第 回 稼働休止期間中の減価償却

平成27年
第
回 稼働休止期間中の減価償却
篠藤 敦子
公認会計士・税理士 法人税法は、事業の用に供していない固定資産の減価償却を、原則として認めていません。しかし、稼働休止期間中の固定資産(稼働
休止資産)については、減価償却の対象とすることができるケースがあります。
生産調整のため、しばらく機械Aの稼働を休止することになりました。稼働休止期間中も減価償却を続けることはできる
のでしょうか。
稼働の休止が一時的なもので、必要な維持修繕が行われ、いつでも稼働できる状態にある場合には、稼働休止期間中も減
価償却を続けることができます。
解説
1 法人税法上の減価償却資産
法人税法で減価償却の対象となる資産(減価償却資産といいます)は、次のとおりです。
減価償却資産
有形固定資産
無形固定資産
生 物
● 建物及び附属
● 船舶
● 鉱業権
● 意匠権
●牛
設備
● 車両及び運搬具
● 漁業権
● 商標権
●馬
● 構築物
● 工具
● 特許権
● ソフトウエア
● りんご樹
● 機械及び装置
● 器具及び備品
● 実用新案権
● 営業権 等
● 茶樹 等
これらの減価償却資産については、法人税法で認められている定額法や定率法といった償却方法の中から、税務署に届け出ている方法
で減価償却を行います。ただし、無形固定資産、生物、平成10年4月1日以後に取得された建物は、法人税法で認められている償却方法
が一つであるため、届出の必要はありません。
なお、償却方法が複数認められている資産について届出を行わなかったときには、定率法(鉱業権と鉱業用減価償却資産は生産高比例
法)で償却することとされています。
減価償却の対象とならない資産
上記の減価償却資産に掲げられている固定資産であっても、「事業の用に供していないもの」と「時の経過により価値が減少しないも
の」は、減価償却の対象から除かれます。
「事業の用に供していないもの」には、建設中の資産だけでなく稼働休止資産も含まれます。また、「時の経過により価値が減少しない
もの」には、一定の美術品等*が該当します。
建設中の資産や稼働休止資産、一定の美術品等は、原則として減価償却の対象とすることはできません。
* 平成27年1月1日以後に取得する美術品等については、歴史的価値や希少価値のあるもの並びに取得価額が1点100万円以上であるもの。
稼働休止資産の例外的な取扱い
稼働休止資産であっても、必要な維持修繕が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものは、減価償却の対象とすることが認め
られています。
したがって、機械Aの稼働休止が一時的なものであり、いつでも稼働できるように注油や点検整備等が行われている場合には、稼働し
ていない期間中も減価償却を続けることができます。
税務調査では、事業概況の聞き取りや現地の状況確認などから、稼働休止資産の有無が検討されます。
稼働休止資産を減価償却の対象とすることは、例外的な取扱いです。実務上は、❶該当資産の有無を確認しておくこ
と、❷該当資産があり減価償却を続ける場合には、維持管理が行われていることを確認できる資料をそろえておくこと、
がポイントとなります。
しの とう
あつ こ
篠藤 敦子(公認会計士・税理士)
著者紹介
名古屋市出身。津田塾大学卒業後、平成
北区堂島)開業。平成20年
年公認会計士登録。大手監査法人を経て平成
年に篠藤公認会計士事務所(大阪市
月より甲南大学大学院社会科学研究科会計専門職専攻教授。企業の監査役を兼務している。
月