151011 分会ニュース81号

育成会分会ニュース
発 行: ユニオン東京合同 手をつなぐ育成会分会
81号
2015.10.11
〒101-0061 東京都千代田区三崎町 2-17-8 皆川ビル 301 朔気付
TEL&FAX
03-3262-4440
メール [email protected]
HP http://www.union-tg.org/utg/
郵便振替
00110-8-120661
近畿ブロック大会お疲れ様です。私たちは、「全日本手をつなぐ育成会」で働いてきた労働者で組織するユニ
オン東京合同(略称:UTG)の分会です。8年前の特別監査報告によって、当時の飯島勤事務局長が突然解職
される事件が起き、労働者から話し合いを求めても使用者は話し合いを拒絶したため、当該労働者たちが労働組
合(UTGの分会)を結成し、以来、使用者による「労働者の権利」への侵害と闘ってきました。組合・労働者
の正しさと使用者の過ちが東京都労働委員会で認定された昨年2月下旬、そのタイミングで「社会福祉法人解散
による労働者全員解雇」と使用者から宣告され、5月31日に労働者の解雇の強行と、滋賀県へ事務所の移転が
されましたが、必ず、解雇を撤回させて、原職(相当職)に復帰します。
不当解雇のための嘘をまだ続けますか?
さて、皆様の、手をつなぐ育成会・全国組織である全日本育成会(使用者)は昨年2014年5月31日に東
京の事務所を偽装閉鎖し、労働者の解雇を強行しました。
しかし、その解雇の理由が、
「ウソ」だったことが明白になってきました。労働条件に対する説明は、
「ウソ」
であってはなりません。ところが、久保厚子理事長(当時)が、会員や社会に対してウソを並べていたこと、そ
してその「ウソ」には「だます」目的であったと言わざる得ないこと明らかになってきました。
ウソ・その1.「社会福祉法人格の返上とは組織変更である」ことを隠してごまかしたウソ
社会福祉法人の解散」とは、↓図のように、社会福祉
りです。全日本手をつなぐ育成会の事務局を解体するた
事業を廃止して、社会福祉法人格ではなくなる手続きを
めに事務所を閉鎖することを決め、労働者を解雇すると
したのであって、全日本育成会で行ってきた全ての事業
したのです。
をやめることではありませんでした。
解雇することは決定しながら、解雇の必要性を示す
そして、全日本育成会が社会福祉法人を返上しても、
充分な説明については、職員からの質問書に対して
公益事業として行ってきた事業は全国手をつなぐ育成
「回答の必要を認めない」として、事実を明らかにす
会連合会で継続していることは皆さんもご承知のとお
ることを拒み、組合に対しては、団交応諾義務であり
は「
主
な
た
い
る
事
業」
で
主
た
る
事
業
社
会
福
祉
事
業
公
益
事
業
(1)第一種社会福祉事業(入所施設の経営)
(2)第二種社会福祉事業
(相談事業と、団体との連絡・助成事業)
⇒
ながら、応諾を拒否しつづける
2003年に茨城県の
地元の法人に移管
2014年3月31日
⇒
をもって廃止
という、ブラックぶりを発揮し
廃
止
て解雇強行したのでした。
つまり、使用者側に誠実に説
明する責任があるにもかかわら
(1)社会啓発事業
機関誌「手をつなぐ」の発行
大会・セミナーの開催
(2)調査研究事業
(3)図書刊行事業
(4)関係団体との交流・協力事業
2014年6月1日か
ら事務所を移転し、全
⇒ 国手をつなぐ育成会連
合会として、事業を始
動
1
全
で国
継連
続合
会
ず、それを承知しながら説明し
なかったのは、明らかに「だま
す」目的があったのです。
ウソ・その2.「会社で言えば倒産状態に相当する」というウソ
久保厚子理事長(当時)らが2014年5月3
となのです。
1日で事務所を閉鎖し労働者を解雇するために理
それなのに、倒産状態と似てもいない状況を「会
由にしたひとつは、「財政状況の悪化」でした。
社で言えば倒産状態と言っても過言ではありませ
久保厚子理事長は、職員からの質問書への回答書
ん」などと言っていることに、だます意図が透け
にも何回も「会社で言えば倒産状態に相当すると
て見えます。
言っても過言ではありません」と財務状況を言っ
下図のように基本財産1億円を下回った年があ
ていたのですが、しかし、「倒産状態」
「債務超過」
っても、資産の総額は、翌年には回復しているの
「損失を計上していた」などと言っても、
「倒産状
ですから「累積債務」などの事実はないのです。
態」を根拠づける決算書や貸借対照表が示される
上記の資産の総額を越える負債がなければ、「債
ことはありませんでした。一般会計の一部分だけ
務超過」とか「倒産状態」でもないということで
の資料を示し「赤字体質」と強調していますが、
す。
資産より債務が超過していることを示しているも
会社で言った場合の債務超過とは、そういうこ
のはどこにもありません。また、赤字であるとし
とです。資産を越える負債の総額を示さない限り
ていることについても、
「単年度の収支」のことで
「債務超過」とは言えないのですが、それを承知
あり、一方、債務超過というものは、
「資産の総額
でことさら「債務超過」と言っているのは、意図
を越える負債があること」で、単年度の赤字があ
的な嘘でしょう。
るから債務超過になるというものではありません。
全日本育成会は、裁判所や労働委員会に対して未
だに債務超過の根拠を提出することができません。
2009(平成 21)年度末
9806 万 3201 円
久保厚子理事長は、社会福祉法人である全日本
2010(平成 22)年度末
1 億 1809 万 9993 円
育成会の財務状況を説明するのに、どうして「会
2011(平成 23)年度末
1 億 2608 万 9532 円
社で言えば」と「会社」のことと比べたのでしょ
2012(平成 24)年度末
1 億 2100 万 3160 円
うか。全日本育成会は、社会福祉法人会計基準を
2013(平成 25)年度末
9034 万 7068 円
使用して決算書を作っていますので、貸借対照表
上記の表【↑】の全日本育成会の各年度末をもって登記さ
も当然あります。決算書を示せば事実はわかるこ
れた「資産の総額」以上の「負債」があったのでしょうか?
