『日本の「グローバル人材論」を 問う』の 開題 国際ビジネス研究学会会長 安室 憲一(大阪商業大学) 2015年9月26日(於、明治大学) 1 研究者としての我々が望んできたこと • 学会(研究者)と実業界(ビジネスマン)の距離 を近づけたい。壁を取り除きたい。 • 社会人大学院で学ばれたビジネスマンに、学 会に参加して専門知識をさらに深めてほしい。 • 研究者の知見をビジネスの現場に適用して、 日本企業の国際ビジネスの課題解決に寄与 したい。 • 若い研究者の研究が、次第に現実の経営問 題から遠ざかるような危惧を覚える。 新しい研究方法論にチャレンジする • 最近、決定的なパラダイム・チェンジが生まれにくく なっている。 • 研究者は、より現実な問題に取り組む構えが必要だ。 「グローバル人材論」は最適なテーマ。 • 研究方法論の3タイプ: ① 大量データに基づく仮説検証型の研究 ② 詳細なケーススタディによるエスノグラフィー (民族誌)的研究 ③ 組織開発(OD)型研究:特定の価値観を持った研究 者が当該組織や集団に働きかけて行動変容をもた らす「アクション・リサーチ型」の研究。 グローバル人材の新しい研究方法 • 仮説検証型研究は限界にきている:少ない回答 率、回答企業の偏り、平凡な仮説、意味のないイ ンプリケーション・・・スタイルだけの低質なジャーナル論文。 • 経営学者はエスノグラフィーの基礎を学ぶべき: 主観的ケーススタディーは非科学的、ホーソン実験(再 現性の高い)レベルの研究が望ましい。 • 組織開発(OD)型の研究が今後の期待:例、ダイ バーシティー・マネジメントの実現、経営人材のグローバル 化・・・達成すべき目標(価値)を持って研究者が 実務家に働きかけ、説得し、改革を承認してもら う。ともに目標にむけ協力して世界を変えていく。 リスク時代に備える人材育成の課題 • リスクに強いグローバル人材をどのように育成するか。 • 組織、集団、個人の「レジリエンス」(Resilience:弾力 性・回復力・耐久性)をどのように開発するか。 • タフな国際ビジネスマン:リスクに強く、回復も早い。 ① 悪いことが起きないようにする能力 ② 悪いことが悪化しないようにする能力 ③ 起きてしまった悪いことからリカバリーする能力 ○ 個人の「レジリエンス」を測定し、評価し、改善する。 レジリエンス強化のための「国際人材育成計画」を開 発する。・・・新しい形のODアプローチ。 ○ 研究者と実務家が協力する体制を作る。
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