「南シナ海での「米中対立」両国の本音は衝突回避」富坂 聰教授

プ司 司 -
ゐ聴
川
x板 寸
4
富
汁
日
南シナ海での﹁米中対立﹂
両国の本音は衝突回避
南シナ海で の岩礁 埋め 立 てを めぐり、米中間 で 批判 の応酬が続いている。
日本の報道では正面衝突の構図が強調されているが 、現実とずれていないか。
A
め立てを話題にした。これに対し、
会談相手の玉毅外相は記者会見で、
﹁わが同の主権と領土の 保全を守る
中同の決意は、岩のように強固で揺
るぎないものだ﹂と反発してみせた。
続いてアシユトン ・カ1 タl米国
防長官が5月幻日にハワイで、中国
が南シナ海で進める埋め立てを速や
かに中止するよう中国に求めたこと
が伝わり、中国は再び強く反発した。
論戦は5月白日から6凡2Hまで
シンガポールで聞かれたアジア安全
保障会議(シヤングリラ・ダイアロ
ーグ)にも引き継がれ、中国から派
遣された人民解放箪の孫建同副総参
謀長が﹁中国の主権の範囲内の問題
だ﹂と、中国がこれまで行ってきた
主張を繰り返した。同時に﹁軍事防
衛の必要を満たすため﹂と箪事目的
そのことが日本ではクローズア ッ
であることを明言した。
米同が、巾困による南シナ海での岩
むしろその逆である。ケリ1国務
プされているが、実は中国から発信
長官の訪中時のCCTV(国営テレ
礁埋め立ての実状を写真で公開した
国が領海と見なす海域に艦船を派遣
進んだ﹂、﹁南シナ海問題で特定の立
される情報を見ると﹁米中対立﹂を
する意思も示した。これを受け、日
場を取らないと(ケリl国務長官が)
ことだ。また米国は中国が埋め立て
本メディアは米中が南シナ海で。一
触即発。と騒ぎ立てている。
南シナ海の空と海で緊張が高まる
明一プ一目した﹂とい ったことが要点とし
強調するトlンでは決してない 。
のと同時に、外交面での来制合戦も
てピ ック アップされているのだ。
の中国訪問時、南シナ海での岩礁埋
ン・ケリl国務長官は5月日日から
・ダイアローグでしたことも、同
フ
一
じ文脈で理解できる。
記者会見に臨んだ国防部報道官は、
また中国の国防白書発表に際して
非難されるのか﹂とい、?王張を続け
と両国関係のベ lスは揺らいでいな
﹁中米関係は基本的に安定している﹂
たが、数日後のシヤングリラ・ダイ
め立ての即時中止を求める内容だっ
も、ハワイでは中国を名指しして埋
たとえば、ヵl タl長官の発言
が、中国はこれがこめ海域を航行す
たとえば、岩礁での灯台の建設だ
は行動にも示されている。
応じるとの姿勢は明確だ。そのこと
せているが、米国との話し合いには
出すな﹂と言わんばかりの対応を見
中国側は表向き、﹁部外者が口を
の国際情勢を国民に伝えているとい
が強調されている。はたして、本当
の報道では、米中対決の危倶ばかり
力には触れないまま、日本メディア
てきていたのだ。
いことを強調している。これは中国
アロ ーグでは﹁あらゆる国﹂への呼
排除できない 。ただ、それを前提と
海域で思わぬ衝突が起きる可能性は
艦船の派遣まで公言した以上、この
米国が南シナ海で偵察を強化し、
は(周辺国で)4番目﹂となり、﹁エ
の論理でいえば、﹁飛行場を造るの
という意識を強く持ってきた。彼ら
て
、 中国は﹁南シナ海で出遅れた﹂
方的な現状変更と見なすのに対し
西側が岩礁埋め立てを中国による一
も不満を募らせてきた部分である。
これは、南シナ海問題で中国が最
について﹁自由航行の妨げにはなっ
あることは間違いない 。中国の行動
の価値観に歩み寄ろ、?という姿勢が
が、少なくとも中国と対立する米国
狙いは既成事実化 の推進にある。だ
もちろん、中国のこうした行為の
学文化機関)に毎月送ってもいる。
検査の結果をユネスコ(国連教育科
また海洋調査と称して、海水の水質
えるのだろうか。圃
の国防関係者が頻繁に口にする表現
びかけに修正している。
しても米中には、それぞれ問題を先
ネルギー開発で海底にドリルを入れ
る船の安全に寄与するとしている。
で、シヤングリラ・ダイアロ ーグで
鋭化させない調整能力が備わってい
米中とも強気の裏で
歩み寄りを模索
も繰り返して使われた。
衝突の回避に向けた米中の修正能
つまり、﹁なぜ中国の行動だけが
ビ)の報道では﹁中米両国の理解が
激しさを増している。 米国のジョ
を行っている岩礁からロ守内の、中
屯羽 シナ海で、再び米中の緊張が
とみさか・さとし. 1
!
1
6
4
u
r 高まりつつある。きっかけは
一
年生まれ。北京大学に
留学後、中国報道に従
事。拓殖大学教授。
ていない﹂との主張をシヤングリ
¥ イ 国際的には効力が疑問視される
106
2015.
6.20 週刊東洋経済
週刊東洋経済 2015.6.20
107
口
るのは501番目﹂となる。
九段線
。 中国が南シナ海の領有権を
主張するために設定した9本 の境界
、
f
h
.
t
.
ると考えられる。
九段銭
¥
戻褒司1
、
f
CHINAWATCH
・
・
・
・
・
・