微小浮遊粒子検出器の検出特性に関する研究 113351 平岡 秀男 摂南大学 理工学部 電気電子工学科 電子光機器研究室 A Study on Detection Characteristics of Fine Airborne Particle Detector Hideo Hiraoka Electronic and Optical Systems Lab., Dept. of Electrical and Electronic Engineering, Setsunan Univ . 1. まえがき 空気中には、綿ボコリ、タバコの煙、花粉、車の排気ガス など多くの粒子状物質が浮遊している。とくに近年では PM2.5 や花粉症などが問題となっており、粒子状物質は我々 の日常生活に少なからず影響を及ぼしている。従って、これ らの粒子状物質を測定することが重要であると考えられる。 そこで本研究では、この粒子状物質を専用の測定器を使用せ ずに、安価な市販センサとマイコンを用いて簡便に測定する 方法について研究する。 レベル信号の時間合計値を測定時間幅で割った値をその時の 粒子濃度として出力する。 (図2参照) T(測定時間幅) Hiレベル loレベル t1 2. 使用機器の説明 マイコンは Arduino を用い、センサは下の表1に示した市 販のホコリセンサを利用した。 表1 使用ホコリセンサ 機種 項目 検出方法 光源 出力信号 濃度単位 台数 GP2Y1010AU シャープ製 光散乱法(図1参照) 赤外発光 LED パルス アナログ出力 mg/m3 2台 t2 t3 粒子濃度(%)= (t1+t2+t3)/T PPD42 神栄テクノロジー製 光散乱法(図1参照) 赤外発光 LED PWM 出力(図 2 参照) 個数/283 ml 1台 図 2 PWM 出力 3. 測定と検証 センサの検出対象として線香の煙を利用した。3台のセン サの測定情報を逐次マイコンの SD カードに記録し、測定終 了後に Excel 上にてグラフ描画して各センサの性能を検証し た。図 3 で示すように各センサおよび専用測定器(DC170) の測定結果は、強い相関関係が認められた。従って、安価な 市販のセンサとマイコンでも、粒子状物質を十分測定できる ことがわかった。なお、DC170 の反応が遅れて見える理由は、 1 分毎出力となっているためである。 *その他、測定データ評価のため専用測定器『PM2.5 ダストモニタ ー粉じん計 DC170』(米国 Dylos 社製)を使用した。 本研究で使用した2種類の市販のホコリセンサでは、発光 素子から浮遊粒子に光を当てて得られる散乱光を受光素子に より受け、受光素子の出力電流変化により浮遊粒子の情報を 測定する(図1参照) 。 図 3 各センサの測定結果 4. 今後の目標 図 1 ホコリセンサの測定原理 測定出力信号についてはシャープ器では受光素子の電流強 度をアナログ信号の電圧値に変換して出力し、神栄器では受 光素子の電流強度をデジタル Lo パルスの長さに変換し、Lo 現在、基準となる DC170 の出力と 2 種類のセンサの出力 との相関を検証中である。今回蓄積したセンサやマイコンの 利用技術・知識を利用して、実生活に役立つ安価で便利なセ ンサ応用機器を開発したい。 文献 (1) 環境科学フォーラム編 空気清浄化のしくみ(オーム社) (2) 中尾司著 Arduino 実験キットで楽ちんマイコン開発(CQ 出版 社)
© Copyright 2024 ExpyDoc