1 <「校長室便り」38> 新 年 変哲もなきことうれし老いの春 正月も半ば

<「校長室便り」38>
新
年
変哲もなきことうれし老いの春
正月も半ば、学校はとっくに正月気分も失せている。私自身
特に変わったこともないが、それがありがたいような気分で
正月を迎えた。
しかし、4日、今年は日曜日だったが、学校に出てみると、
いくつかの部活が既に活動を開始している。柔道部の顧問に
聞いてみると、既に2日から寒稽古を開始しているとのこと
だった。
この日、校内を一通り回り、ちょっとした仕事をした後、成田山にお参りした。これは
お参りでもあるが、同時に正月奉仕でお寺の仕事を手伝っている生徒諸君の様子を見に
行くことでもあった。
例年護摩札をもらうが、受付の場所に行くとそこにいた生徒が私に気づいて挨拶してく
れた。護摩札の願いは「心願成就」。この心願とは君ら生徒の希望が実現すること、それ
がぼくの心願なんだよ、などと、ちょっと恩着せがましいことをその生徒に言った。生
徒は笑って、はい、只今混んでいますので、もう40分くらいしたらできます。受け取
りは東の方、向かって右側の受取所でございます、とかなり慣れた口調で応えた。
その後お寺の各所を回って多くの参拝客に混じって今まで見慣れたはずのお堂を改め
て眺めた。
初詣善男善女の中にをり
私は元々人の出るところは嫌いなのだが、最近そんな気持ちもなくなってきた。多く
の人たちと一緒にその中にいることがいやでないというより、むしろいい気持ちである。
若いときには人と同じことを嫌う気持ちも強かったが、そのような気持ちは、若いとき
はともかく、あまり好ましいとも思えない。それがなくなってきたことはよいことだと
思っている。
結構人が出ている。大塔の方まで歩いてみたが、今まで気づかなかった弘法大師のこ
んな言葉が書き付けられてあった。「日月は止どめがたく人の世は変わり易し。」
さて、時間が経って護摩札を受け取りに行くと、やはり本校の生徒諸君が多くいて、
直接渡してくれた生徒は、はい大澤様、これで間違いはございませんね、ではどうぞあ
ちらでこれを袋に入れてお持ちください、とこれも大変慣れた対応だった。
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翌5日は、暮れの29日から閉鎖施錠していた学校を開ける
日だった。時間は8時。私も8時きっかりに出校した。すると
驚いたことに、先生方は勿論だが、多くの生徒諸君がいつもの
課業日のように、登校してくるではないか。私は登校してくる
生徒諸君を見てある種の感激を覚えた。単にうれしかった、と
言うだけでは足りない気持ちだった。
生徒が学校に来るのは当たり前ではある。しかし、そうでも
ない現実があることも事実だ。それが、正月の初めから、まだ
始業式も始まっていない冬季休業中に多くの生徒たちが学校に来てくれるのはうれしい。
貴いことでもある。背後には職員の努力がある。そんな所に私の感激はあった。
その後校内を回ると、ラーニングセンターで勉強している生徒たちがいる。高校3年
生が多かったが、中には中学1年生もいて驚かされた。教室内で数名ずつ勉強している
生徒たちもいる。日当りがいいのでラーニングセンターよりも暖かいとのことだった。
これも驚いたのだが、ある教室では先生が5,6名の生徒を相手に授業をしている。後
で聞くと生徒たちに頼まれて、受験対策の講義をしていたのだと言う。
6日(火)に3学期当初の職員会議。これは最初小中高全職員が一緒だ。そこで先ず
校長として私が話をさせてもらうのだが、学期初めということだけでなく、新年最初の
会議であり、更に次年度平成27年度のことにも触れるので、それなりに気持ちが引き
締まる。
7日(水)は小中高とも始業式。ここでは「グローバル」をキーワードに世界を視野
に入れた思考、そのための知識獲得、そして知識だけでない実践力、それに伴う逞しい
心を養ってほしいことを、小中高のそれぞれのレベルに合わせて述べた。
3学期は1月17日(土)の高校前期入試から始まって中高合計4回の入学試験を行
う。また高校3年生諸君には大学入試があり、この土日(17日、18日)はセンター
試験である。特に高3関係の職員は気が揉めることだろう。私も一日一回、登校してい
る3年生諸君の部屋を回って一声かけることにしている。
また、先生方にはこの極めて忙しい時季だが、本校の将来に関わる重要な問題を考え
る委員会を設置して検討してもらっている。
このように多忙な平成27年、2015年が始まったのだが、生徒諸君、先生方、ま
た保護者の皆様方にとっても、この1年が幸多い年となることを祈る。それで、始業式
の最後に述べた大伴家持の歌を再度掲げる。
新(あらた)しき年の初めの初春の今日降る雪のいや重(し)け吉事(よごと)
(2015.1.14)
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