温泉と人間 ~温泉がもたらす恩恵を探る~ 第1章 はじめに 第2章 研究

温泉と人間
~温泉がもたらす恩恵を探る~
所属:地球科学ゼミ
1年8組5番
新井
陸斗
第1章 はじめに
第1節
テーマ設定の理由
私たちは普段あまり考えないかもしれないが、世界から見れば日本は有数の温泉保有
国である。そして、私たちの住むこの群馬県は日本の中でも有数の温泉保有県なのであ
る。前高のある前橋市は群馬県の県庁所在地であるが、JR前橋駅を出て数分歩けば、
温泉にたどりつく。そう、私たちの身近にはたくさんの温泉があるのだ。私はもちろん
温泉に入ることが好きなのだが、好きになったきっかけは、中学のときに、5,6人の
友達に誘われて行ったことだった。今でもたまにその友達と行くこともある。 温泉と言
うと、お年寄りが多く、若い人たちが入っているイメージがあまりないかもしれない。
しかし、私たちの中にも温泉が好きなひとがたくさんいるのではないか?だが、入るの
は好きでも、忙しくて行けない人も多いだろう。そこで、自分自身が温泉について深く
知るため、そして、皆に温泉のことや魅力を知ってほしい、行ってみたいと感じてもら
いたいと思い、テーマを設定した。
第2節
研究のねらい
温泉とはどういうものか、歴史や人体への効能を知り、温泉の魅力を発見する。
第3節
第1項
研究内容と方法
研究の内容
温泉の成り立ち、歴史や海外の温泉事情、温泉がもたらす人体への効能など。
第2項
研究の方法
本やインターネットサイトを活用し、自分の意見や考察を加えた。
第2章
研究の展開
温泉の成り立ちや歴史について研究した後、温泉の様々な効能を紹介していく。
第1節
温泉とは
温泉とは温度が高いものというイメージがあるが、日本の温泉法というものの定義で
は温泉とは必ずしも水の温度が高くないといけないわけでなく、泉温25℃以上で特定
の物質が含まれているものが温泉である。
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第2節
温泉の湧出の仕組み
このように、日本には数多くの温泉があることがわかるが、火山の付近に温泉が集中
しているように見える。しかし、温泉が湧出する方法としては主に2種類がある。1つ
は火山が関わって湧出する温泉と、火山とは関係なく湧出する温泉だ。
第1項
火山が関わる温泉湧出の仕組み
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火山の地下数㎞から十数㎞の所にはマグマだまりが存在している。 マグマだまりに
は高温(およそ 800℃~1200℃)のマグマや、マグマから分離した高温の熱水や高温
高圧の火山ガス、水蒸気などが含まれていて、断層のような割れ目などの弱い部分を
伝って常に地上へ出ようとしている。
地下の帯水層と呼ばれる水を蓄えやすい地層や、岩石中に存在する断層などのさ まざ
まな割れ目には、雨水などがしみ込んでできた地下水がたまっていく 。マグマだまり
の中の高温の熱水や火山ガスなどが帯水層や割れ目の中の地下水に接触すると、熱水
や火山ガスから熱や様々な含有成分が地下水の中に置き換わり、高温の温泉水ができ
あがる。
高温の温泉水は地下水などに比べると軽いため、断層などの割れ目を通って上の方へ
上がっていく。ちょうどコンロで温められている鍋の中の水が対流を引き起こすよう
に、マグマの熱源により地下で水の対流が起こる。したがって、断層などの割れ目が
たまたま地上までつながっていれば、温泉水は地上に自然湧出する ことになる。また、
地下の“温泉水”を蓄える割れ目までボーリング(筒状の穴をほること)をすれば、
地下深くから高温の温泉水を得ることができる場合もありうる。
第2項
火山以外の温泉湧出の仕組み
一般的に、地下へ 100m 深くなると温度がおおよそ3℃(平均値)高くなるという。
これを地下増温率又は地温勾配と言う。新しく誕生する非火山性の温泉のほとんどが
この地下増温率によるもので、多くの温泉は 1500m 前後掘削して、地下深くに貯えら
れている地下増温率によって温められた温泉水(深層熱水)をくみ出している 。
ただし、どこでも掘削すれば高温の深層熱水が得られるかというとそうでもなく、
