がん研究とご協力に関する一般向け説明パンフレット

がん医療の発展のために
血液やがん組織を使った研究が行われています
当院は、がん医療の発展のための研究に協力しています
◎
がんと日本人 ◎
いまや日本人の2人に1人が一生のうちに何らかのがんにかかります。国民病とも言えるがんに打ち克つべく、多くの研究者が、
がんの仕組みを知り、新しい診断技術・薬・治療法を開発するために、
日々研究に取り組んでいます。
◎
皆様にご提供いただいた血液や組織は、様々ながん研究に活用されます◎
研究への参加にご同意いただいた皆様から、血液や体液、
がん組織や正常組織などの「試料」
をご提供いただいています。
そして、
がん患者さんとがんでない人の試料を比較したり、
がん患者さんのがん細胞と正常細胞を比較したりすることで、様々な
研究に役立てています。
遺伝情報
遺伝情報
がん細胞の遺伝情報
比較する
比較する
患者さん
正常細胞の遺伝情報
がんでない人
患者さん
例えば、以下のような研究が行われています。
●
がんが周囲に広がったり、転移したり、治療が効かなくなったりする原因を探求する研究
●
少量のがん細胞をより早く確実に見つけるための、新しい目印を開発するための研究
●
がんの複雑な構造を明らかにすることによって、早期診断を目指すための研究
●
最も有効に薬の成分が発揮されるようにするため、体内での薬物の動きを制御し、最適な形で
がん細胞に有効成分を到達させる技術の開発
●
あらかじめ薬が効くかどうかを簡単に判断でき、
むだな投薬を防ぐための研究
●
がん細胞に特有の分子を見つけ、それを標的として、その分子だけを攻撃する技術の開発
こうした研究成果が、新しい検査方法・診断技術・薬・治療法への確立に
結びつきます。
がん医療の発展のために、
いま、複数の研究機関による共同研究や、
データの共有が 求められています
皆様にご提供いただいた試料が研究に活用されるまで
新しい
診断技術
患者さん
研究の実施
研究への参加、試料・情報提供に
ご同意いただいた場合
ヒトゲノム解析機関
大学
カルテなどの臨床情報 ※1
解析結果・残った
試料の返却
解析の依頼
※1 ご提供いただく試料・データは、参加
される研究によって異なります。
試料・情報の収集と匿名化 ※2
試 料・情 報
個人情報の保護
︵匿名化 ※2︶
病院
※2 試料やデータに個人情報の代わりに
研究用の番号を振ることです
(匿名
化といいます)
。個人情報と番号の
対応表は、厳しいセキュリティのもと、
管理責任者によって管理されます。
研究所
研究機関
大学
研究成果の発表
手術・検査で残った試料、
または、研究用に採取された試料 ※1
(血液・体液・がん組織・正常組織など)
将来的に
新しい
検査方法
研究所
新しい
薬・治療法
匿名化※2された
試料・解析後のデータ
原則として、将来の研究への
利用にもご同意いただいた場合
試料・解析後のデータ
データベース
バイオバンク
研究によっては、研究で残った試料を
バイオバンク(裏面Q&Aを参照)に
移管することがあります。
試料は様々な研究者のもとで、
すべて使い切られるまで研究に活用されます。
他の研究機関との
共同研究
研究で解析されたデータは、
データベース(裏面Q&Aを参照)に
登録のうえ広く公開され、
様々な研究者に利活用されます。
国内
海外
大学
研究所
民間企業
大学
研究所
民間企業
Q&A
Q 提供した私の試料は、研究が終わった後どうなるの?
A
ご提供いただいた試料や解析後のデータは、将来の研究に活用される場合があります。皆様にご提供
いただいた血液やがん組織などの試料、
そしてそれらを用いた研究で得られたデータは、大変貴重なものです。
貴重な資源からより多くの研究成果を生み出すため、試料・データを国内外の研究機関と共有する動きが
拡がっており、皆様の試料・データは将来、新たな研究に活用される可能性があります。
将来の研究に活用されるかどうかは、個々の研究によって異なります。詳しくは、研究に参加される際の説明
同意文書、
または担当の医療スタッフにご確認ください。
Q データベースやバイオバンクって何ですか?
A
データベースでは、研究の解析結果などのデータを広く集め、整理し、別の研究者が利用できるように管
理しています。現在、国の支援を受けて実施される研究は、研究成果をデータベースに登録し、他の研究者
が利用できるよう広く公開することが義務づけられています。日本には、国立研究開発法人科学技術振興機
構
(JST)
内に、バイオサイエンスデータベースセンター
(NBDC)
があります
(http://biosciencedbc.jp/)
。
また、バイオバンクでは、血液や組織などの試料そのものを、保存・管理し、他の研究者に分配してい
ます。一部の研究では、提供者の皆様から同意を得た上で、研究に使用した試料の残りを各バイオバンク
(公的バイオバンクや大学等が有するバイオバンク)
へ移管しています。
Q なぜデータを共有する必要があるの?
A
研究には非常に多くの時間と資金がかかります。そうして得られた貴重な資源を多くの研究者で分かち合う
ことで、より早く、より効率的に、より多くの研究成果を生み出せるようになるからです。また、
データを
公開することで透明性が保たれ、
さらに、研究領域の重複による無駄を省くことにもつながります。
Q 多くの研究者に私の個人情報が知られてしまうの?
A
試料・データは、病院から他の機関へ提供されるときに、個人情報が分からないように処理されます
(匿名化といいます)。また、試料・データを使用する研究者は、研究計画について倫理的に問題がないかどうか
の審査を受けます。適切な情報管理の下、研究を実施いたします。
本パンフレットに関するお問合せ先
文部科学省
次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム
次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム
ヘッドクォーター部門 研究倫理支援ユニット
〒108-8639 港区白金台4-6-1
東京大学医科学研究所 公共政策研究分野
Email: [email protected]
公式HP:http://p-direct.mext.go.jp/
「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」は、基礎研究の有望な成果を、革新的な診断技術や治療薬の開発等につなげることを目指して、平成23年度より開始された
文部科学省のプログラムです。平成27年度からは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構に移管されます。全国の大学・研究機関等が参加し、
がんの克服へ向けた
研究・開発を進めています。
2015.3.ver.1