式
(注1)
貸方
(注2)
XX
株式交換 (注1) S2社の株主(P社)におけるS2社株式帳簿価額をもって受入れ(法令119①九イ、付
随費用がある場合はこれを加算)
完全子法
(注2)
移転を受けた株式交換完全子法人株式の取得価額
(取得価額に付随費用が含まれ
人
る場合これを減算)
(S2)
■P社
(株式交換完全子法人株主)
借方
株式交換完全親法人株式
XX 資本金等の額
貸方
XX 株式交換完全子法人株式
(注3)
XX
POINT
S1社
(株式交換完全親法人)株式の
交付を受けることはないが、S1社株
式の帳簿価額の増加を認識する。
S1社株式を追加取得するわけではな
いため、法令119①の規定は適用され
ず、
法令119の3⑭が適用される。
譲渡損益をどう処理すべきか、とい
きか、②株主における株式帳簿価額・
ついて、通達等の公表が望まれる。
読み取れない部分がある。これらに
中島 礼子
(なかじま・れいこ)
税理士法人トーマツ
シニアマネジャー 税理士
国内外のM&Aのストラクチャリン
グ、国内外のグループ内再編に係る
税務を含む総合税務サービスに従
事。
著書に、
『組織再編の申告調整ケー
ス50』
( 共 著、中央 経 済 社 )
『
、そう
だったのか! 税法条文の読み方』
(共著、
中央経済社)
『
、現物分配制度
の実務詳解』
(共著、中央経済社)
、
『税効果会計における
「税率差異」
の
実務』
(共著、
中央経済社)
など。
う点について、条文からは明確には
西村 美智子
(にしむら・みちこ)
税理士法人トーマツ
パートナー 税理士
国内外のM&Aのストラクチャリン
グ、
国内外のグループ内再編に係る税
務を含む総合税務サービスに従事。
著書に、
『組織再編の申告調整ケー
ス50』
( 共 著、中央 経 済 社 )
『
、そう
だったのか! 税法条文の読み方』
(共著、
中央経済社)
『
、現物分配制度
の実務詳解』
(共著、中央経済社)
、
『Q&A 事業承継をめぐる非上場
株式の評価と相続税対策』
(共著、
清
文社)
など。
非適格無対価組織
再編成の税務
無対価組織再編成が非適格組織再
編成に該当する場合の税務処理につ
いては、条文上、必ずしも明確になっ
ていない部分が多い。特に非適格無
対価合併・分割型分割において、移
転資産・負債に時価がある場合、①
誰から誰に寄附が行われたとみるべ
西村 美智子
中島 礼子
石川 慶
経理情報●2015.2.20(No.1405)
会計・税務の仕訳から申告調整まで
号「 繰
19
税理士法人トーマツ
税理士
税理士法人トーマツ
税理士
有限責任監査法人トーマツ
公認会計士
会計士協会監査委員会報告
石川 慶
(いしかわ・よし)
有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー 公認会計士
製造業、
情報・通信業、
サービス業、
卸売業などの会計監査および内部
統制構築支援業務などに従事。
トー
マツ本部のテクニカル相談デスク業
務を実施。
現在、
日本公認会計士協
会監査・保証実務委員会委員。
「 結 合 分 離 適 用 指 針 」と、日 本 公 認
行った場合の、会計処理・税務処理
延税金資産の回収可能性の判断に関
66
第3章
以 下 で は、 無 対 価 組 織 再 編 成 を
について、設例に即して説明を行う。
する監査上の取扱い」を「監査委員会
号」という。
66
なお、以下においては、会計仕訳の
報告
また、文中意見にわたる部分は私
勘定科目を除き、原則として税務の
用語を使用し、企業会計基準適用指
見であることをあらかじめ申し添え
る。
号「 企 業 結 合 会 計 基 準 及び事 業
針
分離等会計基準に関する適用指針」を
10
無対価組織再編成の
ケーススタディ
(注3)
株式交換直前のS2社株式帳簿価額相当額のS1社株式の帳簿価額の増加を認識する
(法令119の3⑭)
POINT
株式交換完全親法人が、株式交換
の対価として株式を交付することは
ないが、資本金等の額の増加を認
識する。