JAPAN LIFELINE PERIPHERAL MARKETING REPORT 川﨑 大三 Vol.08 先生 (森之宮病院 循環器内科) ATHLETE JOKER PV の有用性について 術者紹介 1997 年 3 月 兵庫医科大学医学部卒業 森之宮病院 循環器内科 部長 1999 年 4 月 大阪暁明館病院循環器内科医師 1997 年 5 月 兵庫医科大学第一内科、臨床研修医 2001 年 4 月 兵庫医科大学循環器内科、大学院入学 川﨑 大三 先生 2005 年 3 月 兵庫医科大学医学部大学院卒業 2007 年 4 月 兵庫医科大学内科学循環器内科助教 2011 年 4 月 兵庫医科大学内科学 先進血管治療学講座 特任講師 2013 年 1 月 森之宮病院 循環器内科部長 年齢: 80 歳代 性別:女性 所見: 左第 2 足趾潰瘍、安静時痛(Rutherford 分類 5) 冠危険因子: 高血圧、糖尿病 腎機能: 慢性腎不全による維持透析 ターゲット病変情報 ABI 検査(患肢):1.02 SPP 検査(患肢):足背側 26mmHg、 足底側 32mmHg 下肢動脈エコー検査(患肢):腸骨動脈から膝窩動脈までは有意狭窄なし。膝下 3 分枝動脈それぞれに狭窄・閉塞を認める。 Fig. 1 Fig. 2 手技手順・方法 同側大腿動脈穿刺による順行性アプローチとした。4.5Fr ペアレン トシースを左膝窩動脈まで進め造影を行った。 ・造影検査(Fig.1) 前脛骨動脈:近位部の短い閉塞と中間部から遠位部の造影遅延を 伴う 99%狭窄 腓骨動脈: 中間部に 99%狭窄 後脛骨動脈:中間部に 99%狭窄 ・血管内治療 腓骨動脈の中間部 99%狭窄に対して OTW balloon 2 × 20mm を バックアップに 0.014inch guidewire ATHLETE JOKER PV をク ロスさせた後(Fig.2)、同バルーンで Indentation が取れるところ まで 3 分間拡張を行った。 次に後脛骨動脈の中間部 99%狭窄に対して先ほどと同じシステム 、同バルーン で ATHLETE JOKER PV をクロスさせた後(Fig.3) で Indentation が取れるところまで 3 分間拡張を行った。 Fig. 3 JAPAN LIFELINE PERIPHERAL MARKETING REPORT 最後に前脛骨動脈の近位部の短い閉塞と中間部から遠位部の造影遅延を伴う 99 %狭窄に対し Fig. 6 て、先程と同システムでワイヤー操作を開始した。近位屈曲部の閉塞にもかかわらずワイヤー の操作性、追従性は問題なく貫通に成功した(Fig.4) 。閉塞部を同バルーンで 3 分間拡張後の 造影では足背動脈までほぼサブトータルであったが、ワイヤーは先端形状を維持したまま末梢 まで容易にクロスできた(Fig.5)。病変部全体を同バルーンで 3 分間ずつ拡張し良好な仕上が りのため手技を終了した(Fig.6)。 Fig. 4 Fig. 5 術後 SPP は足背側 35mmHg、足底側 40mmHg まで改善。安静時痛も改善し 1 か月後の外来では 潰瘍はほぼ完治していた。 考察とまとめ 本症例は糖尿病由来の慢性腎不全を有する透析歴の長い CLI 症例であった。Fig.5 の DSA ではわからないが SFA 以下の血 管は造影せずとも血管が追えるほどの石灰化を有する、いわゆる我々が日常臨床でよく遭遇する膝下 3 分枝病変であった。 ABI は正常値であったが SPP 値は足背・足底とも低下しており早期の創傷治癒のためには 3 分枝すべての血行再建が必要 と判断した。石灰化を有する膝下 3 分枝高度狭窄閉塞病変に対して求められるワイヤーの特性としては適度な先端荷重を持 ち血管損傷を防ぎ、細かい枝の存在する膝下動脈において病変まで到達するトルク性能(コントロール性)と病変部を滑り 潜るように狙える操作性、最後に先端形状の保持性能(耐久性)が挙げられる。ATHLETE JOKER PV は先端荷重 0.6 gで 他社にない日本ライフライン独自の Dipping ポリマーテクノロジーを搭載することにより、タイトな狭窄、屈曲病変に対し ても安心して操作できるトルク性能を有している。また複数本の治療を試みるうえで大事なことはワイヤーの耐久性である。 本ワイヤーは最新技術の CM-Core というステンレスコアを採用することにより先端形状のメモリー性、耐久性が非常に高 いワイヤーである。本症例は 3 本すべての血管を 1 本のバルーンと 1 本の ATHLETE JOKER PV で完遂することができた。 コンプレックスな病変の多い本邦の膝下 3 分枝動脈に対するファーストチョイスワイヤーになりえると考える。 JOKER PV 構造図 ガイドワイヤー後端側識別マーカー 2014-04-08-01
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