2015/11/20

2016 年 3 月 1 日
アイ・オー・データ機器(6916)
担当 織田真由美
レーティング:
NEUTRAL(2015/11/20)→
NEUTRAL
他社ブランド商品の伸びを支えに増収ながら、調達コスト上昇が利益を圧迫。
売上高
(百万円)
伸び率
(%)
営業利益
(百万円)
伸び率
(%)
経常利益
(百万円)
伸び率
(%)
純利益
(百万円)
伸び率
(%)
EPS
(円)
1 株配
(円)
連 12/6
38,551
-15.0
連 13/6
36,671
-4.9
連 14/6
46,228
+26.1
連 15/6
41,177
-10.9
連 16/6(予)
44,000
+6.9
第 2 四半期累計期間
連 14/7-12
20,706
-4.8
連 15/7-12
21,741
+5.0
株価(2016/3/1)
期末発行済み株式数(15/12 末)
期末自己株式数(15/12 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(15/6 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(15/6 実績)
PBR
CFPS(15/6 実績)
PCFR
EV/EBITDA(15/6 実績)
217
624
2,226
1,142
800
+187.7
+256.3
-48.7
-30.0
368
533
2,429
1,551
1,000
+44.9
+355.4
-36.2
-35.5
364
-356
2,008
883
700
-56.0
-20.7
27.18
-26.64
155.27
69.02
54.71
5.00
0.00
15.00
13.00
10.00
709
325
623
14,839
2,045
9,245
3,811
4.3
1.6
11.4
1,678.31
0.4
24.9
25.0
2.8
-19.7
-54.1
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
786
497
-8.1
-36.7
462
333
-50.0
-27.9
36.15
26.08
0.00
0.00
株価チャート(週足)
出所:アイ・オー・データ機器、ブルームバーグ、今村証券
ストレージなどパソコン関連機器大手。パソコン市場の縮小を背景に、スマートフォン(高
機能携帯電話。
「スマホ」)やタブレット関連などの周辺機器に注力しているほか、データ管理需
要を取り込むべく NAS(コンピューターネットワーク経由で使用する外部記憶装置)などにも注
力している。2016 年 2 月東証 1 部に指定替え。
2016 年 6 月期第 2 四半期連結決算は小幅に
増収ながら営業減益。円安が進行したこと
で調達コストが上昇し、利益を圧迫した。
とはいえ期初予想に比べると、営業利益は
75 百万円、経常利益は 1 億 97 百万円、純利
益は 1 億 33 百万円上ぶれた。当初計画して
いた高画質 4K 映像のウェブ配信関連機器開
発を時期尚早として来期に持ち越し、研究
開発費を 11 億円から 1 億円減額したことが
要因だ。
売上高については、音楽 CD を直接スマホ
やタブレットに取り込むことができる「CD
レコ」や、DVD ビデオを直接スマホなどで見
ることのできる「DVD ミレル」が好調なこと
でストレージ部門が 4.6%増と伸びたほか、
資料1:売上高推移(四半期)
アイ・オー・データ機器(6916)
1
2016 年 3 月 1 日
他社ブランド商品の拡充によって「商品およ
びその他」部門が前年同期比 60.8%増と拡大
した。反面、メモリ、液晶、周辺機器、特注
製品が軒並み減少した(資料1参照)。四半
期会計期間でみると、第 2 四半期の売上高が
第 1 四半期に比べて伸長しているものの、同
社の売上高は第 2 四半期、第 3 四半期に偏る
傾向があり、ほぼ想定通りといえる。
一方、営業利益については、前述の通り研
究開発費を抑制したことで、売上高営業利益
率が改善し(資料2参照)、当初見通しを上
回る結果となった。また、経常利益について
は為替差益を 1 億 42 百万円計上したことが
影響した。
連結
第 2 四半期累計期間の業績が期
初予想を上回ったことで、同社は
今期業績予想を修正した。売上高 前期実績
は据え置かれたものの、営業利益 前回予想
を 1 億円、経常利益を 2 億円、純 通期見通し
利益を 1 億 50 百万円の増額と(資
料3参照)、増額幅は第 2 四半期累
計期間の上ぶれ分程度にとどまる。足元の
円高進行によってさらに利益が拡大するこ
とを期待したいところだが、調達コストの
低下が業績に反映されるには時間を要する
上、急激に円高が進行した場合には円安時
期に仕入れた原材料について棚卸資産の評
価減が発生する可能性がある。為替動向に
は注意が必要だ。
資料2:売上高と粗利益率(四半期)
売上高
営業利益 経常利益
純利益
EPS
百万円
百万円
百万円
百万円
