内容見本 畑地編(p.206

ギシギシ
ナガバギシギシ
羊蹄
− タデ科 ギシギシ属
Rumex japonicus Houtt.
dock, curly タデ科 ギシギシ属
Rumex crispus L.
多年生(冬生)
繁殖器官
種子(2.0g)
種子散布
重力
5〜8月
草 丈
腰〜胸
根
畦畔,道ばた,河原,畑地,牧草地など,湿った土地に生育す
る。太い直根の断片からも萌芽し,しばしば畑地の内部にも
侵入する。
dock, broadleaf
Rumex obtusifolius L.
分 布
全国
生活史
多年生(冬生)
出 芽
3〜6月,9〜11月
繁殖器官
種子(1.5g)
種子散布
重力
花 期
4〜7月
草 丈
腰〜頭
根
1891 年ごろに侵入が確認されている。空き地や道ばた,河
原,土手や草地,樹園地に生育する。在来のギシギシに酷似
し,混生地では中間型がしばしば見られる。また,ノダイオ
ウやマダイオウとの交雑も生じている。
ギシギシ。左:子葉は披針形,多肉質で無毛。基部は淡紅色。第 1 葉は淡緑色で広卵形
〜広楕円形で先は鈍い。第 2 葉も同形。中左:葉は互生,第 3 葉以降,縁がやや波打ち,
長柄となる。無毛で赤みを帯びる。中右:葉身はしだいに楕円形から長楕円形となり,
縁は波打ち,柄は長い。右:越冬個体。根生葉は長楕円形で,基部は円形または心形。葉
の縁は波打つ。根は黄色で太い。
ナガバギシギシ。左:子葉は披針形,多肉質で無毛。基部は淡紅色。第 1 葉は淡緑色で狭卵形,先
は鈍く,無毛。中左:葉は互生。幼植物の葉は狭卵形〜長楕円形で,長柄がある。無毛で縁はやや
波打つ。中右:根生葉は長楕円形で,長さ 10〜30 cm。基部は広く,くさび形〜切形で,縁は著
しく波状となる。右:茎葉は短柄があり,茎上部の葉は小型となり,苞葉に移行する。直立した茎
の上部に円錐状の花序をつくり,多数の淡緑色の花を輪生する。
内花被片 3 枚は花後発達し
て 円 心 形 と な り,長 さ 4 〜
5 mm。縁に細かい波状の歯
があり,3 枚の花被片とも,中
肋の基部が肥大して瘤状とな
る。
ギシギシ。茎上部の葉は短柄で小型。
直立した茎に,多数の淡緑色の花を
輪生して穂状につける。花被片 6 枚
で雄ずい 6 本,花柱 3 本。果実はは
じめ緑色で,のち白っぽくなる。
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ナガバギシギシ。左:花被片 6枚で雄ずい 6本,花柱 3本。内花被片 3枚は
花後発達して円心形となり,長さ 4〜5mm。縁はほぼ全縁。果実はのちに
赤く染まることが多い。右:3 枚の花被片のうち,1 枚で特に瘤が発達する。
そう果。左:ギシギシ。3
稜形で先が尖る。茶褐色
で光沢があり,長さ 2 . 2
〜2 . 7 mm。右:ナガバ
ギシギシ。3 稜形で先が
尖る。褐色で光沢がある。
アレチギシギシ
タデ科 ギシギシ属
荒地羊蹄 dock, cluster タデ科 ギシギシ属
Rumex conglomeratus Murray
分 布
北海道〜九州
生活史
多年生(冬生)
出 芽
3〜6月,9〜11月
繁殖器官
種子(950mg)
種子散布
重力
花 期
5〜9月
草 丈
腰〜胸
根
明治中期に侵入した。湿った空き地,道ばた,河原などに生
育し,太い直根から萌芽,再生するため,畑地,牧草地では強
害草。在来のギシギシ属との交雑が生じている。
[ヨーロッパ]
生活史
3〜6月,9〜11月
蝦夷の羊蹄
[ヨーロッパ]
全国
[ユーラシア]
[在来]
分 布
出 芽
花 期
エゾノギシギシ
長葉羊蹄
分 布
全国
生活史
多年生(冬生)
出 芽
3〜6月,9〜11月
繁殖器官
種子(1.1g)
種子散布
重力
花 期
5〜7月
草 丈
膝〜胸
根
1905 年に横浜市で侵入が確認された。ほぼ全国の道ばた,
空き地などに生育し,都市域に多い。
エゾノギシギシ。左:子葉は披針形,多肉質で無毛。第 1〜3 葉は広卵形で先は円い。中左:葉は互生,
第 2〜4 葉の葉身は広卵形〜卵形で,基部は切形〜心形。葉脈は赤みを帯び,支脈はくぼむ。縁は細
かく波打つ。中右:越冬個体。根生葉は大型で卵状楕円形。茎や葉柄,葉の中脈が赤身を帯びること
が多い。他のギシギシ類に比べて葉身の幅が広い。右:茎は直立。茎葉は柄が短く,先が尖る。
アレチギシギシ。左:子葉は披針形,多肉質で無毛。第1葉は円形〜広卵形で,基部は切形,先は円い。
中左:幼植物は全体紫紅色を帯び,赤紫色の斑点が生じる。葉柄は長く,葉身は無毛。中右:葉は互生し,
しだいに狭卵形〜長楕円形となり,基部は切形〜心形,縁はやや波打ち,紫紅色を帯びる。右:越冬個体。
根生葉はやや薄く,長い柄があり,長楕円形で基部は浅い心形,先は鈍い。葉脈は紫紅色を帯びる。
アレチギシギシ。左:茎は直立し,
枝は開出する。花時には根生葉はな
い。茎葉は短柄。茎上部の穂状の花
序に,まばらに花を輪生する。上:
果時の内花被片は狭卵形で全縁,長
さ 2 . 5〜3 mm。中肋の基部は 3 枚
とも瘤状に膨れ,赤褐色で目立つ。
エゾノギシギシ。上:茎の先に長い
円錐状の花穂を出し,細い花柄を
もつ花が多数輪生する。右上:内花
被片は卵形で長さ約4 mm,縁は刺
状。内花被片 1 枚の中肋が瘤状に
膨れ,赤褐色を帯びる。右下:直根
は肥大し,地際から多数の地上茎
を萌芽する。断片からも萌芽する。
そう果。左:エゾノギシギシ。3 稜形で先が尖る。褐色で光沢がある。長さ約
2.5mm。右:アレチギシギシ。3 稜形で先が尖り黒褐色で長さ約 1.5mm。
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