ウソ・その3.「やむ得ない事由により、事業の継続が不可能」というウソ
解雇予告通知書の解雇事由もウソ
た労働者に解雇予告通知を行いました。2月25日の職
員会議以来、「事務局閉鎖・労働者全員解雇」を口走り
ながら、その事由はろくに明らかにされてきませんでし
たが、この解雇予告通知書には、「就業規則16条9号
2014年4月28日、全日本手をつなぐ育成会(使
ないし10号に基づき、」と記載してありました。
その「就業規則16条」は普通解雇であり、その9号
とは、「天災事変等やむ得ない事由により、事業の継続
が不可能となったとき」であり、10号とは「その他前
各号に準じる事由により、職員として勤務させることが
不適当と認めたとき」です。
ここまで説明してきたように、全日本手をつなぐ育成
用者)は、合意退職(希望退職者の募集)に応じなかっ
会の事業である、「手をつなぐ」の発行、全国大会、な
2
どは、「事業の継続が不可能」になっていません。承継
のですから、業務が無くなったのではありません。事業
されています。そして、本分会ニュース9~10ページ
の継続が不可能になったわけではないので、ウソの事由
にあるように、全日本育成会の職員がやっていたことを、
で解雇したのです。
ほかの滋賀県育成会の職員などに仕事を割り振っている
解雇のためにだます目的の「ウソ」もばれてしまった以上、解雇を撤回するしかない。
職員、労働組合は、全日本手をつなぐ育成会と、全国
「両会」は、2014年5月23日のこと(7ページ
手をつなぐ育成会連合会の「両会」を相手に裁判、労働
参照)などの事実でさえ、労働委員会、裁判所、組合に
委員会で解雇無効・原職復帰を争っています。すでに全
開示することを拒んでいるのです。久保厚子会長は、無
日本育成会も、全国育成会連合会も、裁判所、労働委員
効な解雇を撤回し、偽装解散劇と不当解雇の責任を取る
会において、事実に即した誠実な説明ができず、回答す
必要があり、事件の引き伸ばしは許されません。
ることができない状況になっています。
「ブラック」と権利は共存できない
昨年、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会は、ブラ
つなぐ育成会連合会の執行部となっています。
ック団体化の行き着いた企みとして、「偽装解散劇」を
「ブラック化」が組織に組み込まれていては、育成会
演じました。その「偽装解散劇」とは、全日本育成会が
運動が飛躍することができないのはある意味、当然です。
社会福祉事業の廃止手続きをして、「社会福祉法人」で
なぜなら、執行部が労働組合排除に躍起になり、
「労働者
はなくなる手続きをすることと並行して、「全国手をつ
の権利」を侵害することは、
「障害者の権利」の侵害と闘
なぐ育成会連合会」に法形式と名前(看板)を付けかえ
う力が弱まることと、強く関係しているからです。使用
ることで、労働者の解雇を正当化するように、裁判所に
者が自ら組合嫌悪によりコンプライアンス違反を頻発さ
も労働委員会にも見せかけの「別団体」だと主張してい
せることで、話し合いで問題解決しない、謝らない、再
ることです。
発防止策も作らないという悪循環の中で、コンプライア
皆さんもご存じのように、「全日本育成会」と「全国
ンス違反や、一方的で暴力的な威圧、いやがらせの横行
手をつなぐ育成会連合会」はやっている事業は同じ、執
や、無秩序化、職場内で不平等な状況を強化し、
「権利侵
行部もほとんど同じ、実質的同一団体であり、「組織形
害の当事者」となっていたのですから、障害者の権利擁
態を変更」したのです。育成会関係者のみなさんは、誰
護、権利侵害と闘うことは両立し難いのです。
しも、わかっていることでしょう。
しかし、久保厚子会長ら執行部は、
「偽装解散劇」とい
全日本育成会発行「わかりやすい障害者の権利条約」
う不法行為のリスクを育成会運動に負わせてまで、
「労働
(2009年3月発行)40ページでも、「3.私たち
組合を排除すること」と「労働者」という存在を抹殺す
の仕事について権利があります。会社の組合の仲間と集
るために、
「両会は別団体」という主張を声高にしていま
まって、給料や働く時間などの不満について話すことが
す。
できるようにします」とあります。ところが、久保厚子
もともと久保厚子会長ら執行部は、労働組合法に違背
会長ら執行部の労働組合排除のための全ての行動は、障
して労働組合を排除するために、不法行為の連続でした。
害者の権利条約の趣旨に反する立場なのです。
結果、裁判でも、労働委員会でも、使用者側が敗北して
全国の育成会会員の皆さん、また障害者の支援に係る
きました。
(4~5ページ参照)労働者、労働組合の正し
皆さん。権利侵害と闘うことなくして、権利を護ること
さに向き合うことができず、自分たちの不法行為を改め
はできません。権利侵害と闘っていきましょう。
ることもできない執行部メンバーが、そのまま全国手を
3
「障害を理由にした解雇」条項を作った久保厚子氏ら
久保厚子会長が、手をつなぐ育成会全国組織
の条項に、「ただし、雇用契約期間満了の場合は
(当時は「全日本手をつなぐ育成会」
)の理事(労
この限りではない」を新設し、そして2009年
務担当)になって、手掛けた「成果」のひとつは、
2月27日には、10年間非正規で働いてきた労
2008年12月に職員就業規則を改悪し、「有
働者が職場で被災し、労災申請をして療養をして
期契約職員就業規則」を新設し、「普通解雇」の
いたことを理由として「雇用契約終了の予告通知」
条文に「本人の身体もしくは精神の虚弱または障
を出して、3月31日で雇止めとする画策をしま
害等により、業務に耐えられないと認められると
した。労災認定されたことを示しても撤回しない
き」の条項を入れたことです。これまでなかった
ので、当該労働者が裁判所に地位保全の仮処分の
「障害を理由に解雇できる条項」は、職員との話
申し立てをし、また労働組合がストライキと情宣
し合いも応じないで、使用者の意向で改悪を強行
で解雇阻止を闘ったことなどで、3月31日の雇
