(57)【要約】 【課題】アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面 に

JP 2007-162047 A 2007.6.28
(57)【要約】
【課題】アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面
に防食皮膜を形成させ、アルミニウム又はアルミニウム
合金材料の腐食を効果的に抑制することができるアルミ
ニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビター
を提供することを目的とする。また、少ない成分からな
り成分管理を容易かつ確実に行うことができるアルミニ
ウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターを
提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るアルミニウム又はアルミニウ
ム合金材料の防食用インヒビターは、5以上の炭素数を
有する有機フッ素化合物の水溶液からなる。
【選択図】図1
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
5以 上 の 炭 素 数 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 水 溶 液 か ら な る ア ル ミ ニ ウ ム 又 は ア ル ミ ニ
ウム合金材料の防食用インヒビター。
【請求項2】
5以 上 の 炭 素 数 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 は 、 COOH、 COF又 は COCl末 端 基 を 有 す る も の で
あることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用
インヒビター。
【請求項3】
水 溶 液 は 、 50∼ 500ppmの 有 機 フ ッ 素 化 合 物 を 溶 解 し て な る も の で あ る こ と を 特 徴 と す る
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請求項1又は2に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビター。
【請求項4】
水溶液は、さらにマンガン又はニッケル塩化物を溶解してなるものであることを特徴と
する請求項1∼3のいずれかに記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用イ
ンヒビター。
【請求項5】
マ ン ガ ン 又 は ニ ッ ケ ル 塩 化 物 は 、 イ オ ン 換 算 量 で 20∼ 50ppm含 有 さ れ て な る 請 求 項 4 に
記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
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【0001】
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金材料製の熱交換器、ラジエータ、貯蔵タ
ンク等がそれらに使用される液体による腐食を抑制するために用いられるアルミニウム又
はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金は比強度が高く熱伝導性が高いために、大量の液化天然ガスを気化さ
せるオープンラックベーパライザや自動車用ラジエータ等の熱交換器、あるいは液化天然
ガス運搬船の貯蔵タンク等の材料として用いられている。これらの機器においてはその構
成材料の冷媒等による腐食を防止するために腐食抑制剤(防食用インヒビター)が添加さ
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れて使用される場合が多い。
【0003】
例えば、自動車用エンジンの冷却剤にはマグネシウム及びアルミニウムの腐食抑制剤が
添加されて使用される。そのような腐食抑制剤として、特許文献1に、a)アルキル安息
香 酸 、 C5∼ C15一 塩 基 酸 お よ び C5∼ C15二 塩 基 酸 ま た は そ れ ら の 塩 か ら な る 群 よ り 選 ば れ る
、 1 種 ま た は 2 種 以 上 の 抑 制 剤 0.1∼ 15重 量 %、 な ら び に b ) フ ッ 化 物 お よ び / ま た は フ ル
オ ロ カ ル ボ ン 酸 も し く は そ の 塩 0.005∼ 5重 量 %を 含 む 腐 食 抑 制 剤 調 合 物 が 開 示 さ れ て い る
。また、フッ化物および/またはフルオロカルボン酸塩のようなフッ素化合物は単独で用
いると、非常に低い程度の保護しかもたらさないが、脂肪族カルボン酸塩またはアルキル
安息香酸類との組合せで、特に高温でマグネシウムの腐食を顕著に防止する相乗効果を与
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えるということが開示されている。
【0004】
これに対し、特許文献2には、特許文献1に開示されているフッ化物はマグネシウムに
対する防食性は高いがアルミニウム合金に対し悪影響を与えるのでそのような不具合のな
いアルミニウム及びマグネシウムの防食性に優れた特性を有する、グリコール類及びアル
コール類から選択される融点降下剤を主成分とする冷却液組成物であって、フッ化物から
選択される腐食抑制剤、及び有機カルボン酸の三塩基酸又はそのアルカリ金属塩を含有す
る冷却液組成物が開示されている。
【0005】
一方、特許文献3には、液化ガス又は液化天然ガス運搬船のアルミニウム合金製貯蔵タ
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ンクの水圧試験中における貯蔵タンクの腐食を防止するために、ナトリウムアルキルジア
ミノエチルグリシン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエ
チルグリシン及びジシアンジアミドのホルマリン縮合物よりなる群から選ばれた1種以上
の化合物を混合した水溶液からなるアルミニウム又はアルミニウム合金タンク用防食剤が
開示されている。
【0006】
【 特 許 文 献 1 】 特 表 2002-527619号 公 報
