第6章

演習問題 第6章
1)
良く行われる実験にパルスを一発照射してFIDを観測するというものがある.ピー
クが1本でその Z 磁化の大きさを M0 としよう.これに X 方向から 90 度パルスを照射
すると,磁化は Y 軸に倒れる.従って,パルス直後に観測される Y 磁化の大きさは当
然 M0 である.90 度ではなくて45度のパルスを用いると図 6.5 の様に Z 磁化の一部は
p
2M0 となるだろう.
2
ZY 平面内に留まり,Y 磁化として観測される磁化の大きさは
さて,横磁化が T2 で緩和した後でさらに 90 度パルスを照射すると, Z 軸に残ってい
た磁化が観測されて,その大きさは最初の FID 信号を観測している間の T1 緩和を無視す
ると
p
p
2M0 となるだろう.最初の信号と加算すると,この2回の測定で M0 の磁化から
2
2M0
だけの横磁化を得ることが出来た.つまり|-90 度パルスを使うよりも45度パル
ス∼ 観測∼
90 度パルス∼
観測を行った方が信号が
p
2
倍大きくなるので,信号/雑音比
(signal-to-noise ratio: SN 比) が良くなる!|-わけはないので,
a) そうならない(SN 比が上がらない)理由を考えよ.
b) 上の例,つまり最初のパルスが45度∼
2番目が 90 度を一般化して(1 ∼ 観測∼ 2 ∼
観測…i ∼ 観測…:ここで i は i 番目のパルス幅)としたときの,横磁化の和が最大に
なる i パルスシーケンスを考えてみよ.
解答例)
a)
ノイズも
b) n
p
2
倍になる(章末問題4.5)から.
回の観測の信号の和は
f
+(os 1 os 2 os n
Msum = M0 sin 1 +os 1 sin 1 +
2 sin n 1 )+(os 1 os 2 os n 1 sin n )g
最後のパルス角 n は 90 度 (=2) の時に信号強度が最大になる.最後の2項を共通項でく
くると
f
Msum = M0 sin 1 + os 1 sin 1 +
+ (os 1 os 2 os n
となる.ここで,sin n 1 + os n 1 は n 1
f
= 45 度で最大になり,
Msum = M0 sin 1 + os 1 sin 1 +
+ (os 1 os 2 os n
p
また,最後の2項を共通項でくくると,次は sin n 2 +
り,その時 sin n 2 +
p
2 os n
2=
p
2 )(sin n 1 + os n 1 )g
2 os n
3 となる.一般的に k =
1
2
p
2)
g
2
2 を最大にする n 2qとな
xn k で os xk =
k
k+1
で与えられ,その時の磁化は
Msum =
pn
となる.適切なパルス角を用いた測定では, n 回測定により観測される磁化の大きさは
pn 倍になる.
コメント)
!なるけど,ノイズも
つまり,100 回に分けると 10 倍に!
pn 倍になるので,SN は同じ・・
あたりまえですね.むしろ測定時間を考えると損かな?観測中に T1 で回復する分を考え
ると,T1 と観測時間の関係によっては得になるのかもですね.
この問は高校生までの算数しか使ってないので入試問題にいいかも?
2