生産性だけではない 学ぶことの意義 厚生労働省が 2016年4月の実施をめざす労働基準法改正案。 対象者の条件はあるものの「残業代ゼロ」になるとの批判もあり、 「サービス残業が増えるだけでは」と嘆くビジネスパーソンも少 なくない。そんな人たちは、とにもかくにも効率良く、生産性を 上げる働き方をするよりほかはない。もちろん、企業にとっても 「生産性向上」は大きな課題である。 とはいえ、いかにして生産性を上げたらよいのだろうか。日 本能率協会の『ビジネスパーソン1000人調査』※1 では「仕事 の生産性を上げるために、あなた自身ではどのようなことがで きると思いますか」と聞いている。選択肢の中から一番多く選 約 4 時間 1 週間のうちに自主的な学習に 費やす時間を平均すると?※2 ばれたのは、 「新しい知識・技能を学ぶ」 (32.7%)であった。 以下、 「仕事の優先順位を見直す」 (29.8%) 、 「健康を維持・向 上する」 (25.6%)と続く。 新しい知識や技術を学んで生産性向上につなげようという姿 勢は、いかにも勤勉といわれる日本人らしい。最近は無料オン ラインサイトも豊富で、ワードの使い方からビジネスモデル構築 入門、自己啓発など幅広いテーマが並び、学びへの意欲のある 人にとってはいくらでも学べる恵まれた環境にあるといえよう。 一方、リクルートマネジメントソリューションズの調査※2 によ ると、 「自主的な学習に取り組んでいない」人が多数派という結 果が出ている。 「現在あなたが自主的に行っている『学び』のテー マはどれですか」という質問に対して、新人(入社1年目)の約 5割、若手(入社 4 年目)の6割、中堅(入社7年目)の7割が、 「特に取り組んでいることはない」と回答しているのである。そ の理由は、年代ごとに傾向が異なり、新人は「日々の仕事が忙 しくて『学び』のための時間が取れない」が多く、若手や中堅 は「関心のある『学び』のテーマがない」の選択率が新人に比 べ高いのが特徴だ。関心あるテーマがないというのは少々さび しい。またこの調査では、 「管理職」層に聞いていないので管理 者の姿はわからないが、上に立つ人ほど学びの姿勢を部下に示 していかなくてはならない。 そもそも学びとは、仕事に役立つのはもちろん、人生を豊かに してくれるもの。老いも若きも好奇心を失わずに関心のあるテー マを見つけて、学びつづけていきたいものである。 出所:※1 一 般社団法人日本能率協会『第 4 回「ビジネスパーソン 1000 人調査」 』 (2015 年 1月) ※2 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ『学習・キャ リアに関する調査』 (2014 年 3月) JMA マネジメント 2015.4 1
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