【 特 許 文 献 2 】 特 開 2005-325300号 公 報
【 特 許 文 献 3 】 特 開 平 6-336684号 公 報
【発明の開示】
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【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、さらに性能の高いアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用イン
ヒビターが求められている。また、上記に示すように従来の防食用インヒビターは、一般
に多成分系であるために成分管理が容易でないという問題がある。また、フッ素化合物は
アルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターとして効果的な成分である
が、従来のアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターに用いられるフ
ッ素化合物は、一般に溶液中でフッ素イオンになりやすいフッ酸、フッ化ナトリウム、フ
ッ化カリウム、フッ化アンモニウム等の無機酸、無機塩類であるために腐食抑制効果とし
て限界があるという問題がある。
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【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の
表面に防食皮膜を形成させ、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の腐食を効果的に抑
制することができるアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターを提供
することを目的とする。また、少ない成分からなり成分管理を容易かつ確実に行うことが
できるアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターを提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本 発 明 に 係 る ア ル ミ ニ ウ ム 又 は ア ル ミ ニ ウ ム 合 金 材 料 の 防 食 用 イ ン ヒ ビ タ ー は 、 5以 上
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の炭素数を有する有機フッ素化合物の水溶液からなる。
【0010】
上 記 発 明 に お い て 、 5以 上 の 炭 素 数 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 は 、 COOH、 COF又 は COCl末
端 基 を 有 す る も の で あ る の が よ い 。 ま た 、 水 溶 液 は 、 50∼ 500ppmの 有 機 フ ッ 素 化 合 物 が 溶
解されてなるものがよく、さらにマンガン又はニッケル塩化物が溶解されてなるものがよ
い 。 こ の 場 合 、 マ ン ガ ン 又 は ニ ッ ケ ル 塩 化 物 は 、 イ オ ン 換 算 量 で 20∼ 50ppm含 有 さ れ て い
るのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターは、腐食抑
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制効果が高く、かつ、少ない成分からなるので成分管理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターの実施
形態につい説明する。本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用イン
ヒ ビ タ ー は 、 5以 上 の 炭 素 数 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 水 溶 液 か ら な る 。 す な わ ち 、 無
機酸、無機塩類のフッ素化合物ではなく有機フッ素化合物の水溶液からなる。
【0013】
本 発 明 に お い て 用 い ら れ る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 は 、 5以 上 の 炭 素 数 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化
合物である。これによって、アルミニウム又はアルミニウム合金材料に対して高い腐食抑
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制効果を得ることができる。このような有機フッ素化合物の腐食抑制効果は、後述するよ
うに、アルミニウム又はアルミニウム合金材料の表面に皮膜を形成することによって発揮
される。したがって、皮膜形成能という観点からすると、有機フッ素化合物は、アルミニ
ウム又はアルミニウム合金材料の表面に直鎖の分子がほぼ垂直に並びやすい脂肪族炭化水
素系の有機フッ素化合物であるのがよい。すなわち、本発明において用いられる有機フッ
素化合物は、極性を有する脂肪族炭化水素系の有機フッ素化合物であるのがよい。また、
有 機 フ ッ 素 化 合 物 は 、 そ の な か で も COOH、 COF又 は COCl末 端 基 を 有 す る も の で あ る の が よ
い。
【0014】
本発明においては、このような有機フッ素化合物を水溶媒に溶解させたものを用いる。
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すなわち、本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターは
、所定の有機フッ素化合物を純水に溶解させただけの構成であるから成分管理を容易に行
うことができる。一般に有機フッ素化合物はその炭素数が多くなるほど水に溶解しにくく
なる特性を有する。このため、本発明において用いられる有機フッ素化合物は、発揮され
る 腐 食 抑 制 効 果 と 純 水 へ の 溶 解 度 と に よ り 決 定 さ れ 、 炭 素 数 は 30以 下 、 分 子 量 か ら 言 え ば
1000以 下 の も の が 用 い ら れ る 。
【0015】