しました。労働者いじめに熱中するあまり、知的
い止めはひとまず撤回されましたが、その直後の
障がいのある本人・家族の利害と逆行することで
団交から使用者側は、久保厚子氏自らもだんまり
も、平気でやったのでした。
で説明しない態度を固め、団体交渉さえも拒否す
るようになりました。
労災申請中の非正規労働者に雇い止めを画策
これらが久保厚子労務担当理事(当時)のや
そして、有期契約職員就業規則には、解雇制限
り方の特徴でした。
労働組合を敵視・憎悪し違法行為の頻発
久保厚子会長は、手をつなぐ育成会の全国組織
判決が確定し(東京高裁第21民事部 平成23年
(当時は「全日本手をつなぐ育成会」)の労務担当
(ネ)第5339号)、その結果、カット分の賃金
になって、労働組合敵視と違法行為を連発しました
は支払われました。
が、ことごとく第三者機関は、久保厚子氏ら全日本
手をつなぐ育成会(使用者)のやり方の違法性を指
摘しました。
① 事務局長解職事件。2007年4月の特別監査
報告によって、当時の事務局長が突然解職される事
件が起き、これをきっかけに職場に労働組合が出来
ましたが、団交で説明を拒みましたが、労働審判 に
おいて、解職事件に使用者に不適切があったことを
指摘され、右(⇒)のように機関誌「手をつなぐ」
2008年8月号(630号)に掲載されました。
②「労働委員会証人出頭で賃金カット」も無効
そして、職員が労働委員会の証人に出頭したこと
をもって賃金のカットとしたことは、2008年1
2月の職員就業規則の改悪で、公民権の行使・公の
職務の施行を保証した条項を削除した点において、
裁判所で就業規則の不利益変更であると認定され、
4
③
出て、掲示の履行が迫られますが、地裁の緊急命
令が出る直前に久保厚子氏・田中正博氏は社福の
清算人からはずれていました(12月)。
社福の残った清算人らは、2015年1月にな
って命令に従うふりをした「履行」をしますが、
その場所は命令の条件である「職員の見やすい場
所」とは全く関係ない、新大久保(新宿区百人町)
のラブホテル街にある賃貸マンションとラブホ
テルとの境界の壁(自転車置き場)でした。
2014年の5月までは、事務所「職員の見や
すい場所」が存在していたのに、その間には掲示
をせずに、事務所移転・労働者解雇のあとになっ
てラブホ街に貼り出してみせたことは、久保厚子
氏らが「労働者・労働組合の方が正しく、法律に
のっとっていたことを認める」ことを、いかに嫌
っていたかを物語っています。
不当懲戒処分をするも、撤回の羽目。
久保厚子労務担当筆頭理事らは、この賃金カット
裁判の最中に、組合員である職員に対し、「でっち
あげ懲戒処分」をかけました(2010年6月)。
原告は懲戒処分の撤回についても裁判で争い、結果
は、処分のあまりのおかしさに裁判所がけん責処分
の撤回の条件をつけ、被告が処分を撤回することで
和解となり、職員に提出を強要した「始末書」は、
職員に返還されました。
「手をつなぐ」(680号)に掲載(2012年10月号)
④
不当労働行為事件の命令履行から逃げられな
かった久保厚子理事長
このように、久保厚子氏らのしかけた労働者・
労働組合敵視の不当不正な策略は、ことごとく失
敗するなか、今度はこれらの(いわば)集大成と
して、2014年2月には東京都労働委員会から
労働組合の救済申し立てへの命令が久保厚子理
事長あてに出されました。
命令は久保厚子理事長が労務担当筆頭理事と
して行い蓄積された不当労働行為(①団交拒否事
件・②賃金カット事件・③不当懲戒処分事件)を
ばっさりと断罪するものとなりました。
ところが、久保厚子理事長らは、都労委の命令
に従わずに掲示命令を履行しませんでした。
そして、東京都労働委員会を被告にして東京地
裁に行政訴訟を提訴し時間稼ぎをしながら、「社
会福祉法人の解散」を目くらましにして5月31
日、労働者を解雇してしまいました。
10月には、久保厚子氏は、理事長から社福の
清算人になります。そして、東京地方裁判所では、
やはり「久保厚子理事長」あての「緊急命令」が
「掲示」命令不履行の結末は、福祉新聞への広告掲載
ラブホテル街の屋外の壁への掲示による「履行」
という久保厚子氏らのやり方には、さすがに裁判所
も呆れ、久保厚子氏らが提訴した行政訴訟を取り下
げるにあたり「職員の見やすい場所への掲示」に代
わって「福祉新聞への掲載」【↑】とする和解案を
裁判所がまとめたので、労働組合も承知しました。
久保厚子氏らの愚行は、世間で通用しなかったので
した。
5
「偽装解散劇」のシナリオとそのブラック性
久 保 厚 子 理 事 長 らの考 えた「偽 装 解 散 劇 」
の設立」という仮構でごまかすという「偽装解散劇」に
さて、このように見てきたような無駄な努力を傾注し
なったのでしょう。事業はできるだけそのままに組織変
ても労働組合・労働者性の排除ができなかったために、
更するように2014年(5月31日~)6月1日を境
ついに使った方法が、
「社会福祉法人の解散」にかこつ
に組織を切り替えて、労働者を切り捨てにしようとしま
けて行った「偽装解散劇」という「シナリオ」です。
した。
もともと社団法人組織―社福の形骸化・不適合化
「社 会 福 祉 法 人 の 解 散 」と は 、組 織 形 態 の 変 更
関係者には、下図【↓】の「ホップ(社会福祉法人格
手をつなぐ育成会の全国組織は、60年を越える歴史
の返上)
・1ステップ(任意団体)
・2ステップ(一般社
があります。任意団体からはじまり社団法人になりまし
団法人)
、ジャンプ(公益社団法人)
」の組織変更と説明
た。一時期、全国組織自前の社会福祉施設をもつため社
しました。事業内容も、会員の管理、機関誌の発行・頒
会福祉法人格を取得しました。しかし、2003年に入
布、育成会全国大会の仕組みと表彰者の表彰規程も同様
所施設を茨城県の地元の社会福祉法人に移管して以降
でした。
は、事業内容は第二種社会福祉事業と公益事業となって
「全国大会・島根大会」も、
「通算63回」と前年を
