蓮如岩の物語 益田清風高等学校 2年 二村 莉央 馬瀬村には昔、病気にかかってしまった人や貧しい人が多くいた。その中には、まだ4、 5歳の女の子がいた。彼女は不治の病にかかっていた。女の子の家は貧しく、お医者さん に診てもらうようなお金もなかった。女の子は日に日に弱っていき、寝たきりの生活が続 いていた。 そんなある日のこと。浄土真宗の教えを広めようと蓮如上人が馬瀬村に現れた。村人た ちは蓮如上人と話をしたり、食事をしたりして楽しく過ごした。しばらくの間、逗留した 蓮如上人が帰ると、またいつもの生活が始まった。 ある日、一人の村人が畑の横に奇妙な影の映った岩を見つけた。これは、あの蓮如上人 の影が映った岩だと思うようになり、村人達はその岩を見に行くようになった。 いつしか村人の間では、その岩に触ると幸せになれるという噂が広まっていった。実際、 触った村人の中には商売が繁盛したり、体調がよくなったりした人達がいた。そこで村人 達の勧めもあって、寝たきりになっていた女の子も親に背負われてその岩を見に行った。 すると治る気配のないくらい弱っていた女の子の病気は少しずつ治まっていき、昔の元 気だった頃と同じように自分の力で生活できるようになっていった。数ヵ月後には病気に かかっていたとは思えないくらいまで回復し、友達と毎日遊べるようになった。 このように、この岩のおかげで馬瀬村の人達にはいいことがたくさん起こるようになり、 村全体が明るくなっていった。そこで村人はその蓮如上人の影が映った岩を、幸せが訪れ る岩だと祀り、今でも大切に守り続けている。 (元になった話) 「蓮如岩」 黒石の和田家、現在の蓮光寺で蓮如上 人が布教され、逗留されて、村の人が見 送りした帰り、林の間から念仏の声が聞 こえて探してみると、谷の傍らに蓮如上 人の影が写った岩があった。 そして、村の人達がもったいないと言 い合い、その岩をまつった。 蓮如岩(下呂市馬瀬) 【参考資料】 ・郷土資料編集委員会. 『馬瀬村の古里の話』 .2004 年..
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