作品pdf - 人形劇団とんと

人
形
劇
団
と
ん
と
三匹のやぎのがらがらどん
T H R E E B I L LY G RU F F
z
困難を乗り越えるお話 z
このお話の魅力とは いったい?
このお話の魅力とはいったいどこ
兄弟なのか親子なのかは分かりま
でしょう。多くの大人が最初に
せんが、そ3匹の中で「生き方」
「大きいやぎから橋を渡ってトロ
の継承がなされています。「おれ
ルをやっつけてから橋をわたれば
たちは草を食べないと死んでしま
いいのに」と思うものです。とこ
う」という台詞があります。草を
ろが観ている子どもたちはそんな
食べるためにはどんな崖でもどん
ことは一切考えません。目の前に
な化け物のいる谷でも渡らなけれ
現れるトロルという化け物に目に
ばならないのです。それがやぎた
見える以上の恐怖心をいだきま
ちの生き方であり、彼らのアイデ
す。橋を渡っていくやぎがトロル
ンティティーなのです。それを大
怖いトロル
に食べられないかとドキドキし、
きいやぎから小さいやぎへとこの
またやぎを応援しながらこのお話
お話の中で伝えているのです。単
このお話に出てくるトロルは
を楽しみます。トロルという化け
純で深いお話を衝立を崖に見立て
谷間にいて、橋を通りかかるやぎ
を人のみにしてしまう魔物です。
やぎたちはこの橋を渡らなければ
草を食べることができません。観
ている子どもたちはトロルが現れ
るのが怖くてたまりません。ある
子は大人の背中の後ろに隠れて、
ある子は手で目を隠して指と指の
隙間からこっそり観ています。そ
して心の中で叫びます。「がんば
れ、やぎ」と。
物、最大の困難を乗り越えるまで
た舞台で演じます。
手に汗をにぎり観てくれるます。
このお話はト
ロルをやっつ
ける単純明快
なお話なので
すが、困難に
いかにして打
ち勝つかと言
うことを示唆
的に示してくれます。3匹という
集団の最小限の人数。その3匹が
妖精 登場
絵本にはないキャラクターが
しぐさで観ている子どもたちの緊
とんとの人形劇には登場します。 張を和らげてくれます。妖精たち
草の固まりのような妖精が滑稽な のかわいい動きにも注目くださ
い。
併演作品 わーちゃんのわいわいわーい てあそびアラカルト
わーちゃんのわいわいわーい
ワニのわーちゃんはおしゃべり上手。ところが変なこと
を言って相方の耕ちゃんを困らせます。まず出て来てご
挨拶。ところが「みなさん、さようなら」・・・ワニの
わーちゃんの脱線に次ぐ脱線のおしゃべりをどうぞお楽
しみください。
てあそびアラカルト
人間にとって一番手軽で、一番身近なおもちゃは手。
手っていろんな遊びが出来るよ。どんな遊びが出てくる
かお楽しみ。
劇団からのメッセージ
今ほど「生きる」ことが困難な時代はありません。生きに
くくしているのは他ならぬ我々人間自身です。多くの人がただ
文句を言ったり、ただじっと我慢をしたりします。中には人の
せいにして傷つけたり、生きることをあきらめてしまう人もい
ます。ところががらがらどんたちは「生きる」ために困難に立
ち向かいます。生きるためには困難に立ち向かう気概が必要で
す。やぎたちはその気概だけではなく勇気と知恵を持っています。そのことを自分たちの誇りにも
しています。私たちに今必要なものは、生きていくために誇りに思える何かです。その何かを掴む
ため多くの人がもがき苦しんでいます。その誇りに思える何かは人間が生まれた時から判っている
はずだと思います。人間は支え合って生きることが出来る動物だからです。私は他の動物より誇り
に思える何かは「支え合える」ことだと思います。しかしこの誇りに思えることが最も難しいこと
でもあるのです。「生きにくい時代」の今、争っている場合ではありません。やぎのように知恵と
勇気を持って私たちの誇りを取り戻さなくてはなりません。そんなことを思いながら「がらがらど
ん」を演じ続けています。「がらがらどん」は、そういう意味でも今後もやり続けたい作品です。
人形劇団とんと 代表 前田耕一