いました。
(1ページ図参照)その第二種社会福祉事業
承継して開催、全国事務局長会議の開催、行政説明会の
も、2006年度からは市町村事業に移行したので、事
開催、政策センター、権利擁護センター、広報(機関誌
実上、手をつなぐ育成会全国組織には、社会福祉事業か
「手をつなぐ」
、
ホームページ)
、
本人動支援、
国際活動、
らの補助金が会費収入に比べ少ない状態となっていま
事業所協議会等、従来と同様に行うことになっていると
した。ですから、10年以上も手をつなぐ育成会の事業
説明が行われました。しかし、この組織変更の下図【↓】
内容や、収入の内容からしても、
「社団法人」の実体で
は全日本育成会の職員には隠されていました。なお各県
あったのです。ところが、社会福祉法人であることによ
育成会では7ページ下段のように理解されていました。
って税制上や郵便制度上などの優遇性もあるので、社団
法人への移行の決断を遅らせてきていました。
社会福祉法人指導監査要綱に抵触
社会福祉法人指導監査要綱には
「社会福祉事業」
が
「当
該法人の事業のうち主たる地位を占めるものであるこ
と」となっていますが、これに背き、
「公益事業」の「事
業規模が社会福祉事業に比べて過大なものとなってい
ないこと」という項目に触れる状況でした(11ページ
参照)
。また、社会福祉法人の規格には当てはまらない
状況をごまかすために、会計報告や事業報告をホームペ
ージなどに公表することになっているにもかかわらず
開示ができない状態でした。このように久保厚子理事長
らの経営は非常に危なかっしいものでしたので、こうし
た社会福祉法人の優遇性だけに固執する姿には監督官
庁も黙っていられない状態になってきました。
そこで、
「社会福祉法人から社団法人(的組織)への
組織形態移行」という衣替えの機会を使って労働者を解
雇して、
「社会福祉法人の解散(・消滅)+新しい団体
6
偽装解散劇のブラック性 ① 「解雇権の濫用」とは?
・・・
団体における「実質的同一性」の判断基準 ・・・
ブラック企業に、「解雇権の濫用」は珍しくありませ
そして、同じ日、同じ会場で、「社会福祉法人全日本
ん。解散会社と、事業承継会社との間に、人的・物的関
手をつなぐ育成会」評議員らによる各県代表者会が開催
係、事業において企業そのものの実体が変わらず、失っ
され、「社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会」の田中
ていないことを「実質的同一性がある」といいますが、
正博常務理事の説明により、「全国手をつなぐ育成会連
解散会社が事業の廃止を装いつつそれを何らかの形で
合会結成準備会」を発足し、正式の結成は9月全国大会
事実上継続しているという場合には、解散による事業廃
(島根大会)の前に行うことなど、その手順と6月1日
止を理由とする解雇は
「客観的に合理的な理由」
を欠き、
を設立日とする規約、6月1日から事務所を「滋賀県手
「解雇権の濫用」とされます。①解散・事業承継につい
をつなぐ育成会内」とすること、6月1日から会長:久
ての労働組合を排除する意図と、②解散会社と事業承継
保厚子、統括:田中正博、副会長3人が着任することな
会社の実質的同一性が満たされれば、
「偽装解散の法理」
ど」について提案があり、全員で了承しました。「社会
と称される一連の不当労働行為とされ、労働委員会では
福祉法人全日本手をつなぐ育成会」の久保厚子理事長か
この救済方法として、事業承継会社に対し組合員の原職
らは、「『社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会』の5
相当職への復帰とバックペイを命じることになります。
6正会員の育成会によって『全国手をつなぐ育成会連合
このような法理に照らしても、本件はブラック企業の偽
会』を構成していこう」と呼びかけられたのでした。
装解散のような偽装性に満ちたものです。
このように2014年の組織「衣替え」とその機会を
使った解雇は、同じ団体が名前を変えて事業を続けるも
承継性と連続性
ので、事業を継続しながらの解雇は無効ですが、久保厚
2014年5月23日(金)に開催された「全日本手
をつなぐ育成会」の第137回評議員会は、参議院議員
会館で開催されました。理事長挨拶で久保厚子理事長は、
「今回の評議員会が社会福祉法人としての最後のもの
となったこと」事情などについて解散を提案する理事長
の立場から話をしました。
各地の育成会会報名
子理事長(当時)らは、それを承知のうえで、ウソの理
由をつけて5月31日に解雇を強行したのでした。
ウソの理由の解雇がまかり通るのを見逃すことは、知
的障がいを持った人の就労の機会に重大な影響をもた
らします。
会報記事の一部紹介
北海道手をつなぐ育成会
「げっぽう」(676号)
発行:2014 年 5 月 1 日
全日本育成会、今後の具体的活動の方向性。56正会員による連合体の形態で、事業の整理、統廃合後の
機能を各正会員で分散して役割を担い運動体として活動を存続させる。現在の事務局体制は解散し、滋賀
(案)を事務の窓口として活動を継続する。正会員の中から事業母体を選出し委託事業として実施。
沖縄県手をつなぐ育成会
手をつなぐ・うちな~
(第115号)
発行:2014 年 6 月 1 日
5月23日、全日本手をつなぐ育成会「第137回評議員会」が参議院会館にて、私(田中)を議長とし
て開催されました。全日本手をつなぐ育成会の「組織の変更と今後の新団体設立について」という大きな変
化の状況の中で、前年度の事業報告、収支決算も同時に議案として提出され、満場一致で可決されました。
社会福祉法人解散のための清算人や新団体への移行計画についても提案され、新団体準備会議の中で暫定的
な新会長、新役員が現在の執行部の続投にて決定しました。
「全国手をつなぐ育成会連合会 評議員 任期H25年6月9日~H27年6月8日」との記載もあり。
岡山県手をつなぐ育成会
会報(№139号)
発行:2014 年 5 月 31 日
