45.統計的方法論の企業内普及の紹介

「統計的方法論の企業内普及の紹介」
パナソニック株式会社 清水 貴宏(77BC・O 修了)
現在、私はパナソニック株式会社で電子部品全般のモノづくり課題を国内・海外の製造事業場の従業
員(開発・技術・製造)の方々と一緒に解決する社内コンサルのような仕事をしています。
私は、ほぼ入社以来、20 年以上にわたってこの仕事に携わってきました。企業にお勤めの方であれば、
1つの仕事を 20 年以上続けるというのは会社の中で非常に稀だとご理解頂けると思います。
この仕事には、品質管理(以下 QC)の考え方は勿論、各種の統計的方法論(以下 SQC)についての
知識・応用力と固有技術に関する『原理原則』能力が必要です。中でも、SQC については専門的な活
用力は不可欠です。
私は大学時代に岩崎日出男先生(近畿大学名誉教授)にご指導して頂き、QC の世界で生きて行きた
いと決めたのは、先生の勧めで参加させて頂いたベーシックコース(以下 BC)でした。今回は会社
での QC。中でも SQC の普及についての体験談を紹介します。
私は BC 修了後、SQC 部会にも参加させて頂き、多くの企業の方が学んでいる姿から、
『会社に入れ
ば、従業員は SQC を使いこなし、それが職場でも求められるのだろうなぁ』と考えていました。
ところが、私の配属された事業場では、従業員教育は計算やグラフ作成が主体で、大学で学んだ QC
教育よりレベルが低く、また BC でのような SQC は業務で使われていませんでした。企業教育では、
『学んだ内容が業務に活用でき、お客様に貢献できること』であり、正しく計算できてもグラフが書
けても、そこから解決に結びつける能力向上が図れなければなりません。
そんな時、私は QC 教育担当の機会を得ました。先ず私は以下の内容を行いました。
・画一的な『理解度確認試験』の廃止
・
『実践評価』の導入
ただし、実務評価を行うには、対象の従業員の業務の内容・課題・目標が全て異なり、解決していく
ための方法論も全て異なるため、画一的な試験方式と比べて、固有技術と SQC をはじめとする管理
技術の広い知識と応用力が評価側に求められ、同時に、その活動の導くマネジメント能力が求められ
ました。つまり、画一的な試験評価と難易度が高く、その困難を克服するために、私は対象従業員の
職場に出向き、現物を目で確認し、原理・原則を軸にディスカッションを重ね、メカニズムを予測し、
収集すべきデータを選択、そして SQC を活用する。その数、多いときは年間 80 件以上。これら全て
の日本・海外の対象従業員に対して、同じように行いました。そのため、自宅に戻ることは勿論、職
場にさえ顔を出すことも月に数回程度でした。ですが、改善活動が活発になり、不良のロス低減の効
果も得られました。しかし、会社内への普及が進みません。いったい何が足りないのか?
ある時、
会社役員の方から、
『君の仕事を経営者に経営的始点で話すべきではないか?』
とお話を頂き、
事業経営者に対して、事業経営に求められる Speed・Cost・Quality に有効的に活用できる SQC に
ついての解説を行うと、多くの事業場で SQC の普及が広がりました。
最近、以下のことを感じます。
・実務者への話:失敗と原理と回避方法
・経営者への話:経営的利点
実務者への話の中で、失敗の原理に、SQC の基本数理の不理解が含まれます。しかし、多くの場合、
成果に結びつく活用。これを望んでいるように思います。そして、今、会社の中で SQC の普及が進
んでいる一つの要素と考えています。