両側コンパートメント症候群

ケーススタディ
両側コンパートメント症候群
David Nissenbaum MPT, MA, LAT
序論
23 才の大学 4 年生がコンパートメント症候群による両側前側/
プログラムは 9 週間実施した。
外側コンパートメント減張切開術を受けた。患者は術後約 3 週間で
外来理学療法を開始した。理学療法開始時の最大の問題は軽度の
考慮
尖足(右)で、右前コンパートメントの継続的な腫れと緊張が伴っ
AlterG の歩行訓練強 度を上げるにあたって痛み、腫れ、うず
ていた。彼は熱心なランナーであるほか、アルティメットフリスビー
きを考慮した。患者の痛みの改善に合わせて速度と傾斜を上げて
やバスケットボールも行い、以前のように運動がしたいと思ってい
いった。経過は表を参照。
る。
結果
目標
患者には計 18 回治療を行った。最初は、足関節の可動範囲、
◦ 右脚の腫れの軽減
腫れの制御、歩行訓練に焦点が当てられた。右脚が尖足であるた
◦ 正常歩行パターンの回復
め、ランニングプログラムに進む前に、まず 歩行訓練を行った。
◦ 股関節とコア部の筋力、固有感覚の漸次的回復
AlterG で免荷することで、患者は痛みとコンパートメントのこわ
◦ 正常歩行プログラムへの復帰、無症状での整地・不整地お
ばりを最小限にとどめつつ、適切な歩行メカニクスの回復に取り
組むことができた。その後、下肢の固有感覚、股関節安定性訓練
よび様々な速度・傾斜での歩行
◦ ランニング、バスケットボール、アルティメットフリスビー
を行うとともに、ランニングプログラムを再開した。患者の経過
は非常に良かった。下肢の筋力/安定性、神経筋制御が回復し、
の再開
以前の機能レベルに戻るための自主在宅運動/トレーニングプロ
病歴
グラムに移行することができた。
患者は快活な 23 才の大学 4 年生。ランニング時の脚前部側
部の両側の痛みが 6 ヶ月収まらず、受診した。コンパートメント
( 裏面につづく )
圧を検査したところ全コンパートメントで圧が上がっており(特に
前部/側部のコンパートメント)、患者は両側コンパートメント減張
切開 術を受けた。
患者は両側前部・側部コンパートメント減張切開術を受けたが、
手術の約 1 週間後に右脚の血腫除去のための再手術が必要であ
った。切開部が完全に治癒した 2 度目の手術の約 3 週間後に理
学療法を開始した。
患者の最も深刻な問題は両脚のすねの緊張(右脚の方が悪い)、
両脚のすねのこわばり、活動またはウォーキング時の右脚第 3 趾、
4 趾伸展の困難であった。AlterG の傾斜は前部・側部コンパート
メント筋へのストレスを最小限にするために 0°から始めた。
最初のフォローアップ診察で AlterG を使った歩行訓練、軟部
組織モビライゼーション(ASTYM)、足関節モビライゼーション
ドリル、下肢柔軟性ドリル、股関節・コア部安定性運動、モダリ
ティ/生体自己制御を開始し、痛みと腫れの治療を行った。リハ
ビリテーションが進んだ段階で高度固有感覚運動も組み入れた。
Anti-Gravity Treadmillは下肢の負傷後または手術後のリハビリテーションにおいてFDA(米連邦食品医薬品局)の認可を受けています。
執筆者は症例研究に対して金銭的な補償を受けている場合があります。
経過表
週(術後)
速度(Km/h)
傾き(%)
時間(分)
頻度
体重 40-50%でウォーキング
2.7 ~ 4.0 km/h
0
10 分
週2回
第4週
体重 50%でウォーキング
3.2 ~ 4.0 km/h
0
15 分
週3回
第5週
体重 60%で 10 分ウォーキング
4.0 ~ 4.8 km/h
0
20 分
週3回
4.5 ~ 4.8 km/h
0
25 分
週2回
0
27 分
週2回
0
35 分
週1回
0
45 分
週1回
第 3 週
プログラム
(理学療法1週目)
体重 80%で 10 分ウォーキング
第6週
体重 80%で 5 分ウォーキング
体重 60%で 10 分ウォーキング
5.6 km/h
体重 55%で 5 分ランニング
9.6 km/h
体重 80%で 5 分ウォーキング
5.6 km/h
第 7 週
体重 70%で 5 分ウォーキング
4.8 km/h
(ランニング
体重 60%で 10 分ランニング
10.4 km/h
プログラム)
体重 50%で 7 分ランニング
体重 85%で 5 分ウォーキング
第8週
5.1 km/h
体重 70%で 5 分ウォーキング
4.8 ~ 5.6 km/h
体重 70%で 10 分ランニング
9.6 ~ 12.0 km/h
体重 60%で 5 分スプリント
第9週
12.0 ~ 12.8 km/h
12.8 ~ 14.4 km/h
体重 80%で 10 分ランニング
9.6 ~ 12.0 km/h
体重 80%で 5 分ウォーキング
4.8 km/h
体重 80%で 5 分ウォーキング
4.8 ~ 5.6 km/h
体重 85%で 10 分ランニング
9.6 ~ 12.8 km/h
体重 70-80%で 8 分スプリント
体重 90%で 12 分ランニング
体重 80-85%で 5 分スプリント
体重 90%で 5 分ウォーキング
12.8 ~ 14.4 km/h
9.6 ~ 12.8 km/h
13.6 ~ 15.2 km/h
4.8 km/h
本社:TEL 03-5326-3200
HPアドレス:http://www.alter-g.jp/
Anti-Gravity Treadmillは下肢の負傷後または手術後のリハビリテーションにおいてFDA(米連邦食品医薬品局)の認可を受けています。
執筆者は症例研究に対して金銭的な補償を受けている場合があります。