再三厚労省からも、身の丈にあった組織に衣替えするようにとの指摘があり、この度、決断し社会福祉法人
を解散することとしたものであります。全日本手をつなぐ育成会という団体名が無くなったわけではなく、
賛助会員組織は継承し、月刊誌「手をつなぐ」も引き続き本年度4月から発行しております。
山形県手をつなぐ育成会
「手をつなぐ親たち」(40
号)発行:2014 年 9 月 30 日
全日本育成会は、連合会に組織替え! 全日本手をつなぐ育成会は、全国手をつなぐ育成会連合会になりま
した。
福岡市手をつなぐ育成会
福岡市育成会だより
(第 141 号)
発行:2014 年 3 月 31 日
社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」がこのたび、国が社会福祉法人の見直しが行われつつあること
を見据えて、社会福祉法人格を自ら返上し、障がい者福祉の団体にふさわしい組織となるよう組織の在り方
を見直しをすることになりました。 具体的には、現在56の正会員(47都道府県の育成会と福岡市育成
会を含む政令指定都市の育成会)で構成している社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」から、56の正
会員が改めて新しい連合会を組織し、各正会員はそれぞれに役割を担い有機的なつながりをもって活動して
まいります。
7
全国育成会連合会による承継の流れ
・6月5日 会長久保厚子名の文書が発行された。
[1]実際には、6月1日より前から始まっていた
・2014年3月から全日本育成会の2014年度の会
費を、
「全日本育成会では2014年度の賛助会費は集
金しない。新しい団体ができたら、そちらの口座に入れ
る」ことを構成団体(56都道府県・政令都市育成会育
成会)に周知していた。
・5月11日には、6月16日の全国手をつなぐ育成会
連合会主催第1回権利擁護セミナーの案内がインター
ネット上に紹介されていた。
・5月23日に結成準備会。
(7 ページの上段に詳細)
・6月16日 第1回権利擁護セミナーを主催
[3]役員、組織も連続
組織形態や執行部役員、収入財源も、関係団体との関
係も同じでした。
55~56都道府県・政令指定都市育成会による正会員
と賛助個人会員の構成という基本的連合体
総会=(旧評議員)、役員会=運営委員会(旧理事会)、
監事の組織構成
執行部体制がスライド(久保厚子理事長⇒久保厚子会長
など)
[2]解雇強行の翌日=6 月 1 日に規約上スタート
・6月1日に全国手をつなぐ育成会連合会が規約上設立。
・会長久保厚子ほか副会長3人、統括1人が全日本育成
会と同様に着任した。
・滋賀県手をつなぐ育成会内に、事務所を開設。
・全日本手をつなぐ育成会久保厚子理事長と、全国手を
つなぐ育成会連合会久保厚子会長で著作権譲渡契約
書を締結。
・6月1日が日曜日のため、
6月2日に銀行口座を開設。
全国8ブロック体制
機関誌「手をつなぐ」発行(月刊)号数の通巻
Inclusion Japan という英語表記の継続
国際育成会連盟の関係の継承及びアジア太平洋地区理事
の選出(長瀬修氏)の継続
JDF(日本障害フォーラム) 、日本発達障害連盟など関
係団体の加盟、分担金、役員の継続
主な収入源は、会費と分担金
偽装解散劇のブラック性 ② 「使用者」とは?
・・・
「労組法上の使用者」の判断基準 ・・・
「全国手をつなぐ育成会連合会」は裁判所や労働委員会
において労組法 7 条の「使用者」と解しています。
に提出する書類のなかで、繰り返し「雇用していないか
労働者の雇用に関して、
「全国手をつなぐ育成会連合
ら使用者ではない」ことを強調しています。これは、労
会」
(久保厚子会長)があらかじめ「雇用しない」とい
組法上の使用者であることごまかそうとするものです。
う姿勢を示し、
「全日本手をつなぐ育成会」
(当時・久保
では、使用者か、どうかは、どのように考えたらいい
厚子理事長)がそれを解雇の理由として職員会議で説明
のでしょうか。
をした、という経緯において、
「全国手をつなぐ育成会
労組法上の使用者とは、
「当該労働者の基本的な労働条
連合会」は、根本的な労働条件に関わる形で「支配力を
件等に対して、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度
発揮」したのですから、労組法上の使用者であることは
に現実的かつ具体的な支配力を有している」といえる者
はっきりしていて、不当解雇の責任と団交応諾義務を免
です。
れることはできません。
労働組合法には、使用者の定義規定がありませんが、労
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
組法上の使用者は、不当労働行為制度の目的に照らして,
さて、
「全国手をつなぐ育成会連合会」久保厚子会長
労働契約関係にある者だけではなく、それ以外のものを
らは裁判所や労働委員会に提出する書類のなかで、繰り
も含む概念として理解されています。労働組合との団体
返し労働者を
「雇用していない」ことを強調しています。
交渉に応諾すべき義務(団交応語義務)を負う使用者かど
これは、ブラック企業にはよくあることで、本来の社
うかがこの問題の典型例です。判例などでは、労組法 7
員(労働者)である人たちを「委託」や、
「外部業者」
条にいう「使用者」は、雇用主以外の者であっても、当
の扱いにしてしまうのです。
該労働者の基本的な労働条件等に対して、雇用主と部分
では、雇用しているかどうか、すなわち、労働者であ
的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力
るかどうかは、どのように考えたらいいのでしょうか。
を有しているといえる場合には、その同視できるかぎり
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偽装 解散劇のブラック性 ③ 「雇用しない」とは?
