堀ちゃん牧場 - 福岡県中小企業振興センター

ふくおか6次産業化・農商工連携
サポートセンター支援企業訪問 No. 3
堀ちゃん牧場
こだわりの黒毛和牛をおいしく食べるまで
福岡市の中心市街地から車で30分ほどで行ける福岡市西区今宿。博多湾に浮かぶ能古島や志賀島を眼下
に望む小高い山の中腹に「堀ちゃん牧場」はある。黒毛和牛の地場ブランド「博多和牛」の畜産農家であり、
この地と朝倉郡で合わせて約180頭を育てる。直営の精肉店と炭火焼き肉店を併設。
「安心・安全で美味し
い牛肉」の提供をモットーに生産、販売一体となって取り組んでいる。
こだわりの「博多和牛」
代表の堀田和秀氏は現在 61 歳。代々続く肥育農家
で肉用牛を生産して 40 年を越える。
「福岡県肉用牛
生産者の会」と「博多和牛販売促進協議会」では会
長を務める。以前は福岡市城南区七隈に牧場があった
が、この地の環境と眺めが気に入り、移転してきた。
堀田さんが育てた牛の精肉を販売する「堀ちゃん牧
場」を開店したのは 2002 年5月。当時は牛海綿状脳
症(BSE)の影響で牛肉全体の需要が激減していたさ
なか。逆風の中での事業化だったが「自分で育てた牛
の良さを知ってもらえれば需要は必ずある」と確信し
ていた。
その背景には、牛に与える水やえさをはじめとす
るこだわりがある。飼料は大麦、トウモロコシ、ライ
麦、大豆かす、フスマ、ビールかす、稲
福岡県中小企業振興センターが運営し、福岡の名産品
や特産品を販売する通販サイト「福岡よかもん市場」
の人気ランキングでは「博多和牛 特選すきやき用」
がトップ5に入った。
少人数の家族経営も安心感につながっている。堀田
さんは牧場、売り場、焼き肉店と動き回り、接客もこ
なす。人なつっこい笑顔で牛肉の魅力を語る姿は「堀
ちゃん牧場」という親しげなネーミングにふさわしい。
直売に軸足を置いているのは「黒毛和牛」や生産、
品質へのこだわりを伝えるため。卸売りをしているの
は、福岡市内に3カ所のみ。いずれも製品の説明を丁
寧にしてくれる農産物直売所などで、
「堀ちゃん牧場」
と同様に6次産業化に取り組んでいる所とも言える。
わら、牧草などをブレンドしている。稲
わらは、減農薬有機栽培の直営の田んぼ
のものだ。近隣の福岡県糸島市の契約農
家から、堆肥との交換で分けてもらうこ
ともある。ビールかすは麦が主成分で福
岡県内のビール工場から仕入れている。
そんな姿勢が評価され逆風にも確実に
顧客を増やし、自家用だけでなく贈答用
の販売も増加した。送られた先がファン
になり、関東や関西から通販で定期的に
注文するケースもある。
堀田さんの確信の通り、製品へのこだ
わりと、それによる品質が評価された。
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BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2015.11
「堀ちゃん牧場」で販売されているステーキ肉
長年の夢を実現
焼き肉店「炭火焼肉 堀ちゃん牧場」を開店したの
は 13 年 10 月。堀田代表が「自分で育てた牛肉を
食べてもらう場を作ることは長年の夢だった」とい
う念願をかなえた店だ。店外でバーベキューを楽し
むことも可能。焼き肉店の人気も上昇しており、当
初7台だった駐車場は 30 台に増やした。屋内外合
わせると 100 人近くのパーティーができる。
焼き肉店でも堀田さんの明るい接客はテーブルを
和ませる。また話の土台には牛肉を知り尽くしたプ
ロの説得力がある。そんな堀田さんは、イベントの
ステージに立ち、多くの観客を前にステーキのおい
しい焼き方をプレゼンテーションすることもある。
堀田さんが焼き肉の最後の食べ方として勧めてい
るのは
「焼きしゃぶ」
。火力が落ち着いた炭火で、しゃ
ぶしゃぶ用の肉をさっと焼いてポン酢で食べる。
「最
後は、さっぱりいただくのがおすすめ」とほほ笑む。
精肉店、焼き肉店の開業を陰で支えたのがふくお
か6次産業化・農商工連携サポートセンター・企画
推進委員だ。
「資金繰り、事業計画の策定。店舗設
計についても相談に乗ってもらった。大変感謝して
いる」と力を込める。
「炭火焼肉 堀ちゃん牧場」の外観
「炭火焼肉 堀ちゃん牧場」店内
ハンバーグ、コロッケを開発中
焼き肉店では、たれを開発したり岩塩を厳選した
りと改善に余念がない。さらにハンバーグやコロッ
ケなど、そのまま食べられるテークアウト製品の開
発に取り組んでおり、牛丼も視野にある。その商品
化は直営店の新規開店に合わせて実施する考えだ。
堀田 和秀 代表
企業概要
企
代
所
T
F
業
表
在
E
A
名
者
地
L
X
堀ちゃん牧場
堀田 和秀
福岡市西区今宿上ノ原932の72
092- 806- 6310
092- 806- 6521
U R L
社 員 数
http://horichanbokujyou.com
6人
事業内容
飲食店、畜産、精肉加工・販売、
稲作、米販売、たい肥販売
お問い合わせ ふくおか6次産業化・農商工連携サポートセンター TEL:092-622-7575
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