2016 年 3 月 1 日 アイ・オー・データ機器(6916) 担当 織田真由美 レーティング: NEUTRAL(2015/11/20)→ NEUTRAL 他社ブランド商品の伸びを支えに増収ながら、調達コスト上昇が利益を圧迫。 売上高 (百万円) 伸び率 (%) 営業利益 (百万円) 伸び率 (%) 経常利益 (百万円) 伸び率 (%) 純利益 (百万円) 伸び率 (%) EPS (円) 1 株配 (円) 連 12/6 38,551 -15.0 連 13/6 36,671 -4.9 連 14/6 46,228 +26.1 連 15/6 41,177 -10.9 連 16/6(予) 44,000 +6.9 第 2 四半期累計期間 連 14/7-12 20,706 -4.8 連 15/7-12 21,741 +5.0 株価(2016/3/1) 期末発行済み株式数(15/12 末) 期末自己株式数(15/12 末) 時価総額 企業価値(EV) ROE(15/6 実績) 予想配当利回り 予想 PER BPS(15/6 実績) PBR CFPS(15/6 実績) PCFR EV/EBITDA(15/6 実績) 217 624 2,226 1,142 800 +187.7 +256.3 -48.7 -30.0 368 533 2,429 1,551 1,000 +44.9 +355.4 -36.2 -35.5 364 -356 2,008 883 700 -56.0 -20.7 27.18 -26.64 155.27 69.02 54.71 5.00 0.00 15.00 13.00 10.00 709 325 623 14,839 2,045 9,245 3,811 4.3 1.6 11.4 1,678.31 0.4 24.9 25.0 2.8 -19.7 -54.1 円 千株 千株 百万円 百万円 % % 倍 円 倍 円 倍 倍 786 497 -8.1 -36.7 462 333 -50.0 -27.9 36.15 26.08 0.00 0.00 株価チャート(週足) 出所:アイ・オー・データ機器、ブルームバーグ、今村証券 ストレージなどパソコン関連機器大手。パソコン市場の縮小を背景に、スマートフォン(高 機能携帯電話。 「スマホ」)やタブレット関連などの周辺機器に注力しているほか、データ管理需 要を取り込むべく NAS(コンピューターネットワーク経由で使用する外部記憶装置)などにも注 力している。2016 年 2 月東証 1 部に指定替え。 2016 年 6 月期第 2 四半期連結決算は小幅に 増収ながら営業減益。円安が進行したこと で調達コストが上昇し、利益を圧迫した。 とはいえ期初予想に比べると、営業利益は 75 百万円、経常利益は 1 億 97 百万円、純利 益は 1 億 33 百万円上ぶれた。当初計画して いた高画質 4K 映像のウェブ配信関連機器開 発を時期尚早として来期に持ち越し、研究 開発費を 11 億円から 1 億円減額したことが 要因だ。 売上高については、音楽 CD を直接スマホ やタブレットに取り込むことができる「CD レコ」や、DVD ビデオを直接スマホなどで見 ることのできる「DVD ミレル」が好調なこと でストレージ部門が 4.6%増と伸びたほか、 資料1:売上高推移(四半期) アイ・オー・データ機器(6916) 1 2016 年 3 月 1 日 他社ブランド商品の拡充によって「商品およ びその他」部門が前年同期比 60.8%増と拡大 した。反面、メモリ、液晶、周辺機器、特注 製品が軒並み減少した(資料1参照)。四半 期会計期間でみると、第 2 四半期の売上高が 第 1 四半期に比べて伸長しているものの、同 社の売上高は第 2 四半期、第 3 四半期に偏る 傾向があり、ほぼ想定通りといえる。 一方、営業利益については、前述の通り研 究開発費を抑制したことで、売上高営業利益 率が改善し(資料2参照)、当初見通しを上 回る結果となった。また、経常利益について は為替差益を 1 億 42 百万円計上したことが 影響した。 連結 第 2 四半期累計期間の業績が期 初予想を上回ったことで、同社は 今期業績予想を修正した。売上高 前期実績 は据え置かれたものの、営業利益 前回予想 を 1 億円、経常利益を 2 億円、純 通期見通し 利益を 1 億 50 百万円の増額と(資 料3参照)、増額幅は第 2 四半期累 計期間の上ぶれ分程度にとどまる。足元の 円高進行によってさらに利益が拡大するこ とを期待したいところだが、調達コストの 低下が業績に反映されるには時間を要する 上、急激に円高が進行した場合には円安時 期に仕入れた原材料について棚卸資産の評 価減が発生する可能性がある。為替動向に は注意が必要だ。 資料2:売上高と粗利益率(四半期) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 EPS 百万円 百万円 百万円 百万円 円 41,177 44,000 44,000 1,142 700 800 1,551 800 1,000 883 550 700 69.02 42.99 54.71 資料3:通期業績予想の修正 (百万円) 売上高推移 80,000 70,000 地デジ特需 Windows XP サポート終了 に伴う特需 商品および その他 60,000 特注製品 50,000 周辺機器 40,000 液晶 30,000 20,000 ストレージ 10,000 メモリ 0 パソコン周辺機器の需要が低迷する中、 同社は①スマホやタブレットなどのスマー トデバイス周辺市場、②他社ブランド製品 の取扱拡充、③法人、プロ市場――に注力 している。売上高は持ち直してきており、 徐々に効果が表れてきている様子だ(資料 4参照)。 ① スマートデバイス周辺市場 データ管理に活用されるストレージやメ モリのほか、スマホを使って外出先から家 の中を見ることができるカメラ「Qwatch」 や「CD-レコ」 、 「DVD-ミレル」など、先駆す る製品を開発。