東さわり(単に、さわりとも言う)は三味線に独特のものです。下図に示したように東さわりの ネジを調節することによって 1 の糸が振動するときにネジの先が触れて、琵琶に似たビーン という噪音の入った複雑な音が生じます。三味線が良く鳴るにはこのさわりが適切に調節さ れていなければなりません。 裏から見た図 表から見た図 上駒 東さわり(さわり) これを回して表側のネ ジの高さを調節する ネジの先が1の糸が 振動すると触れる 糸迪(イトミチ)がある ④ 海老尾の部分 海老尾 : 広く反り返った部分です。海老尾の表面を、甲と言います。 糸蔵 : 箱のようにくり貫かれた空間を言います。 転軫(天神) : 糸を巻き付ける 3 本の棒で、糸巻きです。 ⑤ 駒と上駒 どちらも糸を乗せるところから駒と名付けられたものです。駒には 3 本の糸を通す糸迪(イトミ チ)があります。上駒には、さわりの位置に合わせる為に、1 の糸を通す糸迪がありますが、2 の糸・3 の糸を通す糸迪はありません。 三味線の基本的な構造は、流派を問わず全く同じです。全長は約 3 尺 2 寸(97cm 前後)が標 準ですが、民謡では一回り短いものも使用されます。棹・胴の寸法も微妙に異なり、撥や駒 の材料・大きさも様々です。この違いがそれぞれの音色の差異となって現れます。 棹は下記の表に示したように流派によって太さが違います。また、断面も細棹・中棹がほっ そりとしているのに対して、義太夫の棹は丸みがあります。これらの違いは僅かな差の様で すが、実際に持ってみると大きく感じられます。 種類 用途 太さ 細棹 長唄、端唄、小唄、普通の民謡、等 24.8mm~26.0mm 中棹 常磐津、清元、端唄、小唄、等 26.0mm~27.2mm 太棹 義太夫、津軽民謡、等 27.2mm~28.4mm -5- 長さ 97cm前後
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