IAIR 認定プラクティショナー ベーシック1 ∼骨盤∼ 右腸骨PI

IAIR 認定プラクティショナー ベーシック1
∼骨盤∼
■ 骨盤を治療する意義
・ 骨盤は幾つもの骨の集合体であり関節が多い。しっかりと評価する必要がある。
・ 骨盤は身体の土台。土台である骨盤が崩れれば、全てが崩れる。
・ 股関節は他関節と違い詰まって固まり、クリアランスが悪くなる。
■骨盤の歪みパターン
<頭蓋骨の歪みと連動>
・ RPI タイプ
胎児の時に左前頭部を下にしていた場合に起こる。(8∼9割)
・ LPI タイプ
胎児の時に右前頭部を下にしていた場合に起こる。(1∼2割)
・ WPI タイプ
RPI・LPI がさらに進行し、身体が固まる事(老化)によって起こる。
* A 前、P 後、S 上、I 下
<頭蓋骨の歪みから骨盤の歪みへの機序>
左前頭骨圧迫
左後頭骨
右前頭骨隆起
硬膜の伸張
S2左変位
左腸骨AS
S1S3右変位
右腸骨PI
* LPI は左右逆の機序で骨盤が歪む。WPI はこの状態から身体が骨盤の変位を代償し続け
ることで起こる。
<骨盤の歪みによる全身への影響(圧痛点による評価)>
PIサイド:赤丸
①ハムストリングス
②右腹部
③大胸筋
④胸鎖乳突筋
⑤手部
⑥大臀筋
ASサイド:青丸
①大腿四頭筋
②大腿筋膜腸筋
③僧帽筋
④後頭下筋
⑤腰背部
⑥足底部
理論的背景:
骨盤の変位による筋連鎖の関係は、筋の起始・停止で説明出来る。
PI側(腸骨が後下方に変位)
→坐骨が下方に変位するためハムストリングスが収縮位となり緊張で圧痛+。
→腸骨が後傾位になることで腹直筋が収縮位となり緊張で圧痛+。さらにこの緊張のため肋
骨が下方に引っ張られ、それに伴い大胸筋も下方に引っ張られ収縮位となり肩甲骨がプロト
ラクト。同時に鎖骨も下方に引っ張られ胸鎖乳突筋も収縮位で圧痛+。
→これらの屈筋群の収縮がパターン化され手指の屈筋も筋緊張が高くなる。
AS側(腸骨が前上方に変位)
→坐骨が上方に変位するため大腿直筋が収縮位となり緊張で圧痛+。
→腸骨が前傾位になることで脊柱起立筋が収縮位となり緊張で圧痛+。さらにこの緊張のた
め広背筋が緊張で肩甲骨がリトラクト。
→これらの伸筋群の収縮がパターン化され頸部の伸展筋の緊張が高くなり、足底の伸筋も筋
緊張が高くなる。
■ 仙腸関節の評価と治療
目的:仙腸関節の可動性の向上(仙腸関節を締める)
① 仙腸関節の広がり、上下変位を PSIS を触診し評価する。(変位は赤矢印)
② 治療は左右への広がりを改善→上下歪みを治療。(調整方向は青矢印)
* WPI は左右の広がりを重点的に改善する。
②
①
②
<治療姿勢>
ポイント
・ 後ろ後ろの足はしっかり股関節を伸展。
・ アジャストの時は膝関節を曲げない。(膝を曲げると力が上方に逃げる)
■ 側臥位での仙腸関節の調整
① 治療する側を上にして側臥位をとる
② PSIS にコンタクトし、片方の手で膝を抱え、仙腸関節を支点に締める
③ アジャストもしくは、深呼吸していただく
■ 背臥位での仙腸関節の調整
① 治療は仙腸関節を締め、上下歪みを治療。
*WPI は左右の広がりを重点的に改善する。
*仙腸関節を締めるイメージをしっかり持つ。
■ 股関節の評価と治療
目的:股関節のクリアランスを向上させる。
骨頭を引き抜く。
<股関節の治療①>
① 腹臥位で膝関節屈曲し、大転子を床方向へ圧(上下圧)をかける。
(骨 to 骨のタッチ)
② 大転子への圧を逃がさないように、
股関節外旋させ臼蓋から骨頭をさらに引き離す。
(骨頭から大転子の方向を意識して)
③ 骨頭を引き離した状態から、アジャストをかける。
高齢の方へは振動のみ。
<股関節の治療②>
① 腹臥位で股関節を外転・外旋・屈曲し、
腋窩と膝関節の距離を診る。
② 大転子と腸骨の間にコンタクトし、
骨を捕らえるまで押し込む。(上下圧)
③ 臼蓋から骨頭を、上下圧が抜けないように引き離す。
理論的背景:
臼蓋から骨頭を引き出す事で、股関節内の陰圧状態を一時的に緩め、スペースを作ることで
関節内運動を促通する。これにより、骨頭周囲筋が緩み仙腸関節の可動性にも影響を及ぼす。
(注意)現在、ベーシックⅠでは「仙腸関節の治療」をしっかり習得して頂く為に、以下の
内容はベーシックⅠ、Ⅱ終了後の検定試験にてお伝えしております。ご了承下さい。
■ 仙椎の評価と治療
① 仙椎の中で最も問題のある椎骨(メジャーポイント)をキネシオロジーテストにて評価
する。(内容は講義にて行います)
② 仙椎の棘突起を両サイドから触診し、左右から押して痛みの出る方を確認する。
(痛みの出る方向に歪んでいる)
③ 歪みを治す方向に仙椎を押し、椎間を広げるように上方にさらに詰め待つ。
(待っているとグニュっと仙椎が動くのを確認する)
* 再度痛みを評価して痛みが取れていない場合、回旋の捻れが生じている場合が多いため、
仙椎の水平面状の回旋変位をイメージして再度治療する。
* 筋反射テストとは: 人間の身体、脳は自分自身に不利益(害)のある刺激、に対して筋
の緊張を高め、防御する能力があります。例えば人に殴られそうになった時、瞬間的に
身体を強ばらせ防御します。この無意識的な反応を利用して、身体の中の悪い部分(内
臓、脳、骨格、筋など)や心理的問題(トラウマなど)に対する質問をし、自分又は対
象者の筋緊張の変化を持って評価する方法。
理論的背景:
仙骨はもともと仙椎が集まり出来たものである。その間を埋めるのは軟骨組織であったが
約22∼23歳頃に骨化するとされている。しかし、もともと軟骨組織であった場所はその
後も軟骨組織としての機能を併せ持っている。そのため、微細ではあるが可動性が存在する。
■ 恥骨の評価と治療
① 背臥位で恥骨上に手のひらを乗せる(手のひらは丸く包むように)
② 恥骨を揺するように振動させる。
* 異性を治療する場合、男性が患者様であれば男性器を下げてもらうように指示する。女
性の場合であれば、タオルを一枚間に挟む。両者ともに恥骨を治療する場合は、その旨
を患者様に説明する。
* 痛みが取れない場合は、仙腸関節に問題があることが多い。
例)骨盤の歪みの支点になる部位で、恥骨もずれる。
理論的背景:
恥骨結合はうすい硝子軟骨組織に覆われ、その間を繊維軟骨性恥骨間円盤(椎間板の繊維輪
二似ている)が連結する。これが支点となり仙腸関節が可動する。これらの組織のため、関
節に可動性が失われている場合は繊維軟骨性恥骨間円盤の粘弾性が失われる。これにより恥
骨結合部の可動性が失われる。この組織に微細な振動を加えることで繊維輪のクリープ現象
により粘弾性が回復する。