今期は「CD-レコ」や「DVDミレル」が好調に推移している。 ② 他社ブランド製品の取扱拡充 サムスン電子社製 SSD や三菱化学メディ アのブランドである Verbatim(バーベイタ ム)の光ディスクに加え、前期末には米 Western Digital(ウエスタンデジタル)傘 資料4:売上高推移(年度) 「Qwatch」 Verbatim 光ディスク インテル スティック型パソコン アイ・オー・データ機器(6916) 2 2016 年 3 月 1 日 下の WD の外付けハードディスクや NAS、米インテル製の手のひらサイズのスティック型パソコ ンの取扱を開始した。自社製品の補完や、自社製品との組み合わせによる最適なソリューション の提案を図る。 殊に今期は、光ディスクの市場で太陽誘電系の「That's」ブランドとイメーションが手がけ る「TDK」ブランドが光ディスクから撤退したことが需要拡大につながった。 ③ 法人、プロ市場 液晶ディスプレイと NAS 市場がカギを握る。液晶ディスプレイでは三菱電機が撤退したこと で同社が販売台数シェアトップとなっているが、さらにシェアを拡大すべく取り組んでいる。4K モデルや高精細モデルを拡充しデザイナーやクリエイターの需要を取り入れるほか、インテルの スティック型パソコンとの組み合わせによって電子広告やプレゼンテーションなどでの活用を 提案する。NAS では、マイナンバー制度や文書の電子化保存に向けて、セキュリティ強化やデー タ管理において法人需要が高まるとみられる。 1 月 29 日に東証 1 部への指定替えを発表 したことで株価は急騰し、足元では 620 円 前後で推移している。バリュエーションに 割安感はあるものの、2 期連続の減益見通し で、利益率が低下していることで先行きに 不透明感が残る。投資判断をNEUTRA L継続とする。 資料5:売上高と粗利益率(年度) (参考)同業他社のバリュエーション(株価は 3 月 1 日終値) 株価 (円) I.O.データ機器 メルコHD 連15/6 連16/6(予) 連15/3 2,288 連16/3(予) 623 売上高 伸び率 営業利益 伸び率 経常利益 伸び率 純利益 伸び率 (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) 41,177 44,000 82,554 87,000 -10.9 +6.9 -18.4 +5.4 1,142 800 3,512 4,800 -48.7 -30.0 +24.9 +36.7 1,551 1,000 4,471 5,600 -36.2 -35.5 +24.6 +25.2 883 700 3,166 3,600 -56.0 -20.7 +49.6 +13.7 EPS (円) 69.02 54.71 142.57 162.07 配当 (円) BPS (円) 13.00 1,678.31 10.00 60.00 2,042.24 40.00 PER (倍) 予想 配当 利回り PBR (倍) 0.4 11.4 1.6% 14.1 1.7% 1.1 出所:会社、ブルームバーグ、今村証券 (注)BPSは期末実績。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明 本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解 を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬 も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義 O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。 N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 アイ・オー・データ機器(6916) 3 2016 年 3 月 1 日 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場 合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様 への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お 客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま すようお願い申し上げます。 本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成 しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている 場合を除き、アドレス等の内容について当社は一切責任を負いません。本資料は、当然にお客様の投資結果を保証する ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社 および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係 会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘 を行う場合があります。 日本および外国の株式・債券への投資は、株価の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評 価の変化、金利・為替の変動などにより、投資元本を割り込むリスクがあります。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承認なく、また電子的・機械的な方 法を問わず、本資料の全部もしくは一部引用または複製、転送等により使用することを禁じます。 アイ・オー・データ機器(6916) 4
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