城島五穂先生:N Engl J Med 2015; 372:803-813 DOI: 10.1056/NEJMoa1414850 ピーナッツをもってピーナッツアレルギーを制す Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy” 【背景】イスラエルと英国に住むユダヤ人の幼児では英国の方がピーナツアレルギーの子どもの割 合が高く、幼いうちからピーナツを食べさせるイスラエルの食習慣がアレルギーを抑制している可 能性があります。また、ピーナッツのようなアナフィラキシーリスクのある食物アレルギーではこ れまで、除去食が、一般的な治療法でしたが、最近はあえて抗原となる食事を摂り続ける食事負荷 治療も進んでいます。 【方法】今回、重症湿疹や卵アレルギーなどのアレルギー素因を持つ乳児 640 例を,生後 60 ヵ月 まで,ピーナッツを摂取する食事負荷群と,摂取を回避する除去食群に無作為に割り付け、主要評 価項目は,生後 60 ヵ月の時点でピーナッツアレルギーを有する参加者の割合を評価した。参加者 は生後 4 ヵ月以上 11 ヵ月未満に、ピーナッツ抽出物のプリックテストで、反応あり(直径 1∼4 mm の膨疹)と反応なしのコホートに層別化し、各コホートで独立に評価した. 【結果】プリックテスト反応なしコホートの 530 例では,ピーナッツアレルギー有病率は,除去食 群 13.7%,食事負荷群 1.9%であった(P<0.001).反応ありコホートの 98 例でも,有病率は,除 去食群 35.3%,食事群 10.6%であった(P=0.004).重篤な有害事象の発現率に群間で有意差は認 められなかった.食事負荷群では、ピーナッツ特異的 IgG4 抗体価の上昇し、除去食群ではピーナ ッツ特異的 IgE 抗体価の上昇しており、ピーナッツ特異的 IgG4/IgE 比がより小さいことが,ピー ナッツアレルギーの発症に関連した. 【結論】このように、リスクが高い児では、ピーナッツの早期摂取により,アレルギーの発症頻度 は有意に低下するようです。ちなみに、日本の子供の食物アレルギーの頻度は 40%まで増加してお り、食物アレルギーも、まさに国民病といえそうです。アレルゲンを抜くべきか、与えるべきかで、 悩むお母さんのためにも、根治治療の確立が望まれます。。 (文責 阿比留)
© Copyright 2025 ExpyDoc