地下に豊富な地下水が貯えられていることが不可欠である。
上図のように、100m 深くなる毎に温度が約3℃上昇するので、1500m 前後掘れば理論
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的には地上での水温+45℃ぐらい高温の温泉が期待できそうである。しかし、深層
熱水が地上まで上がってくるうちに温度が低下するので、42℃以上の高温泉が湧出
する例はそれほど多くはない。
第3節
温泉の歴史
温泉は一体いつごろから日本人に利用され始めたのだろうか。私は今まで室町時代や
戦国時代あたりからだと思っていた。(武将たちが利用していたと思っていたため)し
かし、実際はなんと、石器時代から利用された痕跡があるらしい。 古代の人たちは温泉
の効能を実感しており、それが信仰の対象にもなっていたらしい。 初めて温泉利用が文
献資料に登場するのは 、奈良時代の「古事記」や「日本書紀」 であり、いずれにせよ、
自分の考えよりも遥かに昔から温泉が日本人に利用されていたことがわかる。 例えば、
私たちの住む群馬県にある草津温泉は、先ほど挙げられた書物の文中で、日本武尊(ヤ
マトタケルノミコト)が東方遠征の際、草津に立ち寄って傷を癒したと記されている。
もう少し時代が進んで戦国時代では、温泉は戦国武将たちに利用されることとなる。中
でも一番有名なのは武田信玄の「隠し湯」だろう。彼は温泉の効能に目をつけ、甲斐(現:
山梨県)で温泉を利用し、ストレスを解消し、戦の英気を養っていたとされる。昔の温
泉利用は現代の温泉利用よりも重要で、生死を左右する 、戦の勝敗を分けるとして大変
重宝されており、温泉の重要性が伺える。
第4節
温泉の効能
さて、ここからが本題である。温泉はよく体に良いと言われ、体の疲れがとれるなど
といった印象を受けるが、いったいそれはなぜなのか。まず、温泉の中の成分が体に刺
激を与え、その刺激が結果として体に良い効果をもたらすことである。実はそれだけが
温泉の効能ではなく、第二の理由が温泉の転地効果である。日常生活とは異なった温泉
地の豊かな自然環境に身を置くことで、日常のストレスやしがらみから解放される。そ
の結果、心がリフレッシュされ、身体の健康を生むというわけだ。これらが伴って「温
泉の効能」を生むのである。しかし、 一言で温泉と言っても、たくさんの種類があり、
それぞれ効能も違う。そこで、温泉の一部の種類を紹介していき、色々な効能を発表し
ていこうと思う。
第1項
単純温泉
単純温泉だから単純な温泉というわけではなく、含まれている成分がうすい温泉の
ことを指す。日本に多い名湯は、この単純温泉が多く、日本の源泉数のうちの約三分
の一を占める。代表的な温泉地としては、箱根湯本(神奈川県)や湯布院(大分)が
ある。成分がうすいからダメということでは決してない。単純温泉は一般に身体に対
しての刺激が少なく入り心地が良くて、負担が軽いのが長所である。高齢者にも優し
く、骨折、外傷後の療養や手術後の静養に良いとされる。透明の温泉が多い。
第2項
塩類泉
名前の通り食塩を多く含む温泉のことを指す。これも単純温泉と同様、日本に多い
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温泉。代表的な温泉地は四万温泉(群馬県)や熱海(静岡県)。この温泉は入浴後皮膚
に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐため、保温効果が高くより身体が温まりやすい。高
齢者に優しく、筋肉痛・関節痛や冷え性に効き、打撲や捻挫などの広範囲に渡っての
効果がある。
第3項
炭酸水素塩泉
別名重曹泉といい、入浴すると皮膚の表面が軟化する。そのため、皮膚病の治療に
も利用される。また、皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流すため、石鹸のように皮
膚を清浄にする。したがって、皮膚の表面からの水分の発散が盛んとなり、体温が放
散されて爽快感も味わうことができる。この温泉は皮膚を滑らかにするので「美 人の
湯」といわれることもある。
第4項
硫黄泉
いかにも温泉という感じを受けるのがこの硫黄泉である。この温泉は硫化水素をふ
