一般演題(341) 腹臥位手術中に大量出血を来たした1例 1愛知県厚生連

一般演題(341)
腹臥位手術中に大量出血を来たした1例
1
愛知県厚生連加茂病院麻酔科
河野 伸一1
今回脊椎固定術中に大量出血を来たし救命できた症
例を経験したので報告する
【症例】26歳男性
【現病歴】15m位の高所から飛び降り受傷。L1の破
裂骨折および両踵骨骨折と診断され11月30日にT12
とL1の椎弓形成・固定術および両踵骨の経皮的ピン
ニング が予定された
【既往歴】11歳ころまで喘息があったが現在は緩解
している
【入院時現症】身長180cm体重63kg 血液検査所見:
白血球16000/mm3 Hb10.2g/dl Ht32.3% TP5.9g/dl ア
ルブミン3.5g/dl 胸部レントゲン所見および心電図
所見には異常所見を認めなかった
【麻酔経過】フェンタニル、ベクロニウムおよびプ
ロポフォールで全身麻酔導入後気管内挿管を行った。
右橈骨動脈穿刺し観血的動脈圧の測定を開始後腹臥
位と した。その際喘鳴が聴取されたためアミノフィ
リン75mgを緩徐投与し喘鳴は消失した。更にメチル
プレドニゾロンナトリウム500mgおよびアミノフィ
リン175mgを持続静注した。麻酔維持はベクロニウ
ム フェンタニルおよびTCIによるプロポフォール
で行った。手術開始90分で出血が2500mlに達したた
めMAP血の輸血を開始した。出血は手術開始150分
で約4000mlに達した。出血に伴う循環不全により
観血的動脈圧で60mmHg台まで低下したため術操作
の中断を要請し急速輸血およびエピネフリン1mg投
与した。術野での圧迫止血および急速輸血により循
環動態は 回復に向かったが大量出血に伴う出血傾
向も出現したためFFPおよび血小板の投与も開始し
た。輸液量5650ml輸血量8180ml(MAP22単位 FFP30
単位 血小板20単位 洗浄赤血球2250ml)出血量
13647ml 尿量900ml 麻酔時間8時間25分であった
【結語】腹臥位手術で大量出血により急性循環不全
に陥ったものの救命できた症例を経験した