P39 四季の歌

小川短歌会
幡 谷 啓 子
はは
妣の着し太縞銘仙ブラウスにせんときしきし絹糸ほどく
くちもと
新緑の木洩れ日搖るる野佛のほほ笑む口許やや崩れをり
江
夏
島
鶴 町 文 男
松
永 井 房 子
浜 尾 と く
大 平 勇 次
白根澤 清 香
石 田 はる江
中 根 良 子
永 作 喜代子
八 木 操
さんしょう
これと謂ふ家訓なけれど睦まじく「捨て犬・猫」を拾ひ育てつ
豊かなる香につつまれて摘む山椒やぶ鴬のこゑ聴きながら
幼子は絵本のりんごもぐもぐもぐ吾もまねたりよみきかせつつ
美野里短歌クラブ
べにあせぼ妖しき色に咲くからに線量たかき庭が気になる
いそいそと人らあつまる日だまりに風土記の丘の桜咲き初む
日に照りて若葉の匂う秩父路を娘と行きて深呼吸する
つま
亡き夫と共に忙しく勤め居し若き日今に思えばたのし
耳遠く言われしことにうなずきて返す言葉がなくて淋しい
大地震に崩るる肥後の山を見て裂けしままなる我が壁迫る
玉里短歌会
庭占むる小手毬白く咲き満ちて夕べの風に枝を撓ます
上 野 和 子
平 澤 ヒロ江
小松庄治右衛門
藤 田 久 子
髙見沢 こ う
石 橋 吉 生
長 島 陽 子
正 木 敦 子
鷺草の冬越え今年も失敗か水ごけの中緑芽吹かず
岩国の川は濁流渦巻きて雨の錦帯橋に桜楽しむ
春告げる蛙の声の途絶えし田殿様どこへ国替せしや
寄 稿
人の汗受けて咲く花アジサイに心咊むる足湯つかりて
山畑の里に暮らして四十年若葉の庭に今日も過ごせり
ユーモアで話す講座は老人の心豊かに若返らせる
花の襞ひだの起伏も織り交ぜて葵の深紅丈高く咲く
小川俳句会
老ホーム余世の夢の風涼し
新緑の溢る山気を大きく吸ふ
紫陽花に見惚れて和む心かな
新緑の田面に出逢ふ二人連れ
五月晴思ひ出たたむ同窓会
みづうみ俳句会
あじさいの色鮮かに庭の顔
雨の色重ね重ねて濃あじさい
大樹より声を飛ばせり梅雨鴉
たんぽぽのわたげどこまで風にのり
容赦なく伸び雑草の竹の春
みのり俳句会
最後かと思ひつ今日の菜花つむ
佇みて大仏見上ぐ春の空
小春日のこんな日もある余生かな
さ緑の山並清し聖五月
菖蒲湯に浸り至福でありにけり
欅の会
緑陰や午後のしじまの車椅子
姉の忌や黒い電話の黴ぬぐう
永き日や動くに疲れ足のばす
残されし校舎を囲む山法師
燐寸する五月の闇の息遣い
くるみ俳句会
郷愁の色のありけり栗の花
睡蓮にモネの世界にしばし入る
風青しさざ波たちて花しょうぶ
ほっこりと蛍袋の咲く狭庭
常陸野の四方より匂ふ栗の花
玉里俳句会
緑蔭に花嫁舟を待ちにけり
蝶のごとあやめの中を嫁御寮
ゆったりと庭に癒され母子草
あやめ祭り女舟頭凜凜しかり
水郷をめぐる艪音や梅雨晴間 田 山 一 男
河原井 美 代
柏 崎 尚 子
国 友 信 子
関 久 子
長 島 昭
長 島 久美子
茅 場 久 子
内 田 と み
榎 本 喜代子
木名瀬 やゑ子
坂 光 子
関 本 国 子
塚 田 文 江
立 原 千 代
三 輪 挺 子
岡 島 禮 子
鈴 木 貞一郎
村 田 妙 子
木 村 小夜子
荒 井 栗 山
小 原 エ ミ
金 山 ちか子
信 田 菊 女
城垣内 睦 子
田 山 森 俊
野 口 初 江
亀 井 幸 子
矢 口 友 子
清 水 昭 子
平成 28 年 7 月 7 日 広報おみたま
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