SURE: Shizuoka University REpository

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IC 日本における生態系と生態観 (『人間と地球環境』研
究報告 : 環境変動と生態系・人間(生活)への影響)
佐藤, 洋一郎
静岡大学学内特別研究報告. 2, p. 28-29
2000-03
http://doi.org/10.14945/00008230
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IC
日本 にお ける生態 系 と生 態観
佐藤洋 一 郎
お よそ この 世 の す べ ての も の が そ うで あ
ける第 2の 問題 意識 で ある。
る よ うに、環境 に もま た歴 史 が あ る。未来 の
通常 自然科 学者 た ちは フ ァ ジー な状態 や
環境 を論 じよ うとす る時 、環境 の過 去につい
フ ァ ジー な も の の解析 をいや が る傾 向に あ
て無 頓着 であ つて よい はずはな い。ヒ トがま
る。だが環境や 生 態系に起 きる現象 の多 くは
だ 狩 りと採 集 に依 存 しそれ 自身 が 生 態系 を
複数 の要因 が 関与す るフ ァ ジー な現象 で あ
構 成 す るひ とつ の 種 に過 ぎな か つ た時代 の
り、従来 の分析 一 辺倒 のや り方では説明不可
「環境」と、数十億 もの ヒ トが地球 のすみず
能である。環境 を巡 る問題 で最近話題 にな り
つつ ある こ う した 「フ ァジー 」な問題 のい く
み に まで人 工 物 を撒 き散 らす よ うになった
現 在 の 「環境 Jが 異な るのはあ ま りに 自明 の
こ とである。環境 が時間 とともに ど う変化す
つ か を ご紹介 す るのが この班 の研 究 の第 3
の 目的である。
る のか。特に最近 の 2つ か 3つ の ミ レニ ア ム
に お ける環境 の変化一
第 1の 目的、つ ま り環境 の変遷 は、佐藤 (農
私 た ち の 班 で扱 つ
た 問題 のひ とつ は 、こ うした意 味 で の環境 の
学部 =遺 伝学 )、 滝沢 (人 文学 部 =考 古学)、
変遷 である。
小和 田 (教 育学部 =歴 史学 )の 3名 が あた つ
と ころで環境 とは何 だろ うか。環境 とい う
た。 3名 は 、異 な る時代 にお ける生態系の復
言 葉 は実にさまざまな意味 に使 われ 、使 う人
元またはそ の 考察 を試みた。とくに森を軸 に 、
に よつて そ の ニ ュ ア ンス はま っ た くとい っ
森や それ に 囲 まれ た 田や周 囲 の生 態 系 が ど
て よい ほ ど異 なる。私 たちの 「環境 」は、 こ
う変化 して い つ た かをそれ ぞれ の 時代 ご と
の プ ロ ジ ェ ク トの他 の班 とは少 し異 な つ た
に検証 した。
ニ ュ ア ンス を持 つて い る。私 た ち の班 でい う
第 2の 目的 、つ ま り数値化 の 問題 には 中谷
「環境」 は、「生 態系」 とほぼ同義 で ある。
(工 学部 =情 報 処理学 )力 `
あた った。生態 系
生 態 系 とはあ る空間 の なかで互 い に影響 を
の撹乱 が進む につ れ 、景観 に もある種 の変化
及 ぼ しあいなが ら生活す る生物 た ちがつ く
が起 きる。景観 を直線、曲線 、明度 の変化率
る社 会 を い う。 わた したちが扱 つ た問題 、
といつたパ ラメー タ (数 値 )に 置 き換 え、撹
「環境 と環境観 の変遷 」は、だ か ら、生態系
乱 が すすむ こ とで生 じるそれ らパ ラメー タ
の 変遷 とほぼ同義であ る。生態 系 にせ よこの
の 変化 に規則 性 が認 め られ るか といつた 解
意 味で の環境 にせ よ、扱 う対象 は極 めてフ ァ
析 を試みた。
ジー で抽象的 である。このファ ジーで抽象的
な も の を何か客観 的 な ことばで 記 述す る こ
3の 目的で あるフ ァ ジー 系 の解析 につ
いて 、中井 は植 物お よび植物 と 「共 同J(井
とは で きな い か 一
山、 1990)す る微生物 との関係 に着 日した。
これが私 た ち の 班 にお
第
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微 生物 の 中には植 物体 内に棲みつ き、空気 中
あ り、む しろ悠長で さえあるとの考 え もでき
の 窒 素 を 固定 して植 物 に可利用 な形 にす る
よ う。 しか し問題 の 「解決」を急 ぐあま りこ
ものがい る。こ うした微 生物 の存在 は最近 ま
とを性急 に運ぶ のが私たちの悪 い癖であり、
で知 られてい なか つたが、これ らを うま く使
こ うした癖が現在 の環境問題 をよ り深刻 に
うこ とで生態 系 にかか る負荷 を小 さ く した
してい るとい う面 が ないわけではない。そ う
農業 生 産 が 可能 にな る。 こ う した異 種 間 の
「協 業」の機構解 明 は今後 の大 きな研究課題
考えると、ここは じっ くりと「環境」を提え
であ り、そ の発展 が環境修復、環境保護 の分
思われ る。
野 に も待 ち望まれ る。
学長 プ ロジェ ク トのね らいのひ とつで あ
った学部横断 の班組織 で環境 とい う複合的
なおそ うとい う試 み が あつて もよい よ うに
3年 間 の研究では当初 の 目標 のす べ てが達
テーマ の研究にあたる とい う点では、私たち
成 され た とはいい がた く、未完成 の部分 も多
班員 にはよい経験であった。ここではその経
い。 また この研究 は、早急 に解 決 が 望 まれ る
験 をわず かで も大学や または社会に還元で
環境 問題 に取 り組 む の に あま りに遠 回 りで
きる ことを願 つて 、報告書を作成す る。
誕皐二
財紳
崎
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