・・・
「労働者性」の判断基準
使用者の「指揮命令に服し」て「労働の対償として
・・・
無、⑦専属性の程度、等を総合的に考慮して判断して
使用者から支払いを受け」ているものはすべて労働者
います。
です。2つの要件、①「使用」されていること、② 「賃
金」を支払われていることを満たすかどうかによって
では、「請負」や「委任」などの形態で働いている
判断されます。ここでいう「使用される」とは、「労
場合、労働者といえるでしょうか。判例などでは、労
働者が使用者の指揮命令に服して労働すること」を意
働者に該当するかどうかは、契約の形式にとらわれず、
味します。また、「賃金」とは、名称を問わず、労働
労務給付の実態に即して労働者性の有無を判断すべ
の対償として使用者が支払うすべてのものをいいま
きと解釈しています。当事者の合意や契約形式を重規
す (労基法11条)。こうしたことから、
「労働者性」
してしまうと、当事者の意向によって簡単に法律の適
の判断は、使用者の指揮監督下でおこなわれる定型的
用を免がれることができてしまうため、このような考
な働き方であればもちろん、最近では雇用形態が多様
え方をとっているのです。
化し、労働者性の判断が難しいケースも増えています
以上のように考えれば、「全日本育成会」と同じに
が、指揮監督下の労働といえるかどうかは、具体的に
行っている、「手をつなぐ」の編集実務・会員管理・
は、①仕事の依頼への諾否の自由の有無、②業務遂行
組織会計業務などは、全国育成会連合会においても当
上の指揮監督の有無、③場所・時間的拘束性の有無、
然にして「労働者性」を持っており、事実上の雇用だ
④他の者との労務提供の代替性の有無などの点から
ということです。ところが、ブラック性満載の久保厚
評価されます。「賃金」の支払いについては、⑤報酬
子会長らはこうした「労働者性」のある者について「育
が労務の対償といえるかが評価されます。さらに、労
成会連合会では雇用していない」と言い張っているの
働者性の判断を補強する要素として、⑥専業者性の有
です。
育成会連合会事務局の仕事の実態
滋賀県育成会内にある、育成会連合会の事務局
鳴ったら、滋賀県育成会の職員が『全国手をつなぐ育
では、育成会連合会事務局での雇用と労働者性の実
成会連合会です』と出ている。会員管理は別のところ
態はどのようになっているのでしょうか。育成会連合
でやっている。育成会連合会の仕事は、滋賀県育成会
会は、2014年6月1日に滋賀県手をつなぐ育成会
の職員が手分けしてやっている。そのため職員は業務
内に事務所を開設しました。育成会連合会の事務局の
量が増えている。ただし、残業しても残業代は払って
仕事がどのように行われているか、私たちは2015
いない。」
年8月27日に、滋賀県育成会に訪問し、東富夫事務
③ 東氏は、公益社団法人滋賀県手をつなぐ育成会の
局長へインタビューしたので、その中から紹介します。
事務局長であるのに、「育成会連合会の事務局長では
ない」と嘘を言った。また東氏が言うには、「育成会
東
事
務
局
長
の
発
言
か
ら
連合会久保厚子会長に言われたことをやっている。育
① 東氏が言うには、
「この事務所は育成会連合会事務
成会連合会の事業計画は田中統括が立てる。予算書、
局の所在地ではあるが、その事務局機能はない。育成
決算書は東事務局長が作っている。田中統括は、ほと
会連合会の机もない。電話は、公益社団法人滋賀県育
んどここには来ない。育成会連合会の出金などの起案
成会の電話と並べて置いてある。机もなく場所を占有
書には東事務局長が印をしている。
」
していないので、滋賀県育成会は、育成会連合会から
④ 東氏が言うには、
「広報も育成会連合会事務局の滋
は家賃負担を受け取っていない。
」
賀県育成会が担当となっているが、ここでは編集会議
② 東氏が言うには、
「育成会連合会の会計は、滋賀県
もやっていない。田中統括がどこかでやっている。編
育成会の会計担当職員がやっている。連合会の電話が
集委員への交通費などの支払いは起案が来て、東事務
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局長が起案書に印をして支払っている」
賀県手をつなぐ育成会事務局長」だけを記したことか
などと、述べました。
ら、意識的な行為です。文書やメールで事務局長を名
東事務局長のごまかし発言で分かったこと
乗ったり、2015年6月24日には、東京の八重洲
では、こうした東事務局長の発言にはどのような位
のハロー貸会議室での、午前中の役員会から出席し、
意味とごまかしがあるのでしょうか。
午後の第2回総会(正会員の各代表者が総会出席者)
東事務局長の言動でわかったことは、
にも出席しているので、これらの事実・実態からして
① まず、事務局の機能があるということです。事実
も、裏付けられています。
として、育成会連合会の規約は、「主たる事務所を、
③ これが一番重要なことですが、久保会長の指示を
公益社団法人滋賀県手をつなぐ育成会内に置く」とし
東事務局長が受けてその差配によって、滋賀県育成会
ています。育成会連合会の封筒には住所として使用し
職員が手分けして業務として行っていること、これは
ているし、機関誌「手をつなぐ」には、「発行」とし
職員(労働者)にとっては、明確に業務であること。
て住所が使用されていて、銀行口座も規約によりこの
すなわち、育成会連合会の業務をしている労働者とし
住所で開設しています。この事務所にある電話に育成
て、雇用されて働いていることです。
会連合会宛ての電話もかかってきます。育成会連合会
育成会連合会は、業務を書面で明らかにできない
宛ての郵便物も送られてきます。支払のための起案書
東事務局長は、ともかくインタビューに回答しまし
も送られてきます。事務局機能性はあるということで
たが、育成会連合会は、東京都労働委員会における、
す。
組合側の7月27日付け準備書面(8)で行った釈明
② 東事務局長は、
「全国手をつなぐ育成会連合会事務
要求の中で「業務の進め方」や、業務の担当者を明ら
局長」という名の入った文書をメールで発信している
かにするように釈明を求めていたところ、2014年
ように、まぎれもなく事務局長であるにもかかわらず、
9月9日の回答の締切日までには、「ご連絡」と題す
事務局長ではないと、しました。このことは、「名刺
るに「いい訳」が書いてある書面(A4版1枚)を提
を持っていない」からと、手書きで「公益社団法人滋
出しただけでした。
赤字に「粉飾」して解雇を正当化できるか?
