2014年9月定例会

9月定例会
一般質問
橋本博之
今回は、大島町地域防災計画(以下、防災計画と略します)についての質問です。
この防災計画のうち、災害応急対策の初動などについて、改善点を提案し町の見解を質すも
のです。
また、防災計画の修正には、かなりの時間を要しますので、この提案を暫定的に運用して
頂けるよう要望するものです。
あらかじめ、お断りしますが、膨大な内容を持つ、大島町地域防災計画のうち、ほんの一
部である、監視体制と災害対応の初動体制についての提案が主なものです。
§1 災害応急対策の初動を明確にすること。
現行の防災計画は、「町長は、町の区域内に大規模な災害が発生し、または発生するおそ
れがあるときは、大島町災害対策本部(以下、災対本部と略します)を設置し、災害応急対
策に従事する職員を配置する」と定められています。
そして、災対本部を設置する基準として「暴風雨、高潮、地震(予知)、津波、火山噴火
等の大規模な災害が発生した場合、または大規模な災害に発展するおそれがある場合で、町
が総力をあげて対策にあたる必要がある場合」となっています。
この防災計画では、
「災害が発生した場合」の災対本部設置基準は明確ですが、
「災害の発
生するおそれがあるとき」の基準や体制が明確に定められていません。
今年の 5 月に大島町土砂災害避難計画〔暫定版〕(以下、避難計画と略します)が制定さ
れました。
この避難計画では、大雨注意報が発表されたときから、防災対策課の職員が監視態勢をと
り、夜間は 2 名体制で宿直態勢をとることになっています。
その後は、各種の情報収集、大雨警報が発表されたときからの態勢、避難勧告、避難指示
の発令まで、警報と情報に連動して明確に規定されています。
この避難計画は、昨年の台風による土砂災害の教訓から策定されたものです。
最近、全国各地で局地的な激しい集中豪雨が多発しています。
従来の避難勧告・指示の発令手段は、このような雨の降り方を想定していなかったため対
応が遅れるものでした。
大雨予報技術の限界と、土砂災害発生を予測する技術も確立していません。
また、仮に夜間、避難勧告が住民に伝わり、避難しようとしても激しい豪雨のなか、数百メ
ートル離れた避難所に移動できるかという問題もありました。
この課題を克服するため町は、防災対策室を設置し3名の職員を配置し、避難計画を策定
しました。
この避難計画では、初動体制を定め、気象庁の情報と実況等に連動して避難行動計画をマ
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ニュアル化しています。
内容は、監視態勢から始まり、大雨注意報が発表され、強い雨が連続して降る場合には、
要配慮者の避難所を開設し、その後は情報等により避難所の開設や避難指示までを定め、空
振りを恐れず、早めの避難により、住民の生命と安全を守ることを目的とする、避難計画を
策定したことです。
私は、これを評価するとともに、この避難計画策定後、数回実践された職員の皆様に感謝
するものです。
今回の質問は、この避難計画の理念を防災計画に反映することを提案し、町の見解を質す
ものです。
防災計画で定める必要があるものとして、
1、監視体制
防災対策室は、台風情報や各種情報および高潮・津波注意報、大規模地震対策特別措置法
に基づく警戒宣言、若しくは火口周辺警報・噴火警報等の情報を収集する。
防災対策室長は、これら注意報等が発表され、災害の発生が予想されるときで、必要があ
ると認めたときは、各課長等に注意を喚起する。
上記の注意報等が発表されている場合は夜間の監視態勢をとる。
2、防災計画に定める災対本部の設置。
最初に述べたことを繰り返しますが、現行、防災計画では、災対本部の設置要件について、
「町長は、町の地域において災害が発生し、または発生するおそれがあると認めるときは、
災害対策活動の推進を図るため災対本部を設置するものとする」と定めています。
また、災対本部の設置基準として「暴風雨、高潮、地震(予知)、津波、火山噴火等の大
規模な災害が発生した場合、または大規模な災害に発展するおそれがある場合で、町が総力
をあげて対策にあたる必要がある場合」としています。
そして、災対本部を設置したとき、職員の第 1 非常配備態勢は「課長級の職にある職員、
各出張所長およびこれに準ずる職員以上の職員とする」こと、
設置する時期として「おおむね 24 時間後に発生するおそれがある場合、またはその他の
状況により町長が必要と認めたとき」と定めています。
現行の防災計画では、気象現象の監視体制も規定されておらず、さらに、災対本部の設置
要件と設置基準には、運用上大きな隔たりがあります。
これは、防災計画が策定された当時、防災担当が、総務課に係長一人しか配置されていな
かったことが背景にあったものとも思われます。
3、災対本部設置の準備体制
災対本部設置の準備体制として、次のことを提案しますので検討願います。
先に提起した監視態勢とともに、実況が変化して、各種警報が発表されたとき、大島に震
度 5 以上の地震が発生したとき、防災対策室を支援するため、あらかじめ定める職員を配置
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し、防災計画に規定する諸準備を円滑に行える態勢をとる。
避難計画は、これに近い態勢で避難指示までの運用することになっています。
この準備体制で、各種注・警報や情報と実況等により、大規模な災害が発生するおそれが
あると町長が判断したとき災対本部を設置するとともに、職員の非常配備態勢を実施する。
§2 職員の非常参集体制を定める。
非常参集は、夜間や休日の初動体制の確立と応急対策を迅速かつ的確に実施する上で極め
て重要です。そのため、防災計画に記載すべき事項として、
「職員は、夜間・休日に津波警報の発表を知ったとき、大島に震度5以上の地震が発生し
たとき、火山の噴火を知ったときには、非常参集する。」
また、職員の参集途上での異常現象、被害の有無等の発見に努めるものとする。
さらに、非常参集したときの業務、活動等の態勢についても検討して頂きたい。
§3 異常現象発見者からの通報受付窓口と利活用
災害対策基本法は「発見者の通報義務」として、次のことを規定しています。
「1、災害が発生するおそれがある異常な現象を発見した者は、遅滞なくその旨を市町村長
または警察官若しくは海上保安官に通報しなければならない。
2、何人も、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。
3、第1項の通報を受けた警察官又は海上保安官は、その旨をすみやかに市町村長に通報
しなければならない。
4、第一項又は前項の通報を受けた市町村長は、地域防災計画の定めるところにより、そ
の旨を気象庁その他の関係機関に通報しなければならない。」
町は、機会あるごとに、住民に「発見者の通報義務」があることを周知して頂きたいと思
います。また、町は、この発見者通報を、夜間はどのように対応していますか。
§4 防災対策室の分掌事務を明確に規定する。
もし、制定されているのなら回答願います。
最後に、一般的な傾向として、防災対策は担当部署の業務という意識から、災害の影響を
考慮する行政意識は残念ながら高いとは言えません。
今後取り組まれる「大島町復興計画」で進められる防災対策を推進するため、防災計画に
準じ各課の計画と業務について、防災の観点からの点検を行うことを要望します。
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