第 23 回卒後教育セミナー IgG4 関連呼吸器疾患の臨床 山本 洋 信州

第 23 回卒後教育セミナー
IgG4 関連呼吸器疾患の臨床
山本 洋
信州大学学術研究院医学系医学部内科学第一教室
胸郭外病変を呈した IgG4 関連呼吸器疾患
(IgG4-related respiratory disease:IgG4-RRD)
症例の詳細な臨床・病理・画像的検討に基づいて、2015 年に IgG4-RRD の診断基準が提案さ
れた。
この診断基準では血清 IgG4>135mg/dL、病変組織中の IgG4 陽性細胞の浸潤(IgG4 陽性
細胞数>10/HPF、かつ IgG4/IgG >40%)に加え、包括診断基準 2011 よりも詳細な画像、病
理所見が記載された。すなわち、胸部 CT で肺門~縦隔リンパ節腫大、気管支壁/気管支血
管束の肥厚、小葉間隔壁の肥厚、結節影、浸潤影、胸膜病変のいずれかがみられ、病理学
的に広義間質へのリンパ球、形質細胞の浸潤があり、本症に特徴的な所見(閉塞性静脈炎、
閉塞性動脈炎、花筵様線維化)が認められることを診断項目としている。
臨床的に本症との鑑別が問題になるのは、CT 所見が類似する sarcoidosis、病変組織に
IgG4 陽性細胞の浸潤がみられる Multicentric Castleman’s disease(MCD)
、Inflammatory
myofibroblastic tumor(IMT)
、Lymphomatoid granulomatosis(LYG)、肺癌、間質性肺炎
などである。
本講演ではこの診断基準が作成された経緯と、本症と鑑別を要する疾患について自験例
を交えて概説する。