図1に、本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターの
腐 食 抑 制 効 果 試 験 結 果 を 示 す 。 図 1 は 、 3%NaCl溶 液 を 塩 酸 で pH1に 調 節 し 各 種 有 機 フ ッ 素
化 合 物 を 1000ppm溶 解 さ せ た 腐 食 液 中 に ア ル ミ ニ ウ ム 合 金 試 験 片 を 液 温 30℃ 、 48h保 持 し た
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ときの試験片の質量減量を示すグラフである。図1において、横軸は各種有機フッ素化合
物 を 含 有 す る 腐 食 液 を 示 し 、 縦 軸 は 質 量 減 量 を 示 す 。 図 1 の 横 軸 に 示 す 記 号 COOH、 COF又
は COClは 、 腐 食 液 中 の 有 機 フ ッ 素 化 合 物 が 有 す る 末 端 基 を 示 す 。 記 号 C2∼ C15は 有 機 フ ッ
素 化 合 物 が 有 す る 炭 素 数 を 示 し 、 具 体 的 に は 表 1 に 示 す 有 機 フ ッ 素 化 合 物 を 示 す 。 CNTは
、 有 機 フ ッ 素 化 合 物 を 含 ま な い 3%NaCl溶 液 を 塩 酸 で pH1に 調 節 し た 腐 食 液 の 場 合 を 示 す 。
【0016】
なお、上記試験は、図2に示す試験装置により行った。すなわち、アルミニウム合金材
料 か ら な る 試 験 片 15( A3003、 9× 9mm) を 上 記 に 示 す 有 機 フ ッ 素 化 合 物 を 含 有 す る 腐 食 液 1
0が 満 た さ れ た 容 器 13に 浸 漬 し て 腐 食 抑 制 効 果 試 験 を 行 っ た 。 腐 食 液 10は 、 温 度 調 節 器 120
を 設 け た 恒 温 槽 100に よ り 温 度 を 一 定 に 保 つ と と も に 、 エ ア ポ ン プ 110に よ り 腐 食 液 10の 溶
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存酸素濃度を一定に保つように送気した。
【0017】
【表1】
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【0018】
図 1 に よ る と 、 COOH末 端 基 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 場 合 、 炭 素 数 が 増 加 す る に つ れ
て 質 量 減 量 が 少 な く な る 傾 向 が あ る こ と が 分 か る 。 2又 は 4の 炭 素 数 ( C2、 C4) を 有 す る 有
機 フ ッ 素 化 合 物 の 場 合 は 、 質 量 減 量 が CNTの 場 合 よ り わ ず か に 少 な く な る が 、 5又 は 7の 炭
素 数 ( C5、 C7) 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 場 合 は 、 質 量 減 量 が CNTの 場 合 の 1/2以 下 に な っ
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て い る 。 特 に 8の 炭 素 数 ( C8) 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 場 合 、 質 量 減 量 は CNTの 場 合 の 1/
100に な っ て い る 。 ま た 、 C5と C8の 試 験 片 ( 炭 素 数 が 5と 8) を 試 験 後 に 観 察 し た と こ ろ 、 C
5の 試 験 片 の 場 合 は 表 面 に 白 色 皮 膜 が 観 察 さ れ 、 C8の 試 験 片 の 場 合 は 金 属 光 沢 を 呈 し て お
り 、 薄 い 緻 密 な 皮 膜 の 存 在 が QCM測 定 ( quartz crystal microbalance measurements) に
より確認された。すなわち、腐食の抑制は、アルミニウム合金表面に有機フッ素化合物皮
膜 が 形 成 さ れ る こ と に よ っ て 生 じ た も の で あ る 。 な お 、 QCM測 定 は 、 セ イ コ ー ・ イ ー ジ ー
ア ン ド ジ ー 株 式 会 社 製 QCA922を 用 い て 行 っ た 。
【0019】
COF末 端 基 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 場 合 に つ い て も 、 COOH末 端 基 を 有 す る 有 機 フ ッ
素化合物の場合と同様の傾向を有し、炭素数が多いほど質量減量が少なくなっている。ま
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た 、 図 1 に よ る と 、 炭 素 数 が 5以 上 の COOH末 端 基 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 、 COF末 端 基 を
有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 及 び COCl末 端 基 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 に つ い て 、 質 量 減 量 が
CNTの 場 合 の 1/2以 下 に な っ て い る こ と が 分 か る 。
【0020】
図 3 は 、 COOH末 端 基 を 有 す る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 ( C8) の 場 合 に お い て 、 図 1 と 同 様 の 条
件 で 試 験 を 行 い 腐 食 液 に 溶 解 さ せ た C8有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 濃 度 と ア ル ミ ニ ウ ム 合 金 の 質 量
減 量 と の 関 係 を 調 べ た 結 果 を 示 す グ ラ フ で あ る 。 図 3 に お い て 、 横 軸 は COF末 端 基 を 有 す
る 有 機 フ ッ 素 化 合 物 ( C8) の 濃 度 を 示 し 、 縦 軸 は ア ル ミ ニ ウ ム 合 金 の 質 量 減 量 を 示 す 。 図
