咲き満ちて 庭盛り上がる 桜草 (山口青邨) やわらかに やなぎあおめる

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咲き満ちて 庭盛り上がる 桜草 (山口青邨)
冷え込んだこの数日、花かおるというにはまだ早いですが、桜草が咲く庭を発見して、
「じゅうたんのように咲
いている。
」と思った私ですが、ところで、桜草の俳句を思い出しました。日本語は美しいなあと思いつつ。
春の情景をうたった短歌で、時々思い出す啄木の短歌があります。新緑の美しさと、豊かな雪溶け水をたたえ
る川面を春の風景として歌いながら、短歌全体から郷愁と静かに流れる水と風を感じることができる短歌です。
やわらかに やなぎあおめる 北上の岸辺目に見ゆ 泣けと如くに (石川啄木)
島々に 灯をともしけり 春の海 (正岡子規)
この正岡子規の俳句も静かな夕暮れに、人々の営みの温かさを語るように家の灯がともるようすとともに、春
の風、潮の香りが感じられ、まるで、夕焼けからたそがれへと空の色が変わってゆく瀬戸内海(だと思います)
にいるように感じます。
短歌でも俳句でも今に残り伝えられるものは、言葉から理解できる事柄だけでなく、経験の底にある感動を呼
び覚まし、感じるはずがない風や波の音、木の葉が風にそよぐ音までも伝えてくれます。
学校時代「白鳥は かなしからずや そらの青海の青にも 染まず漂う」の鑑賞文を書いたのを思い出す H27.4.16.
(短歌の文言は国語で指導する現在の表記に変えています)