ガソリン携行缶からの漏えいを防止するための 取り組みについて ∼「ガソリン携行缶の試験確認に係る業務規程等の 見直しに係る事前説明会」を開催∼ 業務部 場における気密検査で不適合となったガソリン はじめに 危険物保安技術協会では、健全な危険物運搬 携行缶が、人為的ミスにより出荷された可能性 容器の普及に努めるとともに、当該運搬容器に が高いということが判明したことから、当協会 よる危険物の運搬時における安全の確保に寄与 では、再発防止を図ることを目的とし、業務規 することを目的として「運搬容器の試験確認に 程を見直すこととしました。 係る業務規程(平成 年 月 先般、当協会の試験確認制度を利用している 日危保規程第 号を規定し、危険物運搬容器の試験確認業務を ガソリン携行缶輸入事業者に対し、本見直しの 実施しています。 主旨をご理解していただき、また、業務規程改 危険物運搬容器のうち、ガソリン携行缶につ 正後は速やかに新たな試験確認体制に移行でき いては、平成22年度から平成23年度にかけてガ るよう「ガソリン携行缶の試験確認に係る業務 ソリンの漏えい事案や、定期調査における不適 規程等の見直しに係る事前説明会」を開催しま 合事案が多数発生したことから、 「運搬容器の した。 本稿では、その説明会の概要について紹介し 試験確認に係る業務規程」からガソリン携行缶 ます。 について定めた部分を独立させ、 「ガソリン携 行缶の試験確認に係る業務規程(平成24年 月 説明会の概要 21日危保規程第10号) 」 (以下、 「業務規程」とい ⑴ う。)を新たに規定しました。 その後、平成25年 日時 平成27年 月に発生した京都府福知 月22日(月) 13時30分から16時00分 山市の花火大会での火災事故を踏まえ、ガソリ ⑵ ン携行缶本体に「噴出注意」など、ガソリン携 参加者(社) ガソリン携行缶輸入事業者 ( 行缶ユーザーが特に注意すべき事項を表示して ⑶ いることを当協会の試験確認の要件とする対応 社) 説明内容等 以下の①から③についてご説明し、その をしています。 後、参加者と意見交換等を行いました。 ① 業務規程の見直しについて 業務規程見直しの概要と背景 平成26年12月に、ガソリン携行缶輸入 平成26年12月に、海外の製造工場で製造され たガソリン携行缶を輸入販売する事業者 (以下、 事業者が販売した、当協会の試験確認を 受けているガソリン携行缶 「ガソリン携行缶輸入事業者」という。 )が販売 缶からガソ した、当協会の試験確認を受けているガソリン リンがにじむ事案を受け、今後は購買管 携行缶 缶からガソリンがにじむ事案が発生し 理体制等の充実強化、定期性能調査の調 ました。原因を調査したところ、海外の製造工 査対象の拡大、海外製造工場への立入調 51 Safety & Tomorrow No.163 (2015.9) 査等に係る規定 点を中心に業務規程を ○説明会で配布した資料の抜粋(注) 見直す予定である旨を説明しました。 ② ガソリン携行缶輸入事業者における今 後の対応等 業務規程の見直しに伴い、ガソリン携 行缶輸入事業者の方々に対応していただ きたい以下の内容について説明しまし た。 ・ 海外の製造工場の品質管理体制及び自 主検査方法(全数の気密試験実施等)を 含めた性能試験体制について、ガソリン 携行缶輸入事業者の責任において文書で 明確化するとともに、従業員用の自主検 査方法に係るマニュアル等を作成し、海 外の製造工場及びガソリン携行缶輸入事 業者相互で保存すること。 ・ ガソリン携行缶輸入事業者の責任にお いて、海外の製造工場に対して、製造し たガソリン携行缶の⒜製造日ごとの製造 缶数、⒝製造日ごとの気密試験不適合缶 数、⒞製造日ごとに分類した製造工場か ら出荷される缶数等についての確認及び その記録の保存を指示すること。当該記 録については、ガソリン携行缶の輸入時 に同包させ、ガソリン携行缶輸入事業者 において保存すること。 ・ ガソリン携行缶輸入事業者が自ら行う 輸入時の自主検査要領について整理した こと。 ③ 海外製造工場への立入調査等について 業務規程において、当協会が実施する 立入調査の対象に「海外の製造工場」が 注:説明会で配布した資料の抜粋の内容につ 含まれることを明文化するとともに、今 いては、試験確認制度の利用者のご意見等 後、当協会が試験確認業務を行うにあた を踏まえ、 今後変更する可能性があります。 り、海外製造工場での生産実態を把握す るため工場の現地確認を実施していく予 定である旨を説明しました。 おわりに 本稿では、当協会の試験確認制度を利用して いるガソリン携行缶輸入事業者に対し実施し Safety & Tomorrow No.163 (2015.9) 52 た、「ガソリン携行缶の試験確認に係る業務規 通じ、危険物の保安に努め、国民生活の安全に 程等の見直しに係る事前説明会」についてご紹 寄与してまいります。 介しました。 各種燃料等に使用されているガソリンは、国 ※ 民生活になくてはならない大切なものです。し ガソリン携行缶とは・・・ かし、ガソリンは引火点が低く、万が一ガソリ もっぱら常用の用に供する車両(常用の用 ンが漏えいし火災が発生すると甚大な被害に至 に供する車室内に貨物の用に供する部分を有 る可能性があります。このためガソリン携行缶 する構造のものを含む。)によりガソリンを には一定の安全性能が求められます。 運搬するための運搬容器として、危険物の規 制に関する技術上の基準の細目を定める告示 当協会は、ガソリン携行缶の試験確認に係る (昭和49年自治省告示第99号)第68条の 業務を実施していくうえで、今回の漏えい事案 第 項に規定されている構造及び最大容積の基 を踏まえ、再発防止対策のため業務規程を見直 準の適用を受けるものをいいます。 すこととします。その内容は、試験確認制度利 用者のご意見等も参考にすることで、現実的か つ効果的なものとし、より一層健全なガソリン 携行缶の普及を目指していきます。 また、当協会ではガソリン携行缶以外の危険 物運搬容器や、SF 二重殻タンク、FF 二重殻タ ンク、固定給油設備及び過剰注入防止設備等、 各種危険物関連設備等について、これらに係る 安全性能基準等を定め、試験確認業務等を実施 しています。当協会はこれら試験確認業務等を 53 Safety & Tomorrow No.163 (2015.9)
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