知的障害者施設における看護職員と生活支援員の連携・協働

目白大学大学院
修了論文概要
所属
看護学研究科 看護学専攻
コミュニティ看護学分野
修了年度
平成 24 年度
氏名
長峰 久美子
指導教員
西方 毅
論文題目
知的障害者施設における看護職員と生活支援員の連携・協働に関する認識
本 文 概 要
本研究の目的は、知的障害者施設での利用者の健康管理における、看護職員と生活支援員の連携・協
働の実態と認識の異同を明らかにすることである。研究方法は、自記式質問紙調査を用いた。研究対象
者は、知的障害者支援施設、生活介護事業の施設入所支援で勤務する看護職員と直接利用者支援に携わ
っている生活支援員とした。調査地域は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・群馬県とした。協力が
得られた 86 施設の看護職員と生活支援員(以後両者と略す)165 人に対し調査用紙を郵送した。回収率
は、看護職員 79.3%、生活支援員 82.4%であった。
利用者の健康管理において、両者が情報交換・情報共有を円滑に行うことは、連携・協働につながる。
情報共有の方法の 4 項目は、5 段階のリッカート尺度とし、両者の平均得点を求めその差を比較した。
その結果、
「情報交換が円滑に行われている」「両者間で意見の一致が得られている」では、生活支援員
の方が情報交換の円滑化や意見の一致があると認識するものが多かった。また「考えの相違」では、看
護職員に相違があると認識するものが多かった。さらに、連携・協働における自由記入に現れた課題は、
【情報の伝達 情報共有】【共通認識】【能力の問題】【組織の問題】【専門性の尊重】【高齢化や重
度化に向けた支援】の 6 カテゴリーに整理された。
両者の勤務形態について、主に生活支援員は変則勤務、看護職員は日勤であり、利用者の健康管理に
おける情報を、両者がタイムリーに顔を合わせて伝えることが難しい現状がある。また申し送りやミー
ティングは時間に限りがあるため、情報交換だけの場になっており、情報共有まで出来ていない可能性
がある。両者は情報共有ができるように意見交換の場をもつこと、それは回数が多いほどより密な関係
になり、連携・協働につながる。日常業務の中で、両者間において情報共有ができるように調整能力を
培うことが示唆された。さらに互いの立場が対等であることを認識し、情報を上手く共有化し合うこと
が必要であり、その積み重ねが重要であると考える。