屋外タンク貯蔵所の泡消火設備の一体的な点検に係る 「再講習会」の

屋外タンク貯蔵所の泡消火設備の一体的な点検に係る
「再講習会」の開催について
事故防止調査研修センター
当協会では平成17年度から「屋外タンク貯蔵所の泡消火設備の一体的な点検に係る講習会」
(以下、
「初回講習」といいます。)を実施しており、これまで多くの方に受講いただいているところです。
災害発生時に迅速、かつ、的確な対応を行うためには重要事項の再確認や新たな知識の習得によ
り技能の充実を行うことが必要ですので、過去に講習会を受講されて
年以上経過された方を対象
として、本年度より再講習を実施しております。
再講習のカリキュラムは、第
種の固定式泡消火設備の維持管理に重点を置いたものとなってお
り、過去に講習会を受講され、引き続き泡消火設備の維持管理や一体的な点検を担当される方々に
最適な内容となっています。
.再講習の内容
再講習では屋外タンク貯蔵所において火災が発生した場合に適正な泡を放出するために必要とな
る設備の維持管理や、泡放出試験時における泡の確認方法を中心とした講習を行い、主な講習の内
容は次のとおりです。
⑴
第
種の固定式泡消火設備の一体的な点検の方法
第
種の固定式泡消火設備の一体的な点検時の点検内容や点検結果の確認方法等、第
種の固
定式泡消火設備を適切に維持管理するために必要となる事項について解説します。
⑵
標準混合率グラフの作成、
第
種類の濃度の泡の発泡倍率、25%還元時間、混合率の測定
種の固定式泡消火設備からの泡の適正な放出を確認するために必要な事項を実習により体
験していただきます。内容としては、標準資料の作成、標準混合率グラフの作成、たん白泡消火
薬剤用発泡倍率測定器具を使用した泡の発泡倍率、25%還元時間、混合率の測定を行います。実
習の詳細につきましては、「
⑶
.実習内容」に示します。
金属の腐食のメカニズム
金属材料の腐食の発生原因や腐食防止対策について理解することは泡消火設備の維持管理にお
いて大切なことです。そのため、ここでは腐食のメカニズムと代表的な腐食の発生原因やその対
策について解説します。
⑷
泡消火設備の一体的な点検時における不具合事例や維持管理の要点
第
種の固定式泡消火設備の一体点検を行うこととされてから10年が経過しましたが、この間
に点検時に発泡倍率、還元時間、混合率とも適正な値を示さなかった、エアフォームチャンバー
からの放出圧力が規定値に達しなかった等の不具合事例が発生しております。泡消火設備は錆や
消火薬剤の沈殿物が発生する場合がある、一部が異物が詰まりやすい構造であること等、維持管
理の際に留意すべき点があります。そのため、適切な維持管理を行っていただくために、当協会
が収集した不具合事例の中から重要なものを抽出し、それらの事例の概要、発生原因、再発防止
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対策等について解説します。
.実習内容
泡放出試験時に適切に放出された泡が適正であることの確認を行うことができる様、次の実習を
行います。
⑴
標準混合率グラフの作成
泡水溶液の混合率を直接測定する装置はありません。そのため、泡水溶液の混合率を知るため
には糖度計を使用しますが、糖度計の指示値から泡水溶液の混合率を求めるには事前に泡の混合
率と糖度計の指示値の相関関係を求め、標準混合率グラフを作成しておく必要があります。
標準試料として濃度1.5%、3.0%、4.5%の
種類の泡水溶液を作成します。各混合率の標準試
料(泡水溶液)を、ゼロ調整済みの糖度計を使用して計測を行い、各混合率と糖度計指示値をグ
ラフにプロットします。
プロットされた点を基にして直線を引き、標準混合率グラフを作成します。標準混合率グラフ
の例を図
図
⑵
に示します。
標準混合率グラフの作成例
写真
標準資料の作成状況
発泡倍率、25%還元時間、標準混合率の測定
初回講習会の実習においては、実習用に水成膜泡消火薬剤相当の訓練用薬剤を使いますので、
発泡倍率等の測定器具は図 と図 に示す様な水成膜泡消火薬剤用を使用しています。
再講習においても初回講習会と同じ水成膜泡消火薬剤相当の訓練用薬剤を使いますが、発泡倍
率等の測定器具はたん白泡消火薬剤用の機器の取り扱いに慣れていただくため、図
と図
に示
す様なたん白泡消火薬剤用を使用しています。
25%還元時間の観察は、図
のコンテナで泡を採取後、専用の台の上にコンテナを置き、ピン
チコックを外し、還元液を100mℓのメスシリンダーに流しながら行います(写真
)。
その後、メスシリンダー内の還元液を糖度計で測定し、その値から、採取した泡の混合率を求
めます。
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水成膜泡消火薬剤用泡資料コレクタ
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泡資料コンテナ(内容量1,000mℓの目
盛り付きシリンダ)
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たん白泡消火薬剤用泡資料コレクタ
図
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内容量 1,400mℓの泡試料コンテナ
.おわりに
第
類の危険物を貯蔵する屋外タンク貯蔵所で
は火災が拡大すると消火が著しく困難となり、第
種の固定式泡消火設備を設ける屋外タンク貯蔵
所においては、初期段階で泡消火設備による消火
が効果的です。火災発生時に泡消火設備の機能を
最大限に発揮させるためには、泡消火設備の維持
管理と、操作技術の習熟が大切なものとなってき
ます。そのため、泡消火設備の維持管理や一体的
な点検をされる方々は継続的に技能の維持に努め
られ、事業所の防災能力の向上を図っていただく
写真
25%還元時間の測定状況
ためにも再講習会の受講をお勧めします。
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