くんでおり、この温泉特有のにおいがする。この温泉は血管を拡張させる効果があり、
動脈硬化、腸にもよく、便秘などにも効果がある。また、皮膚の角質を軟化溶解する
のでニキビにも効果がある。硫黄泉は身体に強い刺激をあたえるので、病弱者や高齢
者は注意が必要で皮膚の弱い人には向かない。
第5項
温泉入浴の際の注意
どのような良薬でも使用法を誤ると、毒となってしまうように、温泉も同じである。
温泉は万病に効くわけではなく、入浴で返って病が悪化してしまうことがある。特に
ガンを患っているひとは回復の余力のない中、温泉の刺激で新陳代謝が高まり、逆に
衰弱を早めてしまう結果となってしまう。他にも温泉と相性の悪い症状があるので入
浴の際は気をつけたい。
第5節
第1項
温泉についての補足
温泉の鮮度
実は温泉にも鮮度があり、時間が経ったり、温度が変わると、溶けている成分も変
わったり、温泉が変色する現象がある。これを温泉の老化 現象という。濁っている温
泉はいかにも効きそうな温泉という感じをうけるが、 それは、老化現象の一部で濁っ
てしまったのかもしれない。しかし硫黄泉などは性質上濁ってしまいやすく、一概に
老化とは言えない。
第2項
美人の湯?!
よくテレビで「この温泉は美人の湯です。」などとうたうセリフを聞くことがある
が、一体なぜ美人になれるのか。一つは温泉に含まれる成分が肌をきれいにし、美し
くするからであるが、もう一つ理由がある。それは温泉に入った際の心のリフレッシ
ュがストレスなどを解消させ、心を健康にさせるからである。心の健康は顔に現れる
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とは、まさにその通りで、表情がいきいきとしていたり、清々しい女性は美しくみえ
るものである。これが美人の湯といわれる温泉の所以である。
第3項
海外の温泉事情
日本の温泉は近年、娯楽として大きく発展してきたが、ヨーロッパなどの海外では
温泉は娯楽というより、医療施設として発展してきた。また、海外では温泉は大切に
扱われており、自分勝手に利用ができない。日本は温泉が豊富で恵まれていることが
分かる。
第3章
感想
まとめ
さて、長きにわたって温泉について述べてきたが、温泉の良さがお分かりいただけただ
ろうか。温泉には魅力がいっぱいである。しかし問題は、われわれ前高生や前高に携わっ
ている人たちは、あまりにも忙しいのだ。ゆっくりできる時間は少ない。しかし幸運なこ
とに、私たちの住む群馬県は温泉に恵まれていて、身近に温泉が存在する。それなのに入
らないのはもったいないであろう。若いが故に温泉に行くのが恥ずかしいと感じている人
もいるかもしれない。だが、是非1度温泉に行ってみてほしい。一人でも よし、友達や部
活の仲間と行くのもよしだ。身体の疲れや腰痛などが改善されるだけでなく、 複数人で行
けば、温泉で心がリフレッシュされ、普段話せない悩みなどを相談することができるだろ
う。勉強や部活、または恋の悩みなど、私たちはたくさ んの悩みを抱えていると思う。本
音で語り合えるのが温泉のよいところだ。私自身、中学時代は温泉で友達といろいろなこ
とを語りあった。自分をさらけ出せるのも温泉の効能なのであろう。だから、皆にもこん
な経験をしてもらいたい。温泉は生きる活力を与えてくれるといっても過言ではないと私
は思う。この文章を読んで皆に少しでも温泉について興味をもち、温泉に行ってみたいと
思っていただけたのなら、私は嬉しい。
第4章
参考文献
植田
理彦著『温泉はなぜ体に良いか「万病に効く」ひみつをさぐる』
温泉
Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E6%B3%89
岐阜県温泉協会公式サイト
http://www.gifu-onsen.jp/topic_museum/no_03.html
神奈川県温泉地学研究所
http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/modules/study/index.php/content0005.htm l
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