著作権侵害と詐欺被害回避支援システム

梶浦研究室−1
著作権侵害と詐欺被害回避支援システム
梶浦研究室
E06C075
藤田 博章
1.
はじめに
インターネットや携帯電話の普及に伴って、小中学生でも簡単にネットワークにアクセスでき
るようになった。それにともなって、知らずに著作権を侵害したり、ネット被害に遭う危険も増
加した。現在では子供達も最低限著作権やネット詐欺などについて知っておく必要があると思わ
れる。そこで、著作権やネット被害について楽しみながら学ぶことができる学習支援システムを
開発した。以下では、現在の著作権および詐欺の現状、システム概要、評価について述べる。
2.
現在の著作権および詐欺の現状
現在ではビデオ、CD、本などの著作物が簡単に複製できる世の中になり、著作権が簡単に侵
害されるようになった。これらの著作物は著作権法と言う法律で守られているが、これを中学校、
高等学校の授業ではほとんど取り扱っていないのが現状である。平成15年度から高等学校では
教科「情報」が新設された。しかし、情報の教科は週2時間しかなく、細かく指導することができ
ない。特に著作権は法律の専門家が居ないため十分に指導することができない。よって、中学生、
高校生、大学生の多くは著作権の知識に乏しく、知らないうちに著作権を侵害してしまうことが
多いと考えられる。また、最近、フィッシング詐欺や振り込め詐欺(オレオレ詐欺など)が社会
問題となっている。フィッシング詐欺とは金融機関などを装ったメールをユーザに送りつけ、本
物に似たウェブサイトに個人情報(クレジットカード番号など)を登録させ、それを悪用する詐
欺である。近年その被害は深刻である。振り込め詐欺とは警察官などを装い、交通事故を起こし
たので示談金が必要などと言う名目でその日のうちに口座に振り込ませようとする詐欺である。
本システムで著作権や詐欺に関する問題を解くことで、被害に遭わないように必要な知識を身に
つけることができる。
図1
実行画面例
116
2004 年度ソフトウエア学科卒論発表会予稿集
3.システムの概要
本システムはコンピュータとプレーヤーの対戦ゲームの形式で、楽しみながら著作権やネット
被害について学ぶことができる学習支援システムである。ゲームの概要は次の通りである。
(1)
2∼4 択の著作権および詐欺に関する問題をコンピュータ(COM)とプレーヤー(USER)の早押し
で競う。(2)問題に正解すると、5×5 の 25 枚のパネル(パネルクイズ・アタック 25 という TV
番組で使用されている5×5のパネルを利用した)を一枚取ることができる。
(3)多くのパネル
を獲得した方が勝ちとなる。
図 1 に、実行中の画面を示す。図 1 は、コンピュータが問題に正解して、取るパネルを選んで
いるところである。パネルの取り方は次の通りである。(1)最初は 13 番(中央のパネル)しか取
ることができない。
(2)相手のパネルを挟める場合は、挟める位置のパネルを取らなければなら
ない。
(3)挟むことができない場合は、それまでに取られているパネルに(上下、左右、斜めに)
隣接したパネルを取ることができる。相手のパネルを挟むと、自分のパネルにすることができる。
本システムの開発には、Macromedia Flash MX version6.0 を使用した。システムのサイズは、
fla ファイルが 875KB、swf ファイルが 113KB、アクションスクリプトの行数が約 182、シンボル
の個数が 137 である。
4.評価
コンピュータ情報学科3年生とソフトウエア学科4年生の計8人に試用してもらい、無記名式
アンケート調査を行った。
質問は5問あり、そのうち 4 問は 5 段階の選択肢の中から 1 つを選んでもらう形式であり、残
りの1問は記述式である。図2にそれらのうちの 1 問(詐欺について理解できたか?)に対する回
答をグラフにして示す。 図2のように、8名中5名(62.5%)が「理解できた」または「やや理
解できた」と回答している。
これ以外の質問についても、「著作権について理解できたか?」という質問に対しては、「やや
理解できた」が 75%、
「この
ゲームはいかがでした
理解
か?」という質問に対して
どちらとも
できた1
言えない3
は、
「面白い」
「やや面白い」
の回答が 50%と肯定的な回
答が目立った。しかし、
「操
作は分かりやすかった
か?」という質問に対して
やや理解
は、
「やや分かりにくい」
「わ
できた4
かりにくい」という回答が
62.5%を占め、操作性に改善
の余地があることが分かっ
図 2 詐欺について理解できたか
た。
5.おわりに
本研究では、現在、社会問題となっている、著作権侵害や詐欺(振り込め詐欺など)の問題をゲ
ーム形式で楽しく学び、かつ必要な知識を身につけられるシステムを開発した。今後の課題は、
コンピュータが答えたら100%正解するので問題の難易度によってコンピュータの正答率を変
化させるようにしたい。
参考文献
[1]岡本将来.甲斐千尋:著作権を楽しく学ぶ学習支援システム,倉敷芸術科学大学ソフトウエア
学科卒業研究論文(2003)
[2]詐欺被害ゼロ運動「サギゼロ」,http://sagi-0.bne.jp/pc/
[3]著作権のひろば,http://cozylaw.com/copy.html
117