平成 27 年度 公益財団法人納税協会連合会会長賞 私達を支えてくれている税 帝塚山中学校三年 杜 瑞雪 先日、私はある研修旅行で米国を訪れた。その研修の中でビル&メリンダ財 団のビジターセンターを見学する機会があった。そこで私は一枚の写真を目に した。食べる物がないので必死にごみだめを漁るアフリカの少女達の姿だった。 この少女達だけではない。世界には戦争に巻き込まれる子、学校に通いたくて も通うことができない子、家の手伝いをしなければならない子、つまり自分の したいことができない、満足した生活がおくれない子どもたちがたくさんいる。 医療機関や薬、手を洗い流すための水も彼らにはない。そして私達日本人には 義務づけられている教育、我々にとってはあたりまえである学校へ通うという ことが彼らには望んでもできないことが普通であるという。私にとっての日常 の生活が、国が違えば変わるということを感じた。改めて日本は恵まれた国で そこに住んでいる私もまた恵まれていると思った。中学校や小学校の教科書の 裏を見ると、 「この教科書はこれからの日本を担う皆さんへの期待をこめ税金に よって無償で支給されています。」と書いてある。国が教科書や学費を補助して くれているのだ。さらに、水道の蛇口をひねるだけで清潔な水が出る、医療機 関は発達している。治安は良く、安心して帰ることができる街がある。私達は 生まれる前から守られているのだ。自分のしたいことができる、未来への希望 を持つことができる、自分の夢が持てる環境にある。私は幸せであるのだと実 感した。 これだけの恵まれた環境が存在するのは納税という制度があるからだと思う。 税と私達の生活は密接であるからこそ安心して暮らせる社会が成り立つのであ ろう。私が博物館で見た少年や少女達は私とは違い明日を心配しなくては生き ていけない。彼らにとって「明日」、 「明後日」 「未来」は絶対に迎えられると断 言できないものなのだ。もし、日本に税金を滞納する人が増えたら私たちの「あ たりまえ」の生活も一変するだろう。自分の興味があることを学び、自分の夢 に向かって努力をすることができるのも納税者がいるからだと痛感した。 税金を滞納する人が出て来る一つの理由には、税金が無駄に使われているか 否かについての人々の価値感の違いが挙げられると思う。税金の無駄か否かを 判断することはとても難しいことだ。だが、もし税金の使い道についての不満 があるならば無駄なく使われているかを判断するための正確な知識と無駄なく 使うための知恵を私たち納税者がまず身につけるべきだと思う。国民一人一人 が納めている大切な税金を納税者と国が協力しあって使い道を決めることが必 要だと思う。 私は日本のように世界中の子どもが未来へ希望を持って生きることができる ようになってほしいと願う。そして私の先の世代が豊かに暮らせるようきっち り納税していきたい。
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