円
41,177
44,000
44,000
1,142
700
800
1,551
800
1,000
883
550
700
69.02
42.99
54.71
資料3:通期業績予想の修正
(百万円)
売上高推移
80,000
70,000
地デジ特需
Windows XP
サポート終了
に伴う特需
商品および
その他
60,000
特注製品
50,000
周辺機器
40,000
液晶
30,000
20,000
ストレージ
10,000
メモリ
0
パソコン周辺機器の需要が低迷する中、
同社は①スマホやタブレットなどのスマー
トデバイス周辺市場、②他社ブランド製品
の取扱拡充、③法人、プロ市場――に注力
している。売上高は持ち直してきており、
徐々に効果が表れてきている様子だ(資料
4参照)。
① スマートデバイス周辺市場
データ管理に活用されるストレージやメ
モリのほか、スマホを使って外出先から家
の中を見ることができるカメラ「Qwatch」
や「CD-レコ」
、
「DVD-ミレル」など、先駆す
る製品を開発。今期は「CD-レコ」や「DVDミレル」が好調に推移している。
② 他社ブランド製品の取扱拡充
サムスン電子社製 SSD や三菱化学メディ
アのブランドである Verbatim(バーベイタ
ム)の光ディスクに加え、前期末には米
Western Digital(ウエスタンデジタル)傘
資料4:売上高推移(年度)
「Qwatch」
Verbatim 光ディスク
インテル
スティック型パソコン
アイ・オー・データ機器(6916)
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下の WD の外付けハードディスクや NAS、米インテル製の手のひらサイズのスティック型パソコ
ンの取扱を開始した。自社製品の補完や、自社製品との組み合わせによる最適なソリューション
の提案を図る。
殊に今期は、光ディスクの市場で太陽誘電系の「That's」ブランドとイメーションが手がけ
る「TDK」ブランドが光ディスクから撤退したことが需要拡大につながった。
③ 法人、プロ市場
液晶ディスプレイと NAS 市場がカギを握る。液晶ディスプレイでは三菱電機が撤退したこと
で同社が販売台数シェアトップとなっているが、さらにシェアを拡大すべく取り組んでいる。4K
モデルや高精細モデルを拡充しデザイナーやクリエイターの需要を取り入れるほか、インテルの
スティック型パソコンとの組み合わせによって電子広告やプレゼンテーションなどでの活用を
提案する。NAS では、マイナンバー制度や文書の電子化保存に向けて、セキュリティ強化やデー
タ管理において法人需要が高まるとみられる。
1 月 29 日に東証 1 部への指定替えを発表
したことで株価は急騰し、足元では 620 円
前後で推移している。バリュエーションに
割安感はあるものの、2 期連続の減益見通し
で、利益率が低下していることで先行きに
不透明感が残る。投資判断をNEUTRA
L継続とする。
資料5:売上高と粗利益率(年度)
(参考)同業他社のバリュエーション(株価は 3 月 1 日終値)
株価
(円)
I.O.データ機器
メルコHD
連15/6
連16/6(予)
連15/3
2,288
連16/3(予)
623
売上高 伸び率 営業利益 伸び率 経常利益 伸び率 純利益 伸び率
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
41,177
44,000
82,554
87,000
-10.9
+6.9
-18.4
+5.4
1,142
800
3,512
4,800
-48.7
-30.0
+24.9
+36.7
1,551
1,000
4,471
5,600
-36.2
-35.5
+24.6
+25.2
883
700
3,166
3,600
-56.0
-20.7
+49.6
+13.7
EPS
(円)
69.02
54.71
142.57
162.07
配当
(円)
BPS
(円)
13.00 1,678.31
10.00
60.00 2,042.24
40.00
PER
(倍)
予想
配当
利回り
PBR
(倍)
0.4
11.4
1.6%
14.1
1.7%
1.1
出所:会社、ブルームバーグ、今村証券
(注)BPSは期末実績。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
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---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
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および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い
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