Q E 解 説 2016 年 2 月 15 日 2015 年 10~12 月期 1 次QE概要 経済調査部主任エコノミスト 実質GDPは年率▲1.4%と 2 四半期ぶりのマイナス 03-3591-1298 徳田秀信 [email protected] ○ 10~12月期の実質GDP(1次速報)は前期比▲0.4%(年率▲1.4%)と、2四半期ぶりのマイナス。 暖冬の影響から個人消費が大幅に落ち込むなど、景気が依然踊り場にあることを示す内容 ○ 設備投資は増加が続いたものの、個人消費の不振が響き、民需が大幅に減少。2014年度補正予算分 の事業のピークアウトから公需も減少。外需寄与度はプラスを維持も、力強さには欠ける結果 ○ 2016年1~3月期は、IT関連の需要減退などから踊り場が続くと予想。その後は、緩やかながらも 回復基調に復する見込みだが、海外経済の減速や年明け後の円高・株安が景気回復の重石に 10 ~ 12 月 期 の 実 質 G D 本日、内閣府が発表した2015年10~12月期の実質GDP成長率(1次速報) Pは前期比年率▲1.4% は、前期比▲0.4%(年率▲1.4%)と2四半期ぶりのマイナス成長となった と、2四半期ぶりのマイ (図表)。暖冬などの影響で個人消費が大幅に落ち込んだことが、マイナス ナス成長 成長の主因である。2014年度補正予算等による政策効果のはく落から、公需 も減少が続いた。外需寄与度はプラスを維持したものの、内需の弱さを補う には至らなかった。今回のGDPは、景気が依然踊り場にあることを示す内 容といえるだろう。 図表 2015 年 10~12 月期 1 次QE結果 (前期比・%) (前期比、%) 3 実質GDP 成長率 民間設備投資 2 国内総生産 (前期比年率) 公的需要 外需 (前年比) 国内需要 1 国内民間需要 0 民間最終消費支出 ▲1 ▲2 民間住宅 家計 (消費+住宅) 民間在庫投資 民間企業設備 民間在庫品増加 公的需要 ▲3 政府最終消費支出 ▲4 公的固定資本形成 財貨・サービスの純輸出 ▲5 Q1 Q2 Q3 2014 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 2015 (期) (年) 輸出 輸入 名目GDP GDPデフレーター(前年比) (資料)内閣府「四半期別GDP速報」により、みずほ総合研究所作成 2014年 10~12 2015年 1~3 0.6 1.0 ▲ 0.3 0.3 ▲ 0.4 2.5 4.2 ▲ 1.4 1.3 ▲ 1.4 ▲ 1.0 0.3 (0.3) 0.3 (0.2) 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.0 (▲0.2) 0.2 (0.1) 0.3 0.7 (0.3) 3.2 1.1 1.0 2.3 4~6 7~9 ▲ 1.0 0.7 1.7 0.5 1.0 ▲ 0.0 0.1 ▲ 0.5 (1.0) (▲0.0) (0.1) (▲0.5) 1.5 ▲ 0.3 0.2 ▲ 0.6 (1.1) (▲0.3) (0.2) (▲0.5) 0.2 ▲ 0.8 0.4 ▲ 0.8 2.1 2.3 1.6 ▲ 1.2 2.8 ▲ 1.2 0.7 1.4 (0.5) (0.3) (▲0.2) (▲0.1) ▲ 0.4 0.9 ▲ 0.2 ▲ 0.1 (▲0.1) (0.2) (▲0.1) (▲0.0) 0.2 0.5 0.2 0.5 ▲ 2.9 3.3 ▲ 2.0 ▲ 2.7 (▲0.0) (▲0.3) (0.2) (0.1) 2.1 ▲ 4.6 2.6 ▲ 0.9 1.9 ▲ 2.6 1.3 ▲ 1.4 1.9 ▲ 0.0 0.6 ▲ 0.3 3.3 1.5 1.8 1.5 (注)( )内は国内総生産への寄与度。 (資料)内閣府「四半期別GDP速報」により、みずほ総合研究所作成 1 10~12 暖冬の影響などから、個 人消費が大幅に減少 需要項目別にみると、個人消費は前期比▲0.8%(7~9月期同+0.4%、4 ~6月期同▲0.8%)と、再び大幅なマイナスに転じた。暖冬により、冬物衣 料やエアコン、灯油等の販売が押し下げられたようだ。冬季ボーナスの増加 もあってクリスマスや年末用の支出は堅調だったものの、天候要因の悪影響 を補えなかった。 その他の民間需要項目では、設備投資は前期比+1.4%(7~9月期同 +0.7%)と、2四半期連続で増加した。受注から出荷されるまでの期間の長 いタイプの機械投資が、ラグを伴って進捗している可能性がある。一方、昨 年半ばにかけての増勢が一服したことで、住宅投資(前期比▲1.2%)は、4 四半期ぶりの減少に転じた。在庫投資の寄与度も、▲0.1%Pt(7~9月期寄 与度▲0.2%Pt)とマイナスが続いた。個人消費の減少幅が大きかったこと から、民間需要全体は、前期比▲0.6%(寄与度▲0.5%Pt)と2四半期ぶり のマイナスになった。 2014年度補正予算に計上 公的需要は前期比▲0.1%(寄与度▲0.0%Pt、7~9月期前期比▲0.2%) された事業のはく落など と、2四半期連続で減少した。2014年度補正予算に計上された公共事業のは から、公共投資が減少 く落により、公共投資(前期比▲2.7%、7~9月期同▲2.0%)の減少幅が拡 大したためだ。一方、政府消費(前期比+0.5%)は、高齢化に伴う社会保 障給付増などを背景に増加が続いた。 輸出の減少幅を輸入の落 輸出(前期比▲0.9%)が減少したものの、輸入(前期比▲1.4%)の減少 ち込み幅が上回り、外需 幅がそれを上回ったことで、外需寄与度は+0.1%Pt(7~9月期同+0.2%Pt) 寄与度はプラス とプラスを維持した。輸出は、新型スマートフォン向けの電子部品や欧米向 けの自動車が下支えとなったが、中国や米国経済の減速の影響から資本財の 弱さが続いた。輸入は、原料品を中心に弱めの動きとなった。 2016年1~3月期は踊り場 以上のように、10~12月期は、個人消費の弱さから2四半期ぶりのマイナ が続くが、その後の景気 ス成長になった。2016年1~3月期についても、IT関連需要の減退などが見 は、緩やかながらも回復 込まれることから、景気の踊り場が続くと予想している。 基調に復する見通し 一方、4~6月期に入ると、国内生産の持ち直しとともに、景気は緩やかな 回復基調に復するとみている。製造業部門の在庫調整は徐々に進捗してお り、最終需要が底入れすれば、増産に向かいやすい状況にある。大手自動車 メーカーが欧米向けの輸出用生産を増強する予定であることも、生産持ち直 しの後押しとなるだろう。ただし、需要が下振れすれば、生産停滞が長期化 するリスクも否定できない。特に、年明け後に金融市場が激しく変動したこ とから、円高・株安による輸出・個人消費の下押し、不確実性の高まりを受 けた設備投資の先送りなどのリスクには注意が必要だ。 ●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに 基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。 2
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