3 に よ る と 、 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 0か ら 40∼ 60ppmま で の 濃 度 範 囲 で 、 濃 度 の 増 加 と と も に
急 速 に 質 量 減 量 が 低 下 し 、 そ の 後 質 量 減 量 は 小 さ く な り 、 濃 度 が 100ppm以 上 に な る と 質 量
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減 量 は 非 常 に 小 さ く な り 、 飽 和 状 態 に な る こ と が 分 か る 。 す な わ ち 、 COOH末 端 基 を 有 す る
有 機 フ ッ 素 化 合 物 ( C8) の 場 合 は 、 濃 度 が 50∼ 500ppmの 水 溶 液 で 十 分 の 腐 食 抑 制 効 果 を 得
る こ と が で き 、 濃 度 が 50∼ 150ppm程 度 で あ っ て も よ い こ と が 分 か る 。
【0021】
このように、微量の一種類の有機フッ素化合物を溶解させた水溶液によりアルミニウム
合金の腐食を効果的に抑制することができる。この腐食抑制効果はアルミニウムであって
も同様に得ることができる。また、有機フッ素化合物の水溶液は、使用状態において所定
有機フッ素化合物濃度の水溶液になっておればよく、本発明に係るアルミニウム又はアル
ミニウム合金材料の防食用インヒビターの供給形態は、錠剤の形態であっても原液の形態
であってもよい。
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【0022】
また、本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターは、
上述の実施形態に限らない。微量の一種類の有機フッ素化合物に他の成分を含有するもの
であってもよい。例えば、有機フッ素化合物に微量の金属塩を含有させたものであっても
よい。
【0023】
図 4 は 、 C8有 機 フ ッ 素 化 合 物 を 50ppm溶 解 さ せ 、 さ ら に 、 ア ル ミ ニ ウ ム 、 マ ン ガ ン 又 は
ニ ッ ケ ル 塩 化 物 ( AlCl3 ・ 6H2 O、 MnCl2 ・ 4H2 O又 は NiCl2 ・ 6H2 O) を 溶 解 さ せ た 腐 食 液 を 用
い図1と同様な試験を行った場合の、アルミニウム合金材料からなる試験片の質量減量を
示 す グ ラ フ で あ る 。 上 記 金 属 塩 を 溶 解 さ せ た と き の Al
3 +
、 Mn
2 +
及 び Ni
2 +
のイオン濃度は、
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そ れ ぞ れ 29ppm、 24ppm及 び 29ppmで あ っ た 。 図 4 に お い て 、 横 軸 の 番 号 は そ れ ぞ れ 、 C8有
機 フ ッ 素 化 合 物 と そ れ ぞ れ AlCl3 ・ 6H2 O、 MnCl2 ・ 4H2 O又 は NiCl2 ・ 6H2 Oを 溶 解 さ せ た 腐 食
液 を 示 し 、 縦 軸 は 質 量 減 量 を 示 す 。 ま た 、 CNTは C8有 機 フ ッ 素 化 合 物 の み を 溶 解 さ せ た 腐
食液の場合を示す。
【0024】
図 4 に よ る と 、 有 機 フ ッ 素 化 合 物 の 水 溶 液 中 に Mn
2 +
及 び Ni
2 +
が存在すると腐食抑制効果
が増大することが分かる。これは、以下に説明するように有機フッ素化合物と金属イオン
の 間 で 協 働 作 用 を 生 ず る 場 合 が あ る こ と を 示 し て お り 、 こ の 例 で は C8有 機 フ ッ 素 化 合 物 と
Ni
2 +
イオンの場合にその効果が最も高いことを示している。なお、この協働作用は、マン
ガ ン 又 は ニ ッ ケ ル 塩 化 物 が 、 イ オ ン 換 算 量 で 20∼ 50ppm含 有 さ れ て い れ ば 発 揮 さ れ る 。
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【0025】
図5は、有機フッ素化合物を含まない金属塩のみを溶解させた腐食液により試験を行っ
た場合のアルミニウム合金の質量減量を示すグラフである。図5によると、腐食抑制効果
は 図 4 の 場 合 と 逆 に な っ て お り 、 腐 食 抑 制 効 果 は 、 Ni
2 +
、 Mn
2 +
、 Al
3 +
の 順 に 高 く 、 Ni
2 +
イ
オ ン の 場 合 が 最 も 腐 食 抑 制 効 果 が 小 さ い こ と が 分 か る 。 す な わ ち 、 図 4 の 結 果 は 、 C8有 機
フ ッ 素 化 合 物 と Ni
2 +
イオンの協働作用により腐食抑制効果が高められた結果である。なお
、図5の場合の試験条件は図4の場合と同様である。用いた金属塩及び腐食液中のそれら
の金属イオン濃度についても図4の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
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【図1】本発明に係るアルミニウム又はアルミニウム合金材料の防食用インヒビターのア
ルミニウム合金試験片に対する腐食抑制効果試験結果を示すグラフである。
【図2】図1の試験に用いた試験装置の模式図である。
【図3】有機フッ素化合物の濃度とアルミニウム合金試験片に対する質量減量との関係を
示すグラフである。
【図4】有機フッ素化合物と金属塩を含む腐食液によるアルミニウム合金試験片の質量減
量を示すグラフである。
【図5】金属塩のみを含む腐食液によるアルミニウム合金試験片の質量減量を示すグラフ
である。
【符号の説明】
【0027】
10 腐 食 液
13 容 器
15 試 験 片
100 恒 温 槽
110 エ ア ポ ン プ
120 温 度 調 整 器
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【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図5】
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