美容室が抱える課題解決の糸口 - ASK entry / シュワルツコフ

美容室が抱える課題解決の糸口
最終回 論理的思考で解決する
美容室を取り巻く外部環境の悪化に対抗して、経営を好転させるためには、どの
ように現状を分析し、解決策を見つけ、改善していけばよいのか。その考え方と仕
組みを実例とともに紹介する本連載。今回は、コストに関連する人件費について
考えてみたい。
監修/金森
努(かなもり・つとむ)
大手コールセンター、コンサルティング事務所、広告代理店を経て、2005 年に有限会社金森マーケ
ティング事務所起業。青山学院大学経済学部非常勤講師・グロービス経営大学院客員准教授。
http://kmo.air-nifty.com/
文/金山宇伴(かなやま・うとも)
ヘンケルジャパン㈱シュワルツコフプロフェッショナル事業本部マネジャー。営業部、マーケティング
部を経て現在は企画と教育を担当。一級販売士、プロモーショナル・マーケター認定資格を取得後、
グロービス経営大学院にてMBAを取得中。
図1 生産性を分解する
056
図3
4つめの要素「考える力」
図2
技術
問題解決能力
考える力
意思
コミュニケーション能力
ハート
コンサルテーション
図4「考える力」
とコンサルテーション
コミュニケーション能力
(ヒアリング・提案)
❶
(ご要望・お悩み)
❷
考える力
(デザイン・メニュー)
❺
お客さま
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問題解決能力
(考えるサイクル)
❹
美容師
お客さまの
問題点の
整理・発見
❸
お客さまの
問題解決策
の立案
インプットとアウトプット
クリティカル・シンキング
(論理的思考)
を身に付け生産性アップを図る
感覚頼み から一歩上を行く!
課題の
「見える化」
を実現
問題解決能力が業績向上に寄与
「考える力」
が身に付くと、問題解決能力も高まる。
これは、
コミュニケーション力の向上に直結しており、
美容師にとって非常に大きな武器となる。
やがて業績に波及効果が表れ、人件費を補う生産性アップにもリンクするのだ。
奈良県にある JAPAN グループの取り組みを見てみよう。
スタッフ個々の課題解決へ
一人ひとりが気付き始めた
株式会社ジャパン・プロデュース
黒木裕勝 本部長
JAPAN GROUP[ジャパングループ]
Salon Data
目標を共有した上で、一人ひとりのスタッフがこの秋冬に何を学んで、
どの
ように吸収し、いかにして実践するかによって、2011年春以降のサロンは
代表者/桑 真一
所在地/奈良県大和高田市礒野新町(オフィス)
店舗数/ 10 店舗
総スタッフ数/ 90 人
良くも悪くも変わっていきます。私どもでは、美容師に必要な3つの要素と
して「人間力」
「技術力」
「ビジネス力」を掲げていますが、2010年にクリ
ティカル・シンキングを導入して以降、
スタッフ個々が自身の弱点を見つけ、
改善するきっかけをつかみ始めたことで、お客さまへの提案力なども上が
り、業績も上向いています。今後は対象をアシスタントにも広げて、全体の
底上げを図りながら、
より良いサロンづくりを目指していきたいと思います。
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連 載 / 経 営 者 が 考えるべき「5つの領域」とは? ∼ 人 件 費 編 ∼
【クリティカル・シンキングの事例 ∼JAPANグループの勉強会から∼】
50万スタイリストが100万スタイリストになるには?
❶イシュー特定
(課題発見)
What? 何をする?
スタイリスト3大要素
❷問題点特定
❸原因分析
Where? どこが悪い?
Why? どうして悪い?
・早い ・うまい ・かっこいい
うまい人が売れるわけではな
い。
うまい・下手は勉強すれば
解決できる
最終イメージがない
あるべき姿
(カウンセリングで決まっていない、迷いながらカット、展開図が描けないなど)
月売上
100万円
時間
(技術の質)
忙しい仕事をしたことがない
(デビュー後3ヵ月の間に忙しい仕事をしなかった・できなかった)
アシスタントの活用(伝えることが苦手、使っていない、自分でやってしまう)
技術
の壁
スタイルの引き出しが少ない、整理されていない
(イメージカテゴリーと、年齢層別の強み・弱みの理解)
勉強やレッスンの仕方
完成度
(苦手意識の改善、20代向けかわいい系スタイルといった具体的設定の是非)
(技術の質)
差異
アドバイス、処方せん(次回来店提案=賞味期限を伝える)
目標月間売上
に対して50万円
不足している
カウンセリング
(お客さまを見て悩みが分かる、推測できる、再提案できる引き出しがある)
強み・弱み(自店の、各スタイリストの、スタイルの)
顧客層の理解
(自店、
各スタイリスト、
自分の担当顧客)
顧客
の壁
ホスピタリティ
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年齢層(自店、各スタイリストの年齢層別顧客分析)
失客理由(何回目で失客しているのか、何で失客しているのか)
現状
月売上
50万円
比率(男女比、カット・カラー・パーマ・トリートメント比率)
(自店、
各スタイリスト、
自分の担当顧客)
第一印象(視覚・聴覚・言語情報で良い印象を与えているか?)
あいさつ(明るく元気にハキハキと)