オーディオブックの価格 ~再販制度は関係無し~ 日本オーディオブック制作社協会 平成 27 年 7 月 2 日 オーディオブックのコンテンツは書籍に完全に依存していると思います。本と言う単語 が付いている事から、基本は本だと思います。しかしながら、書籍・新聞・CD 等に適用さ れている再販制度はデジタル書籍(電子書籍・オーディオブック)には適用されません。 それなので、価格の決定権は小売りにあるのですが、現在のオーディオブックの市場にお いて、大きな問題があります。それは、小売りが値下げをしたら、卸売価格も無許可で下げ られて、制作会社側の利益が激減する事です。 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律で、制作会社が価格についてとやかく 言える事では無いのですが、適正な利益を得られないと、収益が減り、制作に投資すること が出来なくなる事と、作者に適正な印税の支払いが難しくなると考えております。売れてい ないなら値下げをするのは理解が出来ますが、デジタルコンテンツにおいて、売れていても 値下げをされるのは、自助努力をしない企業に見られると思います。 流通を通すと手数料が 1 社で 3 割取られます。流通と直取引であれば、7 割の収益が見込 めますが、卸売りを通して小売りに売ると、2 社入るので 6 割取られ、4 割の利益になりま す。書籍系の流通については、再販制度に慣れていたからか、価格の値付けについて結構乱 暴な所があるのと、電子書籍は無形物なので、在庫が無い事から適当な値付けをするところ があります。電子書籍については、販売会社が多数有り、物が同じなので差別化をするため に、頻繁に値下げをして販売しているのは、ここから来ていると思います。 オーディオブックについても、同じ発想で値引きをされますが、電子書籍とオーディオブ ックには違いがあります。それは、製造原価が違う事です。電子書籍は紙の書籍を原型とし て作られていますが、オーディオブックは音声を一から作っています。一手間かかっている と思って頂ければ良いと思います。流通については、大手は自社で作っているところもある ので、理解はありますが、自社で作っていないところに限っては全く考えられていません。 日本において、流通は会員数 12 万人の FeBe!(オトバンク)が最大手ですが、会員数に 限らなければ、iTunes Store(iTunes)や Audible(Amazon)が流通を既に整備している ので、そちらと取引を結ぶのも一つだと思います。 オーディオブックの流通についても、既に外資で締められている感じだと思います。唯一 気になる点は、楽天が 2015 年 3 月に米 OverDrive を買収して、オーディオブックの流通 に興味を抱いているので、そこの動きも気になると思います。 以上
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