人類の状況改善のための昆虫学の課題 逆説的なことに、昆虫はおそらく地球上で最も危険で、なおかつ有益な生物です。 ある種の昆虫は恐ろしい病気を媒介し、農作物に被害をもたらし、財産を破損しま すが、受粉や腐敗による分解を助けるなど自然のサービスを提供してくれる地球 にとって必要な昆虫もいます。 昆虫学者たちは人類の生活の質を向上させると同時 に環境および遺伝的多様性を守るという独自の力を有 しています。世界保健機構(WHO)によれば、毎分1人の 子どもがマラリヤで死亡していますが、医学昆虫学者 は、マラリヤなどの病気を媒介する昆虫を沈静化する 方法を研究しています。昆虫と植物の関係を研究して いる昆虫学者は、国際貿易と気候の変化によって広がり つつある害虫被害を食い止め、農作物と自然の生息地 を保護することで、食糧の安全を確保しています。 昆虫には国境はありません。だから、昆虫に関連する 課題に取り組むには国際協力によるアプローチが最善 です。米国とカナダの国境からパナマの南端まで、 らせん 虫を根絶した長期プログラムの成功はその一例です。 米国昆虫学会 (ESA) は、世界最大の昆虫科学の学会 として、 数十年後に人類が直面する重要な課題に取り組む よう全世界での活動を指揮・支援しています。精鋭の科学 者、政治家、企業グループ、非政府団体(NGO)、出資機関 その他の団体を結集し、昆虫に関連した世界的問題に ついて持続可能な対策を実施するため、協定による協力 関係を築いています。 2017年の第1回プロジェクトは、黄熱病、デング熱、 チクングニア熱、 その他の病気を媒介するネッタイシマカ に関するもので、 アフリカ各地においてどのようにその 数を減らし、持続的な抑制を行うかというものです。 現在、多くの分野にわたって行われている協力活動は、 次の国際昆虫学会議(ICE) でその頂点に達するでしょう。 この会議は4年に1度で、次回は2016年にフロリダ州オー ランドで開かれます。 その目的は、蚊の対策システムについて専門知識を もち、現地政府と共にそれらのシステムを実施する国際 的な協力関係を築き、 さらにそれらのプログラムを数十 年にわたって続けていくための持続性をもたせること です。 科学界の成員たちが、世界の主要な問題の先を見越 したパートナーになるいうこの動きは、視点の変化を意 味します。将来の主な課題は、 アフリカにおける農業生産 を持続的に拡大し、全世界で害虫の監視と予防を行い、 受粉その他に有益な昆虫を保護、活性化することです。 米国昆虫学会は、パートナー提携と持続的な資金供 与、モデルの実施によりこの協力活動を指揮しています。 ESAは全世界の昆虫学会とその他の団体に対し、 この 活動に参加するよう呼びかけています。詳しい情報は www.entomologychallenges.org をご覧ください。 人類の状況改善のための昆虫学の課題 顧問委員会 米国昆虫学会は、世界最大の昆虫科学の学会として、数十年後に人類が直面する重要な課題に昆虫学が 独自の大きな貢献を果たすべく全世界での活動を指揮・支援しています。当学会の顧問委員会にはこの 重要な課題への取り組みの指導と計画に当たるため、各研究分野の権威者が結集しています。 Ellen Bergfeld, 博士 最高経営責任者 (CEO) 米国農学会(ASA)、 米国作物学会(CSSA)、 米国土壌学会(SSSA)、 作物・土壌・環境学会(ACSESS) Robert E. Page, Jr., 博士 アリゾナ州立大学 生命科学院学長 兼 財団委員長 April Burke Katherine McCarter Niko Pfund Frank Zalom 博士 会長 兼 創立者 Lewis-Burke Associates LLC オックスフォード大学出版局 (OUP)、 グローバル学術出版社 オックスフォード大学出版局 社長(米国) 専務理事 米国昆虫学会 ESA 前会長 著名な昆虫学教授 カリフォルニア大学 デービス校
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