「明日への 地域医療特集 せん 声 処方箋」 利用者の きっかけは、 一枚のチラシでした。平成 21 年に、 公立多良木病院健診センター「コスモ」にMRIが 導入され、脳ドックの案内をするチラシを目にしま した。普段から血圧が高く、昭和 52 年に父を脳出 血で亡くしていたこともあり、 受診してみることに。 一度目の検査から1カ月後、脳に腫瘍が見つかり、 精密検査、確定診断を経て、熊本大学附属病院に入 Voice 院。4カ月にわたる化学療法、放射線治療は副作用 地域医療を担っているのは、公立多良木病 院だけではありません。 医師会に所属する「かかりつけ医」、そして 何より、病院を利用する私たち住民も大きな 役割を担っているのです。 中核病院に、側面から関わっている人たち の声を聞いてみました。 もあり辛いものでしたが、リハビリの甲斐あって、 7月1日に退院しました。 約 30 頭の黒毛和牛を飼育している栗秋さん。入 院中は親戚や兄弟、近所の人が交替で牛の世話、田 植えまでしてくれて「感謝してもしきれない」と言 くりあき よういち います。 栗秋 洋一さん(60) 今は3カ月に一度の経過観察と高血圧の通院の けいこ 惠子さん(56) (上里3) 状もなかったし、進行が早い病気。あのとき脳ドッ クを受けていなければ手遅れだった。健診は本当に 大事だし、早期発見は何より」と洋一さん。 「まだ まだ体力は戻っていないが、以前のように牛飼いが と充実した生活を送っています。 道 10 分。自宅から近いというのは一番助かっています。今は自分で運転し ていますが、年齢を重ねて運転ができなくなれば、送迎など家族にも負担を かけてしまう。近い場所に大きな病院がなくなれば、私だけじゃなく小さい 子どもから高齢者までたくさんの人が困ると思います。 野口 智恵さん(34) (上村) 5歳の長女、3歳の長男、1歳の次女が小児科を受診しています。長女が生 まれてから5年間受診していますが、小児科専門の信頼できる先生がいて、皮 膚科や眼科などどんな症状でもまずは小児科を受診し、必要な場合は適切な受 診科を紹介してもらえる。症状ごとにいろいろ考える必要がないので、とても 連れて行きやすい病院です。子どもがまだ小さいので、近くに信頼できる病院 があることは、親として安心ですね。 11 ゆのまえ 10 医) 八紘会そのだ医院 Sakada Takashi 坂田 敬 医院長(47) < Profile > 九州大学医学部卒。九州大学医学部第二 外科、九州医療センター、福岡市民病院な どで呼吸器外科医を務める。 平成 22 年4月、そのだ医院の医院長に就 任。福岡県八女市出身 齢者が多いということ。しか しそれは、症状が軽い患者さ ん。裏を返せば、かかりつけ 医にも来られない患者さんが いるということが分かってき た。距離的に遠かったり、連 れて来てくれる家族がいな かったり。 高齢化が進み、在宅医療の 必要性は感じているし、実際 に要望があれば往診もしてい ます。ただし、問題点もある。 広い範囲に民家が点在してい るので、移動に時間がかかり 一人の医師が診れる患者さん の数が限られてくる。それだ けのマンパワーとシステムづ くりが必要です。 ともえ 問 公立多良木病院の存在 は? のぐち 私 た ち の 立 場 か ら 見 る と、 車で片道 分の場所に中核病 院があるというのは大変心強 いこと。一人の患者さんが生 涯のうちにかかる病気はひと つだけとは限らないので、ど ちらの病院にもかかるケース もある。今後ますます、お互 いに情報を共有し、連携して いくことが大事だと思いま す。 信頼する医師がいて 受診しやすい病院 問 ん あ り ま す。 例 え ば、 胃 が ん、乳がん、心筋梗塞など手 術や緊急の処置が必要な場合 です。 実際に、病院に救急車を呼 ん で 搬 送 し た こ と も あ る し、 公立多良木病院とは頻繁にや り取りをしています。 大まかな道筋としては、ま ずはかかりつけ医に相談して もらい、必要であれば紹介す る。公立多良木病院側も、か かりつけ医の診断があれば対 応がスムーズになるし、絞り やすくなります。 血液透析のため、週3回公立多良木病院に通っています。自宅からは車で片 問 この地域の医療が抱えて いる問題は? 高血圧から腎疾患を患い、50 歳のときに人工透析をはじめ、8年前から ここに赴任して感じたこと は、自分の足で歩いて病院に 来てくださるなど、元気な高 鳴松 藤隆さん(70) (野中田1) かかりつけ医の 中核病院とかかりつけ医 の役割とは? なりまつ ふじたか 中核病院とかかりつけ医 の連携については? 週3回の通院。病院が 近くにあるので助かる 問 中核病院とかかりつけ医と では守備範囲、つまりできる ことが違う。病状に合わせた 施設で、適切な治療をするの が理想的です。その判断を患 者さんご自身でするのは難し いと思うので、何か心配なこ と、困ったことが起きた場合 に、電話でも良いのでまずは 相談してもらうこと。その窓 口となるのが、私たちかかり つけ医の役割です。 できることは幸せだし、 孫の顔も見ることができた」 私がここに来て3年。これ まで患者さんを公立多良木病 院に紹介したケースはたくさ あのとき脳ドックを 受けていたから、 今の生活がある み。毎日のウォーキングも欠かしません。 「自覚症 声 中核病院と かかりつけ医の連携は、 ますます不可欠になる ゆのまえ 10
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