けんさの豆知識 ピ ブ カ <49> 2016 年 2 月 臨床検査部発行 発行 (生化学検査室) ツー ~PIVKAⅡ(肝細胞がん腫瘍マーカー)について~ 今回の豆知識は昨年11月から院内測定になったPIVKAⅡについてお話しします。 PIVKAⅡってなに? 肝臓で作られる凝固因子のうちⅡ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子はビタミンKを利用して合成されます。 ビタミンKが欠乏するとⅡ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子が作られず、Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子になるはずだった 前駆物質が増加します。これらのうちの第Ⅱ因子の前駆物質をPIVKAⅡ(protein induced by vitamin K absence or antagonistⅡ)ピブカツーと言います。 ビタミンK欠乏では反応が進まない Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子 Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ の前駆物質 Ⅹ因子 ビタミンK PIVKA (図1) PIVKAⅡは肝細胞がんでも高率に出現することから腫瘍マーカーとして利用されるようになり ました。他の肝細胞がんの腫瘍マーカーであるAFPと相関がなく、AFPが低値や陰性である 肝細胞がんでも高値を示す例があることからAFPと同時に測定することが推奨されています。 基準値は? PIVKAⅡの基準値は 40mAU/ml未満(化学発光免疫測定法CLIA法) です。 異常値を示す場合は? は? ・ ・ 慢性肝疾患(慢性肝炎・肝硬変など) ・ アルコール性肝障害 ・ ビタミンK欠乏症 ・ 閉塞性黄疸・肝内胆汁うっ滞 ⇒ ビタミンKの吸収障害 ・ ワーファリン投与 ⇒ ビタミンKの代謝に必要な酵素を阻害 ・ 一部セファム系抗生剤・抗結核薬投与・長期経静脈栄養など ⇒ ビタミンKの吸収障害・産生の低下 注意点 PIVKAⅡが上昇していてもビタミンK製剤投与中ではPIVKAⅡの値が低くなる可能性が あります。(図1参照) PIVKAⅡを判断するときには、内服薬の確認が必要です。
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