久 保 理 事 長 らの「背 任 行 為 」を隠 蔽 か?
全日本育成会は、東京都労働委員会に対し2015
年9月9日付準備書面(5)を提出し、その中で、「資
金繰りが極めて厳しい状況にあった」と報告しました。
「具体的には、平成25年度(2013年度)決算で
は大幅な赤字となることが見込まれる状況となる(結
果的に、18,994,263円の赤字となった)」
としましたが、これには説明が隠されている問題があ
ります。
2014年3月20日の全日本育成会の理事会・評
議員会では、
「賛助会員の2014年度会費集金は、
6月に連合体ができて口座ができたら、そちらに入れ
るように」周知して、全日本育成会に2014年度会
費の前受金が入らないようにしたのは、紛れもない久
保厚子(元)理事長と田中正博(元)常務理事です。
6月1日に規約上設立した「全国手をつなぐ育成会
連合会」の久保厚子会長らは、6月2日(月曜日)に
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開設した口座への2014年度の会費(4月~翌3
月)の納入を正会員に促した(それまでは全日本育成
会には納入をしないようにさせていた)のです。
2014年 度 賛 助会 費 は、育 成 会 連 合 会 で集 金 した
全国手をつなぐ育成会連合会は、5月23日の設立
発足準備会では2014年度会費収入を、3600円
×3万=108,000,000円と予算を立て、6
月2日に開設した口座には、6月17日から、正会員
からの入金が始っています。
したがって、2013年(平成25年)度の決算書
の「赤字」の原因のひとつは、2014年度会費の前
受金が、全日本育成会に入らなかったことです。
育成会(運動)において、機関誌は会費を納めてく
ださった会員に配布するものです。2014年度の4
月号、5月号の機関誌「手をつなぐ」は、全日本育成
会で発行しています。年会費の生じる状態も、機関誌
「手をつなぐ」の配布も5月まで続いていたのです。
ないし「意図的な作為」であるかを疑わざるを得ない
廃止したのは社会福祉事業だけ、だから2014年度
ものと言えます。
会費(少なくとも4~5月分)は受け取るべきお金で
「一般会計」だけで倒産状態を説明するインチキ
組合は9月16日の労働委員会の調査でこの点の
おかしさを説明しました。そこで、審査委員が、被申
立人全日本育成会に確認したところ、三上正浩補佐人
が「補助金は『特別会計』に移動した」という回答を
したようです。「特別会計」に移したことを隠して、
収入を減らして見せるような作為的な図表を労働委
員会に出しても、すぐにばれてしまったのです。
した。ところが、その4~5月分の「会費」まで「6
月1日に規約上設立の全国手をつなぐ育成会連合会」
に流しこませて、赤字になるようにしたことを隠して
「赤字になった」と久保元理事長らは言っているので
す。
こうしたことから、もし「両会が別団体」だったら、
久保厚子元理事長・田中正博元常務理事らは、全日本
手をつなぐ育成会に財産上の損害を発生させた背任
行為を行った疑いを免れないことでしょう。そして、
社会福祉法人の解散に係る「社会福祉事業収入」は ?
しかし、もっと重要なことは、「平成19年度以降
の一般会計の経常収支における主な勘定科目の推移」
の勘定科目は一般会計だけで、社会福祉事業関連科目
が入っていないことです。なお、表の経常支出におけ
る事業費支出に、社会福祉事業の支出は入っておりま
せん。ですから、全日本育成会にとって、「(遅くと
も平成19年度以降は、)社会福祉事業は『主たる勘
定科目』ではない」、という全日本育成会の認識がは
っきり示されていますが、このことは[6ページ]で触
れたように社会福祉法人指導監査要綱に違反してき
たという事実とその認識を、今になって全日本育成会
として自認しているわけです。
6ページの再確認をしておくと、社会福祉法人たる
ものにおいて、厚生労働省の社会福祉法人指導監査要
綱では「社会福祉事業」が「当該法人の事業のうち主
たる地位を占めるものであること」とされているもの
であり、そうでなければ、社会福祉法人であることが
継続困難なのです。その点を踏まえて再考察するなら
ば、「遅くとも平成19年度以来、全日本育成会にと
っては社会福祉事業は主な勘定科目に入るものでは
なく、社会福祉法人の適格性がない、という認識をは
っきりと持っていた。」という事実が被申立人全日本
育成会の準備書面(5)によって、新たに露呈したの
です。
その事実には触れないで久保(元)理事長、田中(元)
常務理事の背任的行為によって生じた赤字を「構造的
な赤字体質を解消できない」と主張する全日本育成会
は、解雇を正当化するために決算書を開示しないで
「構造的な赤字体質」と「粉飾」しているのです。
事業所協議会は運営しているのに、突然0円?
