10.32 赤い数字は命名の基準となる主鎖骨格炭素の番号付けを示す。 a) 二つのカルボキシ基(-COOH)を含む最も長い炭素鎖は炭素 6 個なので基本 OH O C 1 はヘキサン。二つのカルボキシ基があるので、ヘキサン二酸(二は「カタカ 5 ナ」ではなく、 「漢数字」の二。2 位と 5 位の炭素上にそれぞれメチル基があ 2 るので、それを加えて正解は 2,5−ジメチルヘキサン二酸 C 6 HO b) カルボキシ基(-COOH)を含む最も長い炭素鎖は炭素 3 個なので基本はプロパ 2 1 ン。カルボン酸であるから、プロパン酸。2 位の炭素上に二つのメチル基がある O C 3 ので、それを加えて正解は 2,2−ジメチルプロパン酸 O OH c) カルボキシ基(-COOH)を含む最も長い炭素鎖は炭素 6 個なので基本はヘキサ ン。 (カルボキシ基を含まない最長の炭素鎖は C7 のヘプタンであるが、これは主 6 H 鎖ではない。 ) カルボン酸であるからヘキサン酸。C3 上にプロピル基があるので、 3 これを加えて 3−プロピルヘキサン酸 C1 O d) 4−ニトロ安息香酸 またはp−ニトロ安息香酸 C OH OH O NO2 e) 10 個の炭素で環が形成されているので、シクロデカンが基本。炭素炭素 2 二重結合が含まれているので語尾が変化しシクロデセン(デケンではないこ O 1 C OH とに注意)。二重結合は C1 と C2 の間に位置するので、正解は 1−シクロデ 10 センカルボン酸 f) カルボキシ基(-COOH)を含む最も長い炭素鎖は炭素 5 個なので基本はペ Br ンタン。カルボンなのでペンタン酸、4−位と5−位に臭素(ブロモ基)が結合し 5 4 Br ているので、それを加えて正解は、4,5−ジブロモペンタン酸。 1 OH C O 誤答の例としては、 「,(カンマ)」を日本語の読点「、」や中黒「・」にしている者が多かった。また、 b)をトリメチルエタン酸、f)を 1,2−ジメチルペンタン酸と書いた者が少なからずいた。 10.33 命名の基準となる官能基を紫色で示す。 O a) b) 6 O C NH2 3 2 CH CH 1 CN O C C O O 4−エチル−2−ヘキセンニトリル 4−メチルベンズアミド c) ブタン二酸ジメチル d) C O e) O f) C C O O O Br N H N-メチル−3-ブロモブタンアミド 安息香酸フェニル 3−フェニルプロパン酸イソプロピル O g) Br 3 1 C h) 5 1 Cl CN 5 Br 塩化 3,5-ジブロモベンゾイル 2 1-シクロペンテンカルボニトリル 10.34 a) b) O 5 4 H c) H 1 OH HO HOOC d) O O 7 1 OH OH COOH O e) f) g) O NH2 1 NH2 6 O 3 h) 2 1 O O CN 10.35 カルボン酸は R-COOH という構造を有しているはずである。設問の化合物の分子式が C6H12O2 なの で、カルボキシ基の部分(-COOH)を差し引けばR-の分子式は C5H11 となる。これは CnH2n+1 という 関係を満たしており、飽和のアルキル基に相当する。従って考えられる構造は以下のとおり。なお、 キラルな化合物については、不斉炭素に*印を付してある。 COOH ヘキサン酸 COOH 2,2-ジメチルブタン酸 * COOH * 2-メチルペンタン酸 COOH 2,3-ジメチルブタン酸 COOH * 3-メチルペンタン酸 3,3-ジメチルブタン酸 COOH COOH COOH 4-メチルペンタン酸 2-エチルブタン酸 10.36 (a) 酸塩化物の示性式は R-COCl である。設問の C6H9OCl から酸塩化物に由来する COCl を差し引 くとアルキル基(R)の部分は C5H9 となる。これは CnH2n-1 という関係を満たしており不飽和結合 が一つあるアルキル基(アルケニル基)か、あるいは環構造を一つ有するシクロアルキル基に相当す る。従って考えられる化合物の例としては以下のとおり。 (他にも多数の構造が可能) O O 左から塩化シクロペンタンカルボニル、塩化(E)-2Cl ヘキセノイル、塩化(E)-2-メチル-2-ペンテノイル O Cl Cl (b) 窒素原子上にはアルキル置換基がないとするならば示性式は R-CONH2 となる。従って設問の分 子式 C7H11NO から CONH2 の部分を差し引くと R は C6H9 となる。これは CnH2n-3 という関係を満 たしており、不飽和結合が二つあるアルキル基(アルカジエニル基)か、あるいは環構造を二つ有す るジシクロアルキル基か、あるいはそれぞれを一つずつ有する構造のどれかに相当する。(この他に 炭素-炭素三重結合を有する可能性もある。 )従って考えられる化合物の例としては以下のとおり。 (他 にも多数の構造が可能) 左から順に、(E)-4,6-ヘプタジエ O NH2 ンアミド、2-シクロヘキセンカ NH2 NH2 O ルボキサミド、ビシクロ O [2,2,0]-2-ヘキサンカルボキサミ ド (c) 設問の分子式 C5H7N からニトリルの CN を差し引くと残りは C4H7 である。これは CnH2n-1 とい う関係を満たしており不飽和結合が一つあるアルキル基(アルケニル基)かあるいは環構造を一つ有 するシクロアルキル基に相当する。 左から順に (E)-2-ペンテンニトリル、 CN CN CN 3-メチルブタンニトリル、シクロブタ ンニトリル 等が条件を満たすことになる。 (d)分子式 C5H8O2 のエステル(R-COO-R’)であるから、カルボキシ基の部分(COO)を差し引くと C4H8 となり、これを R と R’に分ける。(即ち、両方とも炭素 2 個か、それとも一方が炭素 3 個で他方が炭 素一個) また、C4H8 は CnH2n を満たしているので、R と R’のどちらか一方が不飽和結合または環構造 を有することになる。 左から順に 2-プロペン酸エチル、2-メチル-2-プロペン酸メチル(慣用名:メタクリル酸メチル)、酢 酸シクロプロピル O O O O O O
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