オムロンHEM-9000AIでの測定方法の検討

オムロン HEM-9000AI での測定方法の検討
太田 千亜紀, 金城 民子, 根路銘 国政 琉球大学医学部附属病院検査部
【 背景 】 Augmentation Index(AI) と心血管疾患との関連が報告されているなか、従来
の測定方法に比べ、非侵襲的で、かつ簡便に測定できる検査器機が利用できるようになり、
疾患の早期発見のツールとして期待されている。しかし、簡便になったとはいえ、被検者
の動脈の検出にはばらつきが予想される。このような背景から今回、オムロン社製
HEM-9000AI 装置での測定信頼性を検討した。
【 目的 】
オムロン HEM-9000AI を用い、使用説明書に従った AI 測定における測定方
法の信頼度について検討した。
【対象および方法 】 連続 382 例(男性 190 例、女性 192 例)の測定について、検査測
定上の信頼度の指標として 1)橈骨動脈上センサーの位置、2)センサー押圧値、3)測定された
Augmentation Index 値のばらつき(AISD%)を解析した。センサー位置=中央、センサー押
圧<収縮期血圧、AISD%≦6%を信頼度の高い測定と判定した。
【 結果 】 382 例中、1 回目の測定で測定結果を得たのは 254 例
(66.5%)、
338 例
(88.5%)
が 2 回目までの測定で AI 値を得た。その中で、1回目に測定できなかった測定エラーで最
も多く発生したのは「センサー位置不適切」21 例で、測定 3 回目以降で測定値を得た症例
についても同様であった。AI 値の得られた症例でセンサーの測定位置が中央を外れていた
症例は 233 例(60.9%)
、測定押圧が収縮期血圧よりも高値を示した症例は 76 例(19.9%)、
AISD%値が 6%より大きい値を示したのは 18 例(3.6%)であった。センサー位置が中央、
押圧<収縮期血圧、AISD%≦6%、の 3 つの条件を満たした測定件数は 119 例(31.2%)で
あった。
【 考察 】
被検者の 88.5%が 2 回目までの測定で AI 値を得られ、簡便な手技で AI の測
定が可能と考えられた。しかし、AI 値の得られた症例のなかで高い信頼度の基準を満たし
た件数は 31.2%にとどまったため、測定実施の際には使用説明書を遵守し、信頼度の指標
をモニターしながら測定された値を採用するか否かを判断する必要があると考えられた。