全日本育成会の2014年9月9日付準備書面
(5)の末尾に「平成19年度以降の一般会計の経常
収支における主な勘定科目の推移」という表【↓】が
示されましたが、どのような意図をもって掲載されて
いるかが、当該書面の中には全く説明もないものでし
た。また、タイトルに「主な」と記載した意味、経常
収支・経常支出の科目の選択の意図が示されていない
ために、任意に選考した科目であるとしか考えようが
ないのですが、その結果、「経常収支差額」という記
載の意味は全く客観性を持たないものになっていま
す。そのうえ、事業所協議会費が、平成22年度まで
と、平成23年以降では顕著な違いがありますが、事
業所協議会自体が平成23年に解消した事実はない
し、年会費は(一事業所につき)5千円で、約730
か所加盟ですので、平成24年度の10万円というこ
ともおかしい。この不可思議な点について触れていな
いのは、
「説明ないし注釈の決定的な欠如」であるか、
全日本育成会の準備書面(5)の「平成19年度以降の一般会計の経常収支における主な勘定科目の推移」
注
目
!
11
※ここに記載されている「事業費支出」には、社会福祉事業費は入っていません。
人
件
費
は
ど
ん
ど
ん
削
減
偽装解散の不法行為責任を育成会運動に負わせるな!
久保厚子会長は自ら不当労働行為事件と労働者解雇の責任を取れ!
っていきません。糸賀一雄氏、仲野好雄氏、春山廣輝
付準備書面(5)の「主な勘定科目」の推移(11 ページ) 氏ら、かつての先駆者はそうした考えに基づいていま
でやった手口=会計の表の意図的操作は、久保厚子会長
した。久保厚子会長らは、こうした先駆者を裏切る主
らの「お得意わざ」のようです。
張を2007~8年頃から持っていたのでした。
2014年2月25日の全日本育成会の職員会議で、久
私たちは、基本的人権に基づいて障がいのある人へ
保厚子理事長、田中正博常務理事は、事務所閉鎖と労働者 の権利侵害と、労働者への権利侵害とも闘ってきました。
を解雇する理由に「倒産状態」
「債務超過」と言いながら、 全日本育成会はこうした控訴理由のおかしさもあって、
資料として「全日本育成会一般会計 過年度一覧」を職員 控訴審でも負けました。そして、カットした賃金は支払
に配布したのでしたが、これは、一般会計の任意な費目を いましたが、労働組合の組合員をいじめるために、こう
書き出したもので、決算書ではありませんでした。しかも、 した賃金カットをやっていたことが、今度は労働委員会
「社会福祉事業収入」
の費目を抜いてあり、平成23年度、 で「不当労働行為」であると認定されました。【5ペー
24年度の「補助金収入」が「0円」となっていました。 ジ 掲載文】
これも、特別会計に移動するという、経常収支の収入を
このように、久保厚子会長らによって、権利に対す
減らす細工で、赤字を「偽装」して、労働者に「倒産状態」 る考え方が変わり、志が「変節」したことが、育成会
という言葉で説明したのであるなら、「虚偽の説明」とし
執行部のやり方の「変質」となって現れています。こ
か、いいようがありません。実体とは相違する「累積債務」 のような「変質」をしては、会員は減ってしまうでし
「倒産状態」というウソの理由の解雇は無効ですから、た
ょう。裁判所や、労働委員会での久保厚子会長らの主
だちに撤回すべきです。
張では、会員の減少の理由に、「インターネットの普
及で、障害者福祉関連情報を会に入らなくても、情報
久 保 厚 子 会 長 ら の 「 変 節 」 と 「 変 質」
が入手できること。」などを上げられていますが、ネ
では、どうして、こんな手口が育成会の中で、横行
ットに出まわる情報と同じ程度の情報提供が育成会運
するようになってしまったのでしょうか。
動と考えているのであれば、会員の増加を実現するの
全日本育成会が高等裁判所に提出した公民権の行
は無理でしょう。
使・公の職務の執行に対する賃金カット事件控訴審、
2011年9月20日付け控訴理由書のなかに、以下
「ブラック」と権利は共存できない。
のような件があります。
権利侵害を許さず、闘って権利を護ろう。
一審判決が「被告(全日本育成会)のような公益性
最近のニュースでは、ブラック企業・団体は、その
の強い社会福祉法人にとっては、社会一般に対し、職
コンプライアンス違反の連続に没落していることが報
員の公的活動への参画を積極的な協力姿勢をとってい
道されています。ユニクロ、ワタミは、ブラック企業
ることを示す有用な規定であるとみることもできる」
の象徴ですし、争議解決能力のない企業・大学の事例
と、2008年改悪する前の就業規則について触れた
では、明治大学の司法試験漏えい問題、東芝の不正会
ことに対し、全日本育成会は「控訴人(全日本育成会) 計問題など社会的な信用を揺るがす大問題を発生させ
に期待されている公益的な役割は、あくまで知的障害
ています(ちなみに、会計操作で大問題になった「東
者の利益に向けた活動を行うこと」と主張しています。 芝」の過労うつ病労災解雇事件の使用者側代理人は全
だから2008年の就業規則の改悪をやったとばかり
日本育成会が委任している伊藤昌毅弁護士です)。
に、広く公益のためになどやっていられない、「知的
いずれも問題解決能力なく、コンプライアンス違反
障害のある人だけに限った福祉の増進」だけである、
の蓄積が大問題に発展してしまいました。久保厚子会
ということを強調しているのです。社会全体の権利意
長は、「偽装解散劇」の責任をとって、労働争議を解
識の底上げや、公益ということを広くとらえていかな
決させることに全力を尽くすべきです。
ければ、知的障害のある人の福祉も、結果的に良くな
さて、このような全日本育成会の2015年9月9日
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