基調講演「SQC の世界観とビッグデータの世界観」 椿 広 計 氏 情報・システム研究機構 統計数理研究所副所長・データ科学研究系 教授 総合研究大学院大学・複合科学研究科統計科学専攻 教授 <概 要> Plan-Do-Check のプロセスを合理的と考える世界観がエンジンとなった「事実に基づ く」科学創生活動は、K.Pearson から Shewhart に継承され、 「生産を対象とした科学的 活動」としての統計的品質管理(SQC)を生み出す。ここでは、Shwhart、Deming の PDCA サイクルと「問題発見」、更に我が国が創生した改善の科学的プロセス(QC ス トーリー)とを結合した活動のパースペクティブを「SQC の世界」観と呼ぶことにす る。これに対して、ビッグデータは何を追加するのか?講演者は、プロフェッショナ ルの活動を「価値の選択」、 「システムの選択」、 「システムの最適設計」、 「価値の実装」 のステージと考えている。ビッグデータが寄与するのは、一般には人間的活動と考え られていた「多様な価値の発見」にある。しかし、これは Shewhart の問題発見をモダ ンなものに組み替えただけである。SQC 的世界観を変革するよりは、世間の世界観の 変革を迫ったというべきであろう。一方、モノやコトを設計する活動でも実稼働デー タ利用は、考慮すべきであるが、そこではデータは集まるものではなく、新たに創る べきもと考えるのが健全である。むしろ、このステージでの変革は、データが技術力 に裏付けられた適切なシミュレーションに移行しつつあり、データ同化技術に注目さ れていることであろう。
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