P29 四季の歌[ PDF: 526.5KB]

台風の去りたる狹庭に水芙蓉空仰ぐがに真赤に咲ける
根 本 智恵子
小川短歌会
採血する中年看護師家にてはよき主婦ならんおゆびの太し
こもごも そ ば ひ
遠 藤 黎 子
白根澤 清 香
浜 尾 と く
奥 村 と き
山 口 和 代
碇 谷 き え
沼 田 敏 子
八 木 操
幡 谷 啓 子
永 作 喜代子
くさむら
松ぼっくりの転ぶ試歩路の叢に鳴く虫の音の細くなりたり
お は こ
兵たりし体験語る九十五歳の叔父の十八番は同期のさくら
棚田まで目高上りて水落とす三軒の水車交 々蕎麦碾く
美野里短歌クラブ
を眺めてしばし庭に居り暑さつづきて歌も浮かばず
星つ空
ま
病みて草はびこりし菜園の茄子も胡瓜も採ることもなし
夫
忙しく孫の出荷するほうれん草束ねる母は九十三歳
日盛りの草生の道を歩み来て咲く昼顔の花はやさしき
葉の陰に採り残したる胡瓜二本わが腕ほどに育ちて居りぬ
太陽と競いて起きて草やぶに鎌ふるう腕を蚊は襲いくる
玉里短歌会
夏きたりひときわ髙き蝉の声涼しさもとめ夕立を待つ
えにし
上 野 和 子
平 澤 ヒロ江
野 口 初 江
石 橋 吉 生
高見沢 こ う
正 木 敦 子
たっぷりの朝な夕なの水掛けもむなしく猛暑に枯るるコスモス
太りたるみみず這い出て乾びたり朝の舗道に折釘のごと
と わ
晩酌はひとり静かに秋の夜を無心になりて銘酒に酔いぬ
寄稿
縦糸と横糸織り成す布の妙人との出逢いも永久の縁と
若人の夢を絶ち切る戦争を胸せつせつと終戦の日に
小川俳句会
曾孫の踊しぐさや童唄
折紙を折りつゝ一人炬燵かな
錦秋を湖底に霞浦の水鏡
恙がなくことの幸せ敬老日
句の道や秋の七草友として
みづうみ俳句会
筑波峯を見据える野面日本晴
見上げては掃くこと日課柿落葉
秋晴れの大仏どっしり日はやさし
山里にたわわに実る柿景色
夕木戸の軋む音にも秋惜しむ
みのり俳句会
大根に芽の出る早さありにけり
日盛りの釣人に父重ねみる
彼岸花しばし見つめてをりにけり
笑栗やバイキンマンの顔に似て
一瞬に濁流と化す澄める水
欅の会
秋の夜は地酒にチーズ老い二人
灯火親し芥川賞読めと言ふ
パートより帰る妻待つ端居かな
遠筑波ささやいている萩の風
身をどっと放り投げたり大花野
くるみ俳句会
鵙鳴いて峽の朝空引きしまる
秋晴れの湖は夕日に輝ひて
晩秋や鍬につめたき雨しとど
あれこれと収穫せわし秋の暮れ
一人酒しみじみ苦きサンマかな
玉里俳句会
紀元杉太き走り根秋時雨
炊き上げて香り漂ふきのこ飯
青空やカメラカメラの運動会
歌うかに語りあうかに秋桜
真向かひに十六夜の月笑みにけり
関 久 子
国 友 信 子
河原井 美 代
柏 崎 尚 子
田 山 一 男
笹 目 徹
茅 場 久 子
内 田 と み
三 村 れい子
榎 本 喜代子
木名瀬 やゑ子
斉 藤 寛
坂 光 子
佐 藤 清 子
島 田 草 心
岡 島 進
矢 口 冨 久
網 代 奈津江
塚 田 忠 男
木 村 小夜子
荒 井 栗 山
信 田 菊 江
島 田 篁 村
杉 山 照 子
福 島 邦 誉
矢 口 友 子
清 水 昭 子
斉 藤 富 子
大 石 康 子
鶴 町 文 男
29 平成 27 年 11 月 12 日 広報おみたま