腰椎椎間板ヘルニア

ケーススタディ
腰椎椎間板ヘルニア
Martin D. Hoffman, MD, FACSM
Sacramento VA Medical Center
序論
損傷後第 6 週目に、彼は膝の伸筋と屈筋の等速性筋力テス
患者は 52 歳男性の物理療法・リハビリ医師でウルトラマラソ
トを受け、その結果、強度と力不足が約 30%改善の側に
ン選手である。彼は腰痛もなく健康状態良好であったが、急性の
向かっていることが明らかとなった。客観的な強度不足は
リフティング損傷を起こし、MRI 診断により L4/5 椎間板ヘルニ
残ったが、山道コースも楽に走ることができ、損傷後第 6
アにより右神経孔が完全に狭窄していると診断された。彼は損傷
週目に、週 80 マイル以上の定期トレーニングスケジュー
時に、3 ∼ 5 か月後に行われる 50 キロメートルと 100 マイルの
ルに復帰することができた。
ウルトラマラソン競技に備えて、週 70 ∼ 80 マイルのランニング
と 25 ∼ 50 マイルの自転車走行を続けていた。
結果
選手は、損傷後 3.5 か月で以前のタイムに戻り、50 キロの年
目標
損傷後 3 ∼ 5 カ月後に予定されているウルトラマラソン競
技で競えるよう、心臓血管の健康と能力を維持する。
椎間板損傷の回復を可能にする。
齢グループコースで新記録を達成し、さらに損傷後 5 か月で症状
なしに 161 キロコースを完走することができた。
経過表
状況/経過(経過表を参照)
プログラム
損傷の 6 日後、選手は右腰部と臀部の痛みのため、依然と
して著しく歩行が困難であったが、50%の体重支持装置を
日・週
装着して 30 分間歩行した。彼はその後かなり具合が良く
なり、翌日は症状の悪化は見られなかった。
彼は翌日 1 ∼ 3 時間にわたる AlterG を使った定期的(ほ
ぼ毎日)トレーニングを開始した。トレーニングは当初
重負荷を 70 ∼ 80%に進めた。各トレーニングはウォーミ
での走行は困難であったが、70 ∼ 80%の体重負荷であれ
ば、心拍数 150 拍 / 分以上の負荷のかかるトレーニングま
で速度を増やすことができた。トレーニングの度に、彼の歩
行は正常に戻り、数時間の間は痛みや気分も改善した。
傾斜
時間
(km/ 時)
(%)
(分)
損傷後 6 日
体重 50%で
ウォーキング
3.2 ∼ 5.6
km/ 時
0%
30 分
損傷後 7 日
体重 50%で
ランニング
16 km/ 時ま
で進める
0%
60 分
損傷後
9 ∼ 14 日
ングアップとして 10 ∼ 15 分間の歩行から開始し、その後
走行速度まで速めた。右脚の衰弱のため 100%の体重負荷
速度
ランニング?
50%体重で
ランニングしその 11.2 ∼ 18.2
0 ∼ 5%
後体重 80%まで
km/ 時まで
進める
損傷後
15 日
屋外ランニング
損傷後
17 ∼ 19 日
体重 90%で
ランニング
損傷後
20 ∼ 22 日
屋外ランニング
損傷後
23 日
体重 87 ∼ 90%
でランニング
損傷後
24 日
屋外ランニング
損傷後
24 日∼
AlterG の補助によ
る通常の屋外
トレーニングを、週
に 1 ∼ 2 回再開
損傷後第 15 日目に、彼の腰部と臀部の痛みは完全に解消
した。彼は道路上でも非常にゆっくりと 4 マイルを走行し
たが、右脚がかなり衰弱していることを除いて症状は全く
感じなかった。
損傷後第 3 週目に、選手は週前半に AlterG を装着して
27 マイル走行し、その後週後半にコースと道路上を同じ
距離まで走行を進めた。走行の大部分は AlterG を装着し
て 90%の体重負荷で傾斜を付けずに実施したが、160 拍
頻度
体重%
50%の体重負荷のほか、さらに慣性前進力を低下させるた
めに 5%傾斜を付けて実施した。損傷後第 12 日目までに体
ウォーキング?
60 分∼
180 分
毎日
40 分
9.6 ∼ 14.7
km/ 時まで
0 ∼ 5%
1 マイル区間
ずつ最大
15.4 km/ 時
0%
60 分∼
120 分
毎日
60 分∼
120 分
毎日
70 分
6.75 時間
/ 分を超える心拍数での中間トレーニングも採り入れた。
右脚の衰弱が良くなりつつもまだ残っており、そのため体
重支持装置なしで走行することは依然として困難であった。
損傷後第 4 週目と 5 週目は、選手は 95 マイルと 70 マイ
ル走行した。AlterG を装着して 85 ∼ 90%の体重負荷で
週 24 マイルずつ走行し、さらに 20 ∼ 28 マイルのコー
ス走行を 3 周行った。彼の右脚の衰弱には引き続き改善が
本社:TEL 03-5326-3200
見られ、第 5 週の終わりまでに感覚喪失は解消した。
HPアドレス:http://www.alter-g.jp/
Anti-Gravity Treadmillは下肢の負傷後または手術後のリハビリテーションにおいてFDA(米連邦食品医薬品局)の認可を受けています。
執筆者は症例研究に対して金銭的な補償を受けている場合があります。
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