内容見本 水田編(p.36

コウキヤガラ
ウキヤガラ
小浮き矢柄
カヤツリグサ科 ウキヤガラ属
bulrush, cosmopolitan
Bolboschoenus koshevnikovii (Litv. ex Zinger) A. E. Kozhevn.
浮き矢柄 bulrush, river カヤツリグサ科 ウキヤガラ属
Bolboschoenus fluviatilis (Torr.) Soják subsp. yagara (Ohwi) T. Koyama
全国
生活史
多年生(夏生)
分 布
北海道〜九州
生活史
多年生(夏生)
出 芽
4〜7月
繁殖器官
種子(3.5g)
出 芽
4〜7月
繁殖器官
種子(3.6〜8.5g)
花 期
5〜9月
花 期
5〜9月
草 丈
膝〜腰
草 丈
腰〜胸
[在来]
[在来]
分 布
塊茎,根茎
種子散布
重力,水
海岸近い低地の湿地や水田に生育し,干拓地の水田に多く,強害草
となる。通常,塊茎で増殖する。
塊茎,根茎
種子散布
重力,水
池沼の周辺や湿地などに生育し,水田にも入り込む。主に地下茎で
増殖する。コウキヤガラに比べて大型で,水田には少ない。
コウキヤガラ(左)とウキヤガラ(右)
。コウキヤガラはウ
キヤガラに比べて小型で,葉身が鋭角に立つ。
生育初期。茎は直立し,三角形。ミズガヤツリに似るが,
葉身と葉鞘の区別が明らかで,葉身の先はやや内側を向
く。
上:塊茎から萌芽したコウキヤガラ。湛水
状態〜畑状態で萌芽する。右:萌芽した塊
茎。出芽可能深度は約15cm。
左:葉は茎の基部に少数つ
き,葉身は扁平で長さ 10
〜 40 cm。上 部 の 葉 は 茎
より長い。分株を出して増
殖する。上:茎の頂部に 3
〜6 個の小穂をつける。花
序枝を出す小穂と出さない
小穂とがある。小穂は卵状
楕円形,長さ 8〜15 mm。
苞葉は通常 2〜3 枚で花序
コウキヤガラ開花期。高さ 1mに達する。
より長い。
コウキヤガラの塊
茎。直径約 2 cm の
球形で,硬い突起を
持つ。水田では地表
下 10 cm 以内に多
く形成され,土壌中
では約 5 年生存で
きる。
36
そう果。広倒卵形でレンズ状,光沢がある。長さ 3.5〜4mm。
左:塊茎から萌芽したウキヤガラ。初生葉と第 1 葉。中:生育初期。茎は三角形,平滑で径約 1 cm。葉は線形で先が尖り,緑色で質が硬い。葉の
基部は葉鞘となって茎を包む。右:葉は茎より長く,しだいに細くなって先が尖る。
ウキヤガラ。上:茎先の 2〜4 枚の苞葉
から,5〜8 本の花柄を出す。下:小穂は
褐色で狭卵形,長さ 8〜20mm。
水田畦畔際の地下部から萌芽したウキヤガ
ラ。コウキヤガラと比べ大型で,葉身は光
沢があり,開いて垂れる。
水田に群生するウキヤガラ。横走する根茎から多数の地
上部を抽出する。
肥大した株基部と根茎
で連結した塊茎。初期に
形成された塊茎はすぐ
に萌芽し分株化する。分
株は地上部が枯れ始め
ると株基部が肥大し塊
茎化する。生育後期の匐
枝の先端は分株化せず
直接塊茎を形成する。
ウキヤガラ。左:塊茎,直径 3〜4 cm。右:そう果。倒卵
形で 3 稜があり,長さ約 3mm。先